■秀逸なデザインで、今も色褪せない魅力がある初代を振り返る
クルマの外観は多くのユーザーにとって、ひと目見て好むか好まざるかが決まり、売れるか売れないかを左右する重要な要素です。
クルマ選びでは、ボディサイズや性能、価格などを多角的に見ながら結論を出すのが一般的ですが、やはり見た目を重要視するのではないでしょうか。
クルマのデザインは時代によってトレンドが変化し、長い歴史を刻むクルマの場合は、もはや初代の面影がまったく無いクルマも存在するほどです。
そこで、今見ても初代のデザインが秀逸だと評されるモデルを、5車種ピックアップして紹介します。
●日産「フェアレディZ」
日産は1969年に、世界に通用する新時代のスポーツカーとして、初代「フェアレディZ」を発売しました。
欧州製スポーツカーに匹敵する動力性能と、スポーツカーらしさあふれるスピード感のあるスタイルを採用し、主戦場だったアメリカ市場で大ヒットを記録。
ボディサイズはスタンダードモデルで全長4115mm×全幅1630mm×全高1290mmと、現在の水準からするとかなりコンパクトですが、各部のレイアウトを工夫することで、2シーターとしてはゆとりある室内空間を実現しています。
外観で特徴的なのはシャープな印象のロングフロントノーズと、ルーフからテールエンドまで緩やかなカーブを描くキャビンの融合で、50年以上前にデザインされたとは思えない絶妙なバランスを実現。
また、軽量なボディにストラット式4輪独立サスペンションによる走りのよさや、なめらかに吹け上がる直列6気筒エンジンで、走行性能も見た目にふさわしい秀逸なものでした。
使われているパーツを既存のクルマから積極的に流用することでコストダウンを図り、比較的安価に設定したこともヒットにつながった理由です。
その後、1974年にはリアシートを備えた4人乗りモデル「フェアレディZ 2by2」が発売されユーザーの拡大を図り、1978年に2代目が登場するまで、初代フェアレディZは全世界で累計52万台以上が販売されました。
●トヨタ「ソアラ」
昭和の時代には、大型の2ドアクーペがパーソナルカーとして一定の人気があり、トヨタ「クラウン」や日産「セドリック/グロリア」といった高級車にも2ドアクーペがラインナップされていました。
一方で、そうしたベース車のイメージに左右されない2ドアクーペも存在。なかでもヒットを記録して、一大ムーブメントをけん引したのが、1981年に発売されたトヨタ初代「ソアラ」です。
初代ソアラのボディはロングノーズのエレガントなフォルムで、ラグジュアリーな雰囲気にスポーティなイメージも加えたことで若いユーザー層からもヒットを記録します。
発売当初、トップグレードの「2800GT」には2.8リッター直列6気筒DOHCエンジンを搭載し、そのほかのグレードも全車直列6気筒エンジンで、トランスミッションは5速MTと4速ATを設定。
美しい外観のデザインだけでなく、グラフ表示式のタコーメーターとデジタルスピードメーターを配置した「エレクトロニックディスプレイメーター」や、コンピューター制御によるオートエアコンなど、先進的な装備も惜しみなく投入されています。
1985年のマイナーチェンジでは3リッターエンジンを搭載するなど、さらにラグジュアリー志向を高め、後の「ハイソカー」ブームの火付け役となりました。
そして1986年に2代目が登場すると、デザインは初代からキープコンセプトとされ、好景気と中流意識の高まりという時代背景もあって、初代以上のヒット作となり、ビッグサイズクーペ市場を席巻しました。
●ユーノス「ロードスター」
1989年、マツダが展開していた5つの販売チャネルのひとつユーノスから、2シーターオープンスポーツカーの「ロードスター」が発売されました。
当時、国内メーカーはオープンカー(乗用車)の生産から撤退しており、久しぶりとなるFRオープンスポーツカーの登場は、ユーザーから驚きとともに好意的に受け入れられます。
外観のデザインは往年の英国製スポーツカーをイメージさせるフォルムで、丸みを帯びたコンパクトなボディは見るからに軽快感を醸していました。
シャシは専用に開発されましたが、エンジンは既存のものを搭載することで、開発期間の短縮と安価な価格を実現。
用途が限定される2シーターオープンカーとして異例ともいえるほど、国内外でヒットを記録しました。
また、ロードスターの誕生によって、国内のみならず欧州メーカーも次々に小型オープン2シーターを発売するほどのブームを巻き起こし、1980年代に消えかかっていたオープンカー文化を再燃させた功績は、いまも語り継がれています。
■コンパクトなボディながら偉大な2台とは
●ホンダ「シティ」
ホンダは大きくなった「シビック」に代わるエントリーカーとして、1981年に初代「シティ」を発売しました。
シティ最大のトピックスは、それまで「クルマは車高が低いほどカッコイイ」という世間一般の常識に真っ向から挑んだ高いルーフを採用したデザインにあります。
コンパクトなボディサイズはそのままに、いかに室内を広くするかという課題に対し、ルーフを高くすることで実現。
ルーフを高くすると空気抵抗の増加や、重心高が上がって操縦安定性などに影響がありますが、ホンダはそれらを解決しつつ、全体のフォルムでも視覚的な安定感も表現しています。
エンジンは最高出力67馬力の1.2リッター直列4気筒SOHCで、決してパワフルではありませんが、軽量な車体によって十分な加速性能と、低燃費を達成。
さらに広い室内による積載性の良さを強調するために、同時に発売された原付バイクの「モトコンポ」をトランクに格納できるアイデアを実現しました。
後に高性能なターボエンジンを搭載した「シティターボ」「シティターボII」、オープンモデルの「シティカブリオレ」、さらにルーフを高くした「シティハイルーフ」とバリエーションを増やすことで、さまざまなニースに対応しました。
●スズキ「ジムニー」
スズキは1970年に、サイズは小さいながらも本格的なクロカン車と同じ強固なラダーフレームにボディを架装し、トルクフルな空冷2サイクル360ccの2気筒エンジンを搭載した4WD軽自動車、初代「ジムニー」を発売しました。
外観は曲面の使用を極力少なくしたスクエアなボディで、オープンボディを基本として、機能性を最優先してデザインされています。
実際に積雪地帯の生活の足や、レジャー用途だけでなく、林業や建設・土木、郵政、山間部の商品運搬など、プロフェッショナルな現場でも活躍しました。
4WDシステムは手動でレバーを操作することで2WDと4WDを切り替える、信頼性を重視したパートタイム式を採用し、サスペンションは前後とも堅牢かつシンプルなつくりのリジッドアクスルとすることで、高い悪路走破性と耐久性を実現。
その後、代を重ねてもジムニーのコンセプトは変わらず、2018年に登場した現行モデルの4代目も、強固なラダーフレームと前後リジッドアクスルのサスペンション、シンプルなパートタイム4WDを継承し、今も高い人気を誇っています。
※ ※ ※
クルマのデザインはその時代ごとのトレンドを反映して変化してきましたが、優れたデザインのクルマは、誕生から何十年経っても色褪せない魅力があるものです。
確かに、古いクルマを見ると古臭く見えてしまうのは当然ですが、今回、紹介したフェアレディZや、ジムニーは、最新モデルに初代のデザインエッセンスを取り入れており、まさに初代が優れたデザインであったという裏付けではないでしょうか。
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みんなのコメント
この車はアレだよね。あの車はコレだよね。丸パクリじゃないけどオマージュしている部分がある。
ジャンルによって大道がなる。デザインを褒めすぎると色んな意見が出ると思う。
最近この手の記事は、浅い感じがします。