現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ「ラウンドアバウト」は日本で普及が進まない? 本当は安全で環境にも優しい環状交差点の「癒やしポイント」とは

ここから本文です

なぜ「ラウンドアバウト」は日本で普及が進まない? 本当は安全で環境にも優しい環状交差点の「癒やしポイント」とは

掲載 62
なぜ「ラウンドアバウト」は日本で普及が進まない? 本当は安全で環境にも優しい環状交差点の「癒やしポイント」とは

安全な移動にはクルマ自体の性能とともに道路も重要

 今回から海外と日本の交通事情をめぐるコラムを、いくつか書かせていただくことになった。出張に出るとクルマそのものだけでなく道路や公共交通も気になり、写真を含めていろいろ記録していることから、お声が掛かったようだ。1回目は「ラウンドアバウト」を取り上げる。

「徐行運転」でさらに安全に、標識がなくても徐行しなければいけない時や場所は?

日本でも2014年から本格的に導入がスタート

 ラウンドアバウトは、和訳すると「環状交差点」となる。ヨーロッパでよく見かける方式で、信号の代わりに環状の道路を配置し、一般的には中で回っている車両が優先というルール。逆に進入する車両が優先の場合は「ロータリー」と呼ばれる。

 パリなどの大都市では交通量が多いので、一部を除けば日本と同じ信号交差点が主流だが、交通量が少ない郊外や地方ではラウンドアバウトが多い。

 日本では2014年9月に、環状交差点の通行方法などを記した改正道路交通法が施行され、本格的に導入されることになった。警察庁では地域別の導入状況を定期的に発表しており、2022年3月末現在でもっとも多いのは宮城県の25カ所、続いて愛知県の11カ所、大阪府の8カ所となっている。

 僕も国内では愛知県豊田市と長野県飯田市でラウンドアバウトに出会ったことがある。このうち飯田市は、以前からあった吾妻町のロータリーでラウンドアバウトの社会実験を行ったあと、東和町の信号交差点をラウンドアバウトに作り変えた。

 東和町がラウンドアバウトになったのは2013年で、次の年に改正道路交通法が施行されたので、日本のラウンドアバウトのルール作りに飯田市が貢献したとも言えるし、日本初のラウンドアバウトは東和町交差点ということになる。

まだ全国で140カ所、普及が進まない理由は?

 それでも前に紹介した警察庁の統計では、日本全体でもラウンドアバウトは140カ所。郊外に行けば当たり前のように出会うヨーロッパに比べて、はるかに少ない。

 法律ができてからまだ10年経ってないこと、信号交差点より場所を取ることなども関係していると思うが、最近の日本人に多く見られる、新しいモノやコトに対してまず否定から入るマインドも影響しているのではないかと思う。

 なかには信号交差点より事故が多くなると思っている人がいるかもしれない。しかし実際は逆で、欧米や日本のデータでは事故が減ったという数字がいくつも出ている。

 理由として考えられるのは、交差点の通過速度が遅くなり、速度差が小さくなること。そして信号がない分、ドライバーが他車や歩行者、自転車の状況に注意しながら進むことがあるだろう。

 ただし後者については、ほかの交通に気をつけながら走るのは、交通安全の基本中の基本だ。逆に言えば信号交差点では、信号の色に頼ってドライバーの判断がおろそかになっているとも言える。

燃費や景観といった面でもメリットが大きい

 またヨーロッパでは、交通量が少なければ発進停止が不要で、信号という電気設備に頼らないことから、環境に優しい交差点という評価も受けている。たしかにクルマがもっともエネルギーを消費するのは発進の瞬間なので、ラウンドアバウトが増えれば燃費も良くなりそうだ。

 もうひとつ景観についても触れておきたい。ヨーロッパのラウンドアバウトは、中心の空き地に花などを植えていることが多い。僕などは運転していると、これだけで気分がやわらぐ。それが事故防止につながるかもしれない。

