日産自動車(以下、日産)が開発をすすめる「Invisible-to-Visible(I2V)」(見えないものを見えるものへ)とはなにか? メディア向け資料には「リアル(現実)とバーチャル(仮想)の世界を融合した3Dインターフェースを通じてドライバーに見えないものを可視化し、究極のコネクテッドカー体験を生み出します。」と、記されている。
といわれても、さっぱりわからない。ともあれ、説明会に参加した。
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Invisible-to-Visible(I2V)体感用に用意された「NV350キャラバン」。10月18日、ところは日産の追浜試験場「グランドライブ」で、Invisible-to-Visible(I2V)にかんする説明会がおこなわれた。屋内会場には「NV350キャラバン」と据えられ、ARゴーグルを装着した女性が2名いる。
「オペレーターが、あたかも助手席に座っているようなシステムを開発しました」と、開発担当者の上田哲郎氏(総合研究所 モビリティ・サービス研究所 エキスパートリーダー)が述べる。Invisible-to-Visible(I2V)は、高度な通信システムやバーチャル映像などでドライブをサポートするシステムだという。
3Dアバター(ネットワーク上における利用者の分身)の声や動きを担当する女性2名。オペレーターが助手席に座っていると言っても、“生身”の人間ではない。3Dアバターだ。ドライバーは専用のVRゴーグル(マイク付き)を装着し、3Dアバター(ネットワーク上における利用者の分身)と会話出来る。
3Dアバターは、“生身”の人間の分身だ。実在する“生身”の人間の声や話し方、表情、手の動きなどをダイレクトに反映する。したがって、AI(人工知能)と異なりナチュラルな会話を楽しめるという。
「AIは現状、完璧ではありません。私自身、AIとはあまり喋りたくありません(笑)。それに、“生身”の人間と喋ることに価値があります。その人が持っているスキル……たとえば道案内が得意とか、おしゃべりが得意とか、そういったスキルも活かせます」と、上田氏は述べる。ただし、AIを使ったInvisible-to-Visible(I2V)の研究も進めているという。
3Dアバターとの会話内容とは?3Dアバターとのドライブはいかに? 今回筆者は、停車中のNV350キャラバンの3列目シートに座り、体感した。
まず、専用ARゴーグルを装着する。これが結構、重い。半分ぐらいの重量にしてもらわないと実用化は厳しいように思う。
Invisible-to-Visible(I2V)用の専用ARゴーグル。専用ARゴーグルを装着した筆者。装着完了後、ARゴーグル内の画面が起動する。すると、反転した2列目シートに3Dアバターのユイさんが登場した。ユイさんはPRのスペシャリストであるミス・フェアレディのメンバーという。衣装も、ミス・フェアレディが普段着用しているホワイトのスーツだ。
目前のシートに登場したミス・フェアレディのユイさん(3Dアバター)。お互いに簡単な自己紹介をしたあと、ユイさんは場を盛り上げるべく、追浜工場にかんする豆知識を披露してくれた。
「昭和20年ごろの追浜工場は、日本軍の飛行場でした」と、3Dのバーチャル・フリップボードを手に持ち、話す。
他愛ない話で場を和ませるユイさん。「実は(フリップボードの)裏にカンペが書いてあるんですけどね」と、時折ユーモアも交えて話すのが面白い。
そんな話をしていると、突然、ヴァーチャル・ユーチュバーのユニティさんが登場した。
ユニティさんはアイドル然としたフリフリの衣装が印象的。「甘いものはお好きですか?」と、用意したスウィーツを勧めてくるものの、ヴァーチャルなので手を伸ばしてもとれない。「そうだ!バーチャルだから手に取れないんですね! 残念!」と、ユニティさん。
ユニティさんはバーチャル女優を目指しているという。体験会時、車内の様子は、車外のモニターに映し出されていた。最後、ユニティさんは「ヴァーチャル女優を目指しているので、お仕事ご一緒出来たら嬉しいです!」と、アピール。筆者が「ギャランティ次第では……」と話すものの「……」と、ノーコメント。マネージャを通す必要があるのかも?
約10分間のバーチャル・ドライブが終了し、車外に出ると、ARゴーグルを装着したふたりの女性が出迎えてくれた。筆者が会話を楽しんだ3Dアバターの声は、彼女たちが出していた。生身の人間と話していたからこそ、自然な会話が続いたのだ。
Invisible-to-Visible(I2V)は、アメリカ・ラスベガスでおこなわれた「Consumer Electronics Show2019」で発表された。Invisible-to-Visible(I2V)の活用方法はさまざま。たとえば、プロドライバーの3Dアバターからドライビングテクニックを学んだり、遠く離れた友人や家族の3Dアバターを乗せてドライブを楽しんだりも出来るという。
専用ARゴーグルが重かったり、3Dアバターの動きが鈍かったり、Invisible-to-Visible(I2V)の改善余地は多々ある。2030年代の実用化を目指しているというから、あと10年~20年でどれほど進化するのか? 楽しみだ。
文・稲垣邦康(GQ) 写真・安井宏充
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