スポーツカーにもいろいろなモデルが存在するが、ここでは性格の異なる6気筒エンジンを搭載する異色のトリオ、BMW M4/ロータス エミーラ/ポルシェ 718 ケイマン GTS 4.0、それぞれが見せる個性をシーンごとに探った。ポルシェとBMWは言わずもがなだが、ロータスが手掛ける最新ミッドシップスポーツカーのエミーラが放つオーラもただものではない。【前編】(Motor Magazine 2023年10月号より)
ロータスとポルシェとBMW、名門揃いの6気筒モデル
世の中、電動化がひとつのブームになっているが、純粋にエンジンだけで走るスポーツモデルに存分に乗れるというのは、端的に言って貴重な機会である。しかもそれらのエンジンはすべて6気筒でスーパーチャージャー付きのV型、自然吸気の水平対向型、ツインターボ付き直列型と、見事に異なる3タイプが揃っている。遠足を翌日に控えた小学生のような気持ちのまま、取材日の朝を迎えた。
ロータスが初の電動ハイパーGT「エメヤ」をニューヨークで発表。最高速度は250km/hオーバー、0→100km/h加速は2.8秒以下!
まずは3台を紹介しよう。ロータスの新しいモデル、エミーラはこれまでのロータスのような、余分なものを削ぎ落としてスポーツドライビングに特化したモデルたちとはひと味異なる存在だ。遠目では、イタリアンスーパーカーなどをも思わせる曲線美を備えており、ある種のゴージャスな雰囲気も漂わせている。
シートは電動調整式でスライド、リクライニング、チルト、ハイトがコントロールでき、ハンドルにはパワーアシストが装備されている。ダッシュボード中央には10.25インチのタッチスクリーンが装備され、ハンドルの向こうには12.3インチのフルデジタルディスプレイインパネがレイアウトされる。
1500万円越えのプライスだけに、ライバル車から乗り換えても遜色ない仕上がりだ。ミッドシップマウントされるエンジンは2GR型のトヨタ製がベース。V型6気筒3.5Lにスーパーチャージャーを加えて、298kW(405ps)/6800rpm、420Nm/2700-6700rpmのパワーとトルクを絞り出し、車重1500kgのボディを押し出す。タイヤサイズは前245/35R20、後295/30R20でグッドイヤーイーグルF1スーパースポーツLTS(ロータス承認)を履いている。
ポルシェ 718ケイマン GTS4.0は、水平対向6気筒4Lエンジンを搭載。ボア×ストロークは102.0×81.5mmで911GT3と同じ数字だが、エンジンそのものは別物だ。このショートストロークと過給器を持たない自然吸気という特性を活かして、7800rpmからレッドゾーンが始まるという高回転型エンジンに仕上げられている。
今回の取材車は7速DCT(PDK)仕様で、エンジンは294kW(400ps)/7000rpm、430Nm/5500rpmというパワーとトルクを発揮し、0→100km/h加速タイム4.0秒、最高速は288km/hを誇る。これが6速MT仕様ならトルクは420Nmになり、0→100km/h加速タイムはマニュアルシフトしなくてはいけないので4.5秒に落ちるが、最高速は伝達効率が良くなることを活かして293km/hになる。
タイヤサイズは前235/35R20 、後265/35R20 で、ピレリPゼロN1(ポルシェ承認)を履く。試乗した7速PDK仕様の車重は1470kgだった。
BMWのM4コンペティションM xDriveクーペは、今回の3台の中では異色な存在かもしれない。エミーラもケイマンもミッドシップ後輪駆動の2シーターであり、車高の低さも含めて、誰が見てもスポーツカーらしさを持っている。対してM4クーペは、後席に2名が乗れる4人乗りだし、トランクには大量の荷物も積める。ある意味で日常の使い勝手に何の問題もない乗用車なのだ。
車重は1790kgでエミーラより260kg、ケイマンより280kg重い。その分、エンジンパワーとトルクは強力で、3L直列6気筒ツインターボは375kW(510ps)/6250rpm、650Nm/2750-5500rpmを発生し、8速ATから前後に駆動力を振り分けて4WDで走る。
BMWのxDriveゆえ後輪重視の駆動力配分だが、後輪のスリップ率が高まるとすぐに前輪にも駆動力を配分してトラクションを高めてくれる。このとき同時に安定性も確保してくれるがあくまでもハンドリングを重視した制御をする。
走り出せばすぐに感じる一般道での個性と楽しさ
エミーラに乗り込んでドライビングポジションを合わせ、シートベルトをしてエンジンをかける。この時の、シートベルトを身体の前に引っ張ってくる動作が楽だった。2ドア車の場合、ピラーが遠くてベルトを引き出しにくいことも多いが、エミーラはとても楽で良かった。
全高は1226mmで見た目はかなり低いが、乗ってみると、お尻が路面と擦れそうな感じではない。エンジンスタートストップボタンはセンターコンソールのシフトレバーの後ろ側にある赤色のガードを上げて下のボタンを押す。アクセルペダルは吊り下げ式だが、ケイマン、M4と同じオルガンタイプの方が望ましい。それでも、ロータスとしてはフットスペースが広いので、操作上の大きな不便はない。
マニュアルシフトはセンターコンソールの中でリンケージが動いているのが横から見える。シフトストロークはやや長めだが、シフトミスを防ぐにはこれくらいが良いと思う。クラッチのつながりも神経質ではなく、ヒルスタートアシスト機構も付いているので、坂道発進が楽にできる。
高速道路や市街地を走っている時に気付いたのは、微小操舵時の「ねじれ感」である。ハンドルを切り始める最初の部分、極めて小さい操舵域での話だが、そこのリニア感をもう少し高めたい。しかし、コーナリング状態になってしまえばまったく問題ないのだが。
ある意味で覚悟して乗り込んだのだが、騒音、乗り心地、振動などは意外にも良かった。タイヤノイズはほとんど聞こえないし、エンジン音はドライバーにとって楽しめる範囲で、必要な分だけ聞こえてくる。
意外と快適だったエミーラに比べて、ケイマンはスパルタンな印象を受けた。フラット6のエンジンは良い音を聴かせてくれるのだが、もうちょっとボリュームを下げてもいいかな、という感じ。乗り心地は、実際よりも路面状態が悪く感じるほど、乗員に細かい振動と揺れを伝えてくる。
一般道で走行していると、小さな操舵を行う領域ではエミーラと似た「ブッシュ感」がある。操舵を伝達する系統のところで、ハンドルを切るとその力をタイヤへ伝える前にブッシュを押すかのような感触があるのだ。ただエミーラよりケイマンの方がボディ剛性は高く、そのブッシュ感はある一点で起きているように感じられる。
インパネはいつでも見やすくて良い。中央にタコメーターがあり、その左側に丸いスピードメーターがある。しかしタコメーターの下に数字でスピードが表示されるので多くの場合、見やすさからタコメーター内の数字を見てしまう。
M4は、ボンネットを開けると見えるジャングルジムのような補強材が効いているのか、エミーラ、ケイマンのような微小操舵域での反応のズレは感じない。小さな舵角から正確に反応してくれて、ハンドルとノーズの動きに一体感が出ている。エンジンをキャビン後部にミッドシップするエミーラ、ケイマンに対して、フロントエンジンのM4が直進付近からハンドリングが正確なことには驚く。
エンジン、サスペンション、ハンドル、ブレーキの反応具合をそれぞれプリセットできて、自分の好みに合わせることができるのも特徴だ。筆者は、一般道でもサーキットでもハンドルはコンフォート(操舵力が軽い)を選んでいる。またM4にも最新のカーブドディスプレイが採用されることとなり、初期のモデルにはなかったタイヤ温度と空気圧の表示も出せるように進化されている。(文:こもだきよし/写真:永元秀和、井上雅行)
ロータス エミーラV6ファーストエディション 