 ラウンドアバウトが海外で普及しているのは、電気自動車のような戦略めいたものではなく、安全や環境といった面でしっかり結果が出ているからだ。日本でも、すでに導入されている交差点はスムースにクルマの流れをさばいているようだし、もっと広まってほしいと思っている。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
F1ラスベガスGP予選速報|ラッセルPP獲得! ガスリーが驚きの3番手。角田裕毅も7番手と好結果
motorsport.com 日本版
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
ヒョンデ、旗艦EVの『アイオニック5』を刷新。次世代800V電源システムで航続距離は703kmに延伸
AUTOSPORT web
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
名神ICに直結! 「彦根お城トンネル」が12月開通 高速道路から市中心部へ一気にワープ
乗りものニュース
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
ホンダ斬新「オデッセイSUV!?」に大反響! 「V6ワゴン」から進化の“最上級クーペSUV”に「カッコイイ」「モダンな見た目」の声も! 13年ぶりの「アヴァンシア」がスゴイ!
くるまのニュース
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
ロバート・クビサ、2025年も3台目のフェラーリ499Pをドライブへ。AFコルセ残留が決定
AUTOSPORT web
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
アルファ・ロメオ・トナーレでジュリエッタ乗りに出会う【新米編集長コラム#9】
AUTOCAR JAPAN
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
ル・マン優勝のポルシェ「917K」がなんと550万円!? ホンダエンジンを搭載した子供向けジュニアカーの大きさは実車の7割…おもちゃにしては高すぎる!?
Auto Messe Web
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
ライバルかつ僚友のトヨタWRC育成ふたりがラリージャパン初参戦。お互い「負けたくない」と意識
AUTOSPORT web
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
高性能4シーターオープン、メルセデスAMG『CLE 53カブリオレ』発売、価格は1400万円
レスポンス
【特許画像リーク!】来年デビュー予定の新型「BMW iX3」のリーク画像を入手!コンセプトモデルのほぼそのまま量産される
【特許画像リーク!】来年デビュー予定の新型「BMW iX3」のリーク画像を入手!コンセプトモデルのほぼそのまま量産される
AutoBild Japan
【中国メーカー初受賞】BYDシール 「Euro Car Body 2024」車体構造デザイン部門で第3位
【中国メーカー初受賞】BYDシール 「Euro Car Body 2024」車体構造デザイン部門で第3位
AUTOCAR JAPAN
アルファロメオ『33ストラダーレ』新型、「ベスト・イン・クラシック2024」の最高賞を受賞
アルファロメオ『33ストラダーレ』新型、「ベスト・イン・クラシック2024」の最高賞を受賞
レスポンス
新車77万円! ホンダ革新的「コンパクトカー」に「安くて広くて最高!」の高評価! 全長3.7mで「フィット」より小さい“街乗り最強”モデルとは! デザイン&乗り心地も大満足
新車77万円! ホンダ革新的「コンパクトカー」に「安くて広くて最高!」の高評価! 全長3.7mで「フィット」より小さい“街乗り最強”モデルとは! デザイン&乗り心地も大満足
くるまのニュース
トヨタ新型「最小級SUV」登場か!? 「ヤリスクロス」より小さい“静音モデル”に「カッコいい!」と反響アリ! 「bZ1X」かもしれない新型車に期待大!
トヨタ新型「最小級SUV」登場か!? 「ヤリスクロス」より小さい“静音モデル”に「カッコいい!」と反響アリ! 「bZ1X」かもしれない新型車に期待大!
くるまのニュース
エバンスが0.7秒リードの接戦。トヨタ2台がパンク、ヌービルに“ノーパワー”トラブル/ラリージャパン デイ2午前
エバンスが0.7秒リードの接戦。トヨタ2台がパンク、ヌービルに“ノーパワー”トラブル/ラリージャパン デイ2午前
AUTOSPORT web
ええええぇついに最後か!? 鮮明なボディカラーに思わず見とれる!!!!!!!!! 爆速2Lターボのホットハッチ[AMG A45 S]の魅力度がマシマシ
ええええぇついに最後か!? 鮮明なボディカラーに思わず見とれる!!!!!!!!! 爆速2Lターボのホットハッチ[AMG A45 S]の魅力度がマシマシ
ベストカーWeb
なんちゃってセレブ、ヒョンデ新型「アイオニック5N」の「ファーストエディション」を激オススメ! 限定50台のうち22台が「マガリガワ クラブ」に集合!
なんちゃってセレブ、ヒョンデ新型「アイオニック5N」の「ファーストエディション」を激オススメ! 限定50台のうち22台が「マガリガワ クラブ」に集合!
Auto Messe Web
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
「ノーマルタイヤで立ち往生」に国交省ブチギレ!?「行政処分の対象です」2年連続で大量発生…「スタックの7割が夏用タイヤ」今年も緊急警告
くるまのニュース

みんなのコメント

62件
  • 環状交差点が合ってる場所は土地がなく、土地がある場所は必要がないだけだろ。
    世界中の交差点で環状交差点の方が少ないのは、必要のないところまでやる意味がないからだ。そして必要なところは、少なくとも日本では大概用地の確保が難しい。
    再開発とか新規開発で義務づけでもすればともかく、そこまでやらんでしょ。そもそも再開発と新規開発の需要自体がこの国は減ってるしな。
  • 誰か(信号)が決めてくれないと行動できない種族だから。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

428.0980.0万円

中古車を検索
ヨーロッパの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

677.3698.3万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

428.0980.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村