ジープの新型「グランドチェロキー」に小川フミオが試乗した。すでに販売されていた3列シートバージョンの「L」との違いとは?
2.0リッターを設定へ
ロールス・ロイスの反逆児──新型ゴースト・ブラック・バッジ試乗記
SUV好きにはたまらない魅力を有するのがジープである。なかでも、機能的でかつ快適なモデルが欲しいというなら、2022年10月に日本導入されたグランドチェロキーがよさそうだ。
今回導入されるのは「2.0L 4xe」というプラグイン・ハイブリッドと「リミテッド2.0L」。試乗したのは、先に導入される後者だ。
リミテッド2.0Lは、1995ccの直列4気筒ガソリンターボ・エンジン搭載モデル。これまで日本で発売されていたグランドチェロキーは3604ccのV6搭載「L」のみだったので、グランドチェロキーのファンには朗報だろう。
全長4910mm、全幅1980mm、それにホイールベース2965mmのボディサイズは、Lに対して、少しずつ短縮されている。数値でみると、7人乗り仕様に対して、全長が約300mm、ホイールベースが125mm短い。
Lが3列シートをそなえるのに対して、2.0リッター車は2列シートと割り切っている。メリットとして、広い荷室と、100kgほど軽い車重が手に入る。燃費も当然よくなっているはずだが、数値はこの原稿を書いている時点で未発表だ。
Lよりすこしコンパクトとはいえ、室内の空間的余裕は十分。クロームを多用したクラシックな雰囲気を持つフロントマスクなどのエクステリアデザインは共通だ。
フロントマスクは、なんでも1963年発表の「ワゴニア」からインスピレーションを受けてデザインされたとか。あそこまで古典的ではないけれど、個性がちゃんとあってよろしい。
いま米国でのトレンドになっている水平基調のダッシュボードは、空間のひろがりを印象づける。広いセンターコンソールと、ホールド性のいいシートも、快適なグランドツアラーというキャラクターに貢献していると感じられた。
5人乗りで十分かもしれない試乗したリミテッド2.0Lは、非力さをまったく感じさせない。200kWの最高出力と、400Nmの最大トルクという数値はダテではないと私は思った。ターボエンジンは低回転域からもしっかり太いトルクを感じさせ、加速性も充分。高速での巡航は安定している。
「2.0リッターで平気?」と、思う人は多いだろう。アメ車といえば大排気量エンジンのイメージが強いというのもある。が、結論として2.0リッターでも問題なし。
クロカン型SUVのような、ボディとシャシーが切り離されて、ゆっさゆっさとボディだけが揺れるようなかんじは皆無。ステアリングも高速でもびしっとしているし、高速のコーナーで不安感をおぼえることはなかった。
右ハンドルだし、インフォテインメントシステムも充実している。「テレマティックボッ クスモジュール」なる新世代の車載通信モジュール採用で、交通情報を取得できることにくわえ、スマートフォンとの連動も可能だ。
専用アプリで設定した目的地をナビに送信できる「目的地送信機能」、車両停車位置から最終目的地までの徒歩経路を案内する「ラストマイルナビゲーション」、オイル量やタイヤ空気圧など、車両のコンディションに異常があった場合に通知する「ヘルスアラート機能」なども、日常の使い勝手におおいに貢献してくれるだろう。
Lも快適志向のSUVとしてよく出来ているが、こちらが907万円からなのに対して、2.0リッター車は892万円からと、15万円の価格差がある。15万円で3列シートが手に入るとは悩ましい。エンジンや装備に違いがあるので15万円の捉え方は難しいが、駐車場サイズに制限がないユーザーなどは選ぶのに迷いそうだ。ちなみに同時に発表されたプラグイン・ハイブリッドモデルの価格は1037万円と、だいぶ差がつく。
快適に乗れるSUVを……という視点から選ぶとしたら、リミテッド2.0Lでも十分だと思う。国土の狭い日本で乗るならば、なおのこと5人乗りサイズの方が取り回しは良い。わが国のユーザーが標準モデルとLのどちらを選ぶかに注目したいところだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
4気筒はダサいし…
幅が同じなら、駐車場も一緒