1月7日、日産自動車は同日に米国ラスベガスで開幕した最大級の家電見本市「CES 2020(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー2020)」において、車両の静粛性向上と軽量化を可能にする新しい遮音材「音響メタマテリアル」を披露すると発表した。
従来使われていた素材の約4分の1の重さ
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今回開発した遮音材は、周期的な格子構造とフィルムを組み合わせたシンプルな構造により、音が伝わる際の空気の振動状態を材料が制御し、音の透過を抑制することで、ロードノイズやエンジン音など、車内に入ってくる自動車特有の騒音を広い周波数帯(500-1200Hz)で効果的に遮ることができる。
現在、この周波数帯の遮音には、おもにゴム板などの重い板材が使われているが、今回の遮音材は、こうした素材に比べて重量が約4分の1と軽量でありながら、同等の遮音効果を実現。さらにシンプルな構造のため、量産化が実現すれば、従来の遮音材に対し同等あるいはそれ以上の価格競争力を実現する可能性を秘めている。そのため、将来的には車両重量への影響やコスト面から、これまで遮音材の使用が制限されていた車種にも幅広く活用することが期待される。
日産は2008年頃、当時すでに電磁波領域で高感度アンテナなどに活用されていたメタマテリアルの技術に着目。それ以降、同技術の音響波への応用を目指し、研究開発を行ってきた。今回、音響メタマテリアルの基本原理を解明することで、高い遮音性能を持つ遮音材の開発に成功したわけである。
車両の軽量化は、燃費や電費の向上による環境負荷の低減はもちろん、より安心して運転を楽しめるクルマ作りにも貢献する。また、静粛性を向上させることで、移動時間をより快適で有意義なものへと変えることも可能となる。
日産の総合研究所で「音響メタマテリアル」の開発を担当するのはエンジニアの三浦進氏。三浦氏が語るこの新素材の開発の狙いや背景については、下記動画にてご確認を。
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