もくじ
ー 中古車の見本市
ー 出品者はジャガー・ランドローバー
ー コレクションの整理
ー 出品車両は完売
3台のポルシェ911タルガ フロリダのオークションに同時出品
中古車の見本市
まるでイギリス中古車の大見本市会場だ。1950~80年代のクルマが年代別に分けられてあちらこちらに展示されている。順番にじっくり見てみることにしよう。
まずはワゴン好きの目をひきそうなコーナー。60年代後半のフォード・ゾディアックのワゴンとか、フランボワイヤン様式が華やかなりし50年代のヴォグゾール・クレスタ、またやたらと地味なヴォグゾール・ヴィクターなどがお待ちかねだ。
あちらのほうには、80年代の終わりにオースティン・ローバー店の中古車売り場にいたようなクルマの一群もいる。
かと思えば、とあるセクションは足を踏みいれたとたんに、たちこめる霧の中をノンシンクロ1速のギアノイズを響かせつつ進む古きよき英国ファミリーカーの時代に降りたったような気分になってしまうかもしれない。
運転するのはレグという名の紳士で、ベンチシートの助手席には愛妻マージョリーをしたがえて…などと空想してみたりして。
さらに進めば、カブトムシのようなルーフをもつ50年代のスタンダード・ヴァンガードやきたないレインコートみたいな色のモーリス・オックスフォード、ミュニシパル・グリーンのモーリス・カウリーがいたりもする。
出品者はジャガー・ランドローバー
向こうの壁ぎわは、ドーモバイルやパララニアンといったブランドの(かなりくたびれた)キャンピングカー専門店のような様相だし、かと思えばいままでに見てきた老いさらばえた英国車とはまるで正反対の、わりと最近のメルセデスのコンバーチブルやクーペも何台かいたりする。
メルセデスのまわりには、1968年式ルノー・カラベルのコンバーチブルやボルクヴァルト・イザベラ・クーペといった外国の珍しいクルマもひかえている。
などなど、ほかにも本当にたくさんあったのだが、これは先週のビスター・ヘリテージのクラシックカーセンターの底冷えのする倉庫でのようすだ。そしてこれらのクルマはオークション会社ブライトウェルズの手で競売にかけられた。
結果、一般の愛好家によってなんと1台も残らず落札され、しかももともとはみなジャガー・ランドローバーの所有車だったときいて2度ビックリだろう。いったいなぜ大メーカーがこんな100台以上ものクルマを処分しようとするのだろう? じつは、これでもコレクションのほんの一部にすぎない。2014年に不本意ながら買ってしまったあまり魅力のないクルマを処分するため、というのがその答えだ。
ふつう、大メーカーがコレクション用にクルマを購入するのはきわめてまれで、自社ブランドでもないものをこんなに多数にとなればなおのことだ。そこに不本意さがにじみでている。
そもそも、130台ものジャガーを保有するなど最大の英国車コレクションをほこる歯科医ジェイムス・ハルが、1回こっきりのチャンスとしてジャガー・ランドローバー(JLR)にコレクションを一気に増やさないかと持ちかけたのが発端だ。
彼のコレクションにはジャガーやランドローバー車はもちろん、かつてブリティッシュ・レイランドにいたころの同志だったほかのブランドのクルマもたくさんあった。また、イソやマセラティからベントレーやシトロエンにいたるまでのクルマも豊富だった。
そして、JLRはまとめて買ってしまった。
コレクションの整理
全543台の合計額は明らかではないが、言い値の1億ポンド(149億円)は下らないだろう。この取引は称賛をもって受けとられた。いわく、買い主はコレクションを完成させるために買ったのだと。ただ、JLRクラシックカー部門の責任者ティム・ハニーグによると、事実はちがうようだ。
そして今回で、ジェームス・ハルのすばらしいコレクションが結局バラバラになってしまうのではないかと思うかもしれないが、それもあたらないという。
JLR広報によると、「ジェームス・ハルのコレクションをオークションにかけるのは今回1度きりです。これが第1弾というわけではありません。単にコレクションを整えるためで、売るのはおもに重複したコレクションです」
彼らがめざすところはこうだ。「膨大なコレクションを役に立つものにします。JLRのクルマを最優先しますが、ほかのクルマの状態も保ちますし、良い頃合いがあればふたたび外の世界へ送り出します」
これはすばらしいニュースだ。おまけに、それはすなわち、マウントバッテン卿のミニ・トラベラー、エルトン・ジョンの所有だったベントレー、2輪とF1のレーサーだったマイク・ヘイルウッドのイソ・グリフォや木張りワゴンのコレクション、その他多くのふつうのクルマも、ちゃんと保管されてコレクションに収まりつづけるということだ。
いっぽうで、今回の出品車をじっくりみるうちに、なぜ売りに出されるのかわかってきた。稀少で走行距離もすくないがかなりの修理が必要なクルマだったり、重複したクルマの程度が悪いほうだったりするのだ。
たとえばオースチン・アレグロの売り物は5台、うち2台は豚鼻グリルのバンデン・プラ版だったが、JLRのもとにはほかにもっと(まあ、多少なりとも)程度の良いものがあるのだ。
それは、会場にくつわを並べるレイランド・プリンセスやオースチン・アンバサダー、オースチン1100/1300、それに取りたてて興味をひくものでもないがオースチン・メトロやマエストロの一群にもおなじことがいえる。
出品車両は完売
さて、今回のイベントではベッドつきの家を背負ったオースチンやコマー、ベッドフォードのクルマも多数みられた。一風変わったキャンピングカーの愛好家には至福の1日だったにちがいない。
コマーのなかにはハイウェイマンというモデルもあったが、この図体にして58psのパワーをほこるこいつがふたたび外の世界へ出ていけば、いい見せ物になることうけあいだ。
ちなみに、さかんに引き合いがあったのはレストア済みのフォード・トランジットのキャンピングカーで、結局8624ポンド(129万円)の値がついた。
そんなに変わったスタイルでないワゴンのほうも、こぎれいなシトロエンCXにまじって、ハンバーやスタンダードそしてオースチンなど、珍しいクルマがいろいろ並んでいた。
はては自動車にとどまらず、リヴァかと見まごうような美しい木製のモーターボートまであった。もっともこれは、穴があいて修理代が見合わないから出てきたのだとある愛好家が教えてくれた。
ほかにも、多数のペダルカー(これはまた改めてお伝えしたい)、模型のクルマや飛行機などもあったが、これもみな残らず売り切れた。
さあ、オークションも終わった。テントはあとかたもなく片づき、7時間にわたる競りの熱気もうそのようだ。掘り出し物は数すくなくとも、みんないい買い物をした満足感でいっぱいだ。
そして多くの新しいオーナーたちを待つのは、気の遠くなるような精魂こめたレストアの日々だ。
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