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マツダのフラグシップは独自路線──新型マツダ 6試乗記

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マツダのフラグシップは独自路線──新型マツダ 6試乗記

「マツダ6」が2019年8月1日に販売開始された。従来の「アテンザ」が突然ともいえるタイミングで、車名変更されたのだ。

それだけでもけっこう大きなニュースであるが、名称変更以外にもちゃんと実のある内容もある。ガソリンターボ・モデルが新たに追加されたのだ。

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【主要諸元(25T Sパッケージ)】全長×全幅×全高:4865mm×1840mm×1450mm、ホイールベース:2830mm、車両重量:1570kg、乗車定員:5名、エンジン:2488cc直列4気筒DOHCターボ(230ps/4250rpm、420Nm/2000rpm)、トランスミッション:6AT、駆動方式:FWD、タイヤサイズ:225/45R19、価格:431万4600円(OP含まず)。Sho Tamuraすでにアテンザ名で販売されていたマツダ6は、全長4865mmと比較的余裕あるサイズのセダンとステーションワゴンで構成されるマツダのフラグシップモデルだ。

デザインに気合いが入っているマツダだけあって、セダンののびやかなサイドビューなどは特徴的で、かつ美しい。それを見ていると、トヨタ「クラウン」などと一線を画した、自分たちなりのプレミアム・セダンを作ろう! という気概が感じられる。

ボディは全長×全幅×全高:4865mm×1840mm×1450mm。セダンのほか、ステーションワゴンも選べる。Sho Tamura話を戻すと、車名変更とともに新設定されたガソリンターボ・エンジン搭載グレードは「25T Sパッケージ」だ。最高出力169kW(230ps)を発揮する2488cc直列4気筒ガソリンターボ・エンジンを搭載した前輪駆動モデルで、セダンとステーションワゴンと2つのボディ形状が選べる。

「4.0リッターV8自然吸気ガソリン・エンジン並みの力強いトルク」と、マツダが謳うガソリンターボ・エンジンは、日本では大型SUVの「CX-8」で導入ずみだ。2500rpmをすぎてから力が出てくる感覚であるが、大径ターボのような急激なトルクの盛り上がりはなく、ナチュラルな設定が印象的である。

搭載するエンジンは2488cc直列4気筒DOHCターボ(230ps/4250rpm、420Nm/2000rpm)。Sho Tamuraトランスミッションは電子制御式6AT。Sho Tamura全体としてバランスよく仕上がったモデルだった。ナチュラルなトルク感、そして高速での安定した走り、快適な乗り心地を提供するサスペンション・システム、さらにコーナリングの楽しさ、といったものを備えている。つまり、ドライバーズ・カーとしてよく出来ているのだ。

メカニズム的な特徴として、コーナリングをよりスムーズにする「G-ベクタリング・コントロール・プラス」の搭載があげられる(マツダ6全車に標準装備)。

ドライバーのステアリング・ホイール操作やコーナリング・スピードなどに応じ、エンジンの駆動トルクを変化させ、結果、4輪への接地荷重を最適化するシステムに、ブレーキを使ってボディのヨー・モーメントをコントロールする機構がくわえられているのだ。

使用油種はレギュラー。WLTCモード燃費は12.4km/L。Sho Tamura19インチのアルミホイールは、ブラックメタリック塗装の専用デザイン。Sho Tamuraコーナーの出口では、軽く外側前輪にブレーキをかけ、車両を直進状態に戻す復元モーメントを与えるなど凝っている。「走る歓びをすべての人に」と、マツダはG-ベクタリング・コントロール・プラスの開発コンセプトをうたう。

実際に箱根の旧道を走り、曲がりくねった道(しかも大雨)でのドライブでは、驚くほどスムーズに曲がった。小さなコーナーにとびこんでいっても、自分の意のままにボディを操れる楽しさがある。

くわえて、コーナーに入るときの減速も、コーナーから出ていくときの加速も、安心感が高く、かつ気持よい。アルファロメオ「ジュリア」のように、「走っている最中は、楽しくてしかたない!」といった“快楽主義的”な作りではないものの、クルマとドライバーとが一体になったドライブが味わえるはずだ。また、全長4.8m弱というボディ・サイズも意識させない。

Sho Tamuraマツダらしいフラグシップ25T Sパッケージの室内デザインは、最新の「マツダ3」をはじめ、新世代マツダ車共通のコンセプトだ。操作系のスウィッチを控えめにし、かつ各所に使う素材の存在感を際立たせている。くわえて、各部のスウィッチは操作しやすい位置にあるのだ。

ステアリング・ホイールのグリップは細身であり、握ったかんじは、私個人の好みに合う。リムを巻いているレザーの感触はしっとりしていて、手のひらに気持よくフィットする。

インテリア・デザインは、従来のアテンザとほぼおなじである。Sho Tamuraインテリアの各所にレッド・ステッチが施される。Sho Tamuraメーターパネルは、中央が液晶画面。速度および各種車両情報を表示する。Sho Tamura360°カメラも搭載。Sho Tamuraシートは専用のブラック・レザー張りで、赤いステッチとクロームの装飾が、なかなかいい雰囲気を醸し出している。押し出しは強くないが、クオリティの高さを感じた。

リアシートのレッグスペースとヘッドスペースは充分にとられている。やや困るのは、後ろにいくにしたがって下がっていくルーフラインの影響を受けて、リアドアの開口部に制約がある点だ。頭を下げて乗りこむ必要がある。

フラグシップとはいえ、マツダ6を、リアシート重視の他社セダンと較べて実用性をうんぬんしてはいけないのかもしれない。スタイリッシュで運転が楽しく、かつ、おとな4人が乗れる実用性も備えている、というのが製品の核にある価値だろう。

25T Sパッケージのシート表皮はレザーが標準。フロントシートはヒーターおよびベンチレーション機能付き。Sho Tamuraリアシートはセンターアームレストおよびヒーター機能付き。Sho Tamuraリアウインドウの電動サンシェードは標準。Sho Tamuraフラットで広大なラゲッジルーム。リアシートのバックレストは60:40の分割可倒式。Sho Tamuraマツダの開発者は、スタイリッシュだけれど、同時にもっと実用性を盛り込もう、とかの、妥協的なものづくりを忌避している、と言う。

うまくバランスがとれればいいが、別の要素を無理に盛り込むことで、本来の価値が損なわれてしまうおそれがある場合、いさぎよく、コンセプトをしぼりこむそうだ。

というわけで、マツダ6 25T Sパッケージはドライバーズ・カーとしては大いに評価できる仕上がりとなった。価格は431万4600円である。

文・小川フミオ 写真・田村翔

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