F1での4年目を迎えた角田裕毅がどう成長し、あるいはどこに課題があるのかを、F1ライター、エディ・エディントン氏が忌憚なく指摘していく。
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【角田裕毅を海外F1ライターが斬る】いつしか後ろはザウバーのみ…。逆境の時こそ、ドライバーの力を見せつけよう
ひところ、裕毅が毎週末のようにポイントを獲得し、彼にとってこれ以上ないほど良い状況だったことがあった。可哀想なダニエル・リカルドは、キャリアを立て直そうと必死に頑張っていたが、うまくいっておらず、裕毅に打ち負かされていた。そのころのことを、皆さんは覚えているだろうか。
このコラムを読んでいる人のほとんどが角田ファンだろうから、もちろん彼の成績について知らないはずはない。嫌なことを話題にして悪いが、最近の角田はひところのように調子が良いわけではなく、直近の5戦でノーポイントが続いている。ほぼ毎戦、チームメイトに勝っていたのは良いことだったが、そのチームメイトはクビになった。代わって採用されたのは、ヘルムート・マルコのお気に入り、リアム・ローソンだ。
ハンガリーGPの後、裕毅の獲得ポイントがゼロなのが彼のせいだと言っているわけではないのだから、そんなに怒らないでほしい。原因は、チームの直近2回のアップグレードが大失敗だったからだ。姉妹チームも似たような目に遭っている。私がホーナー氏なら、風洞とCFDのシステムをチェックさせるだろうね。……はいはい、このコラムのテーマが裕毅で、他の話は必要ないってことはもちろん分かっている。話を戻そう。
アストンマーティン、ウイリアムズ、ハース、そして時にはアルピーヌまでが、裕毅より速いのを見るのは、確かに苛立たしいことではあったが、チームメイトより前にいさえすれば、裕毅にとってそれほど悪い状況ではなかった。
しかし、次からはローソンが登場する。彼は昨シーズン、ダニーの代役として5戦に出場し、その短期間に2ポイントを稼いだ男だ。その5戦、角田はポイントを獲得していない。ローソンは、日本GPではホームのヒーローを破って11位でフィニッシュしている。あのレースで、1周目に仕掛けてきたローソンに、角田はかなり腹を立てていたっけ。
いまや自分はかつてのようなトップドライバーではないということをある程度受け入れて、チームプレイヤーとして仕事をすることにあまり抵抗を感じていなかったベテランの代わりに入って来るのは、マルコのお気に入りの若者だ。ローソンは、若手有望株は、オリバー・ベアマン、フランコ・コラピント、アンドレア・キミ・アントネッリ、ジャック・ドゥーハンだけではないということを世界に示そうと意気込んでおり、最初の目標は、当然のことながら、角田を倒すことだ。ウイリアムズでコラピントがアレクサンダー・アルボンに対してやろうとしていることを、ローソンはRBで角田に対してしようとするだろう。
RBの2025年のラインアップは、今シーズン終盤と同様に角田とローソンのペアになるだろうが、角田はこれからの半年を無駄にすることなく、自分の優位性を早めに示す必要がある。どちらの方が速く、技術的に優れていて、賢いのか、つまり、どちらがリードドライバーなのかをはっきり示すべき時は今なのだ。ドライバーズサーキットのオースティンを前に、ローソンはしっかりとシミュレーターで準備してくるはずだ。角田は次のアメリカから、チームメイトに圧勝し続けなければならない。
そんな角田に私からアドバイスしよう(私の洞察力に満ちたアドバイスがいかに貴重であるか、知らない者はいない!)。それは、アメリカGPで唯一のプラクティス、FP1が終わるまでは手の内を隠しておけ、ということだ。トラックの重要な部分では、コンマ2秒ほど遅れてみせておいて、ローソンに油断させる。そうして肝心なスプリントのQ1で、持っている力をすべて解き放ち、新参者を心理的に打ちのめすというわけだ。
それは意地悪なんかじゃない。これこそF1界のやり方なのだ。史上最高レベルのドライバーたちは、新しいチームメイトを迎えたばかりの時、テストやフリープラクティスで手の内を見せるだろうか。自分のデータが新参者に詳細に分析されると知っていて、そんなことをするわけがない。彼らは、限界までプッシュすることなく、差をつけられる重要なエリアを素早く見極めて、それらのコーナーでは真のスピードを隠しておく。そして予選でドカンと力を見せつけて、新しいチームメイトを驚かせるのだ。ルイス・ハミルトンからフェルナンド・アロンソまで、誰もがやってきたことだ。
角田は今こそ基準を引き上げる必要がある。だがそれは、今より速く走るとか、仕事にもっと集中するとかいう意味ではない。すでに彼はそういった面で全力を尽くしていることは分かっている。私が言う「基準を上げる」というのは、自分の立場を守るために、もっと賢く、強く、容赦なく戦うということだ。ローソンは角田に対して好意を示さないだろうし、マルコはローソンの味方だ。角田は今よりもっと激しく戦う必要があるのだ。
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筆者エディ・エディントンについて
エディ・エディントン(仮名)は、ドライバーからチームオーナーに転向、その後、ドライバーマネージメント業務(他チームに押し込んでライバルからも手数料を取ることもしばしばあり)、テレビコメンテーター、スポンサーシップ業務、講演活動など、ありとあらゆる仕事に携わった。そのため彼はパドックにいる全員を知っており、パドックで働く人々もエディのことを知っている。
ただ、互いの認識は大きく異なっている。エディは、過去に会ったことがある誰かが成功を収めれば、それがすれ違った程度の人間であっても、その成功は自分のおかげであると思っている。皆が自分に大きな恩義があるというわけだ。だが人々はそんな風には考えてはいない。彼らのなかでエディは、昔貸した金をいまだに返さない男として記憶されているのだ。
しかしどういうわけか、エディを心から憎んでいる者はいない。態度が大きく、何か言った次の瞬間には反対のことを言う。とんでもない噂を広めたと思えば、自分が発信源であることを忘れて、すぐさまそれを全否定するような人間なのだが。
ある意味、彼は現代F1に向けて過去から放たれた爆風であり、1980年代、1990年代に引き戻すような存在だ。借金で借金を返し、契約はそれが書かれた紙ほどの価値もなく、値打ちがあるのはバーニーの握手だけ、そういう時代を生きた男なのである。
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みんなのコメント
RBRだろうが全く別のチームだろうが、兎に角F1に残り続けること。その後に訪れるチャンスを掴むまで頑張ってほしい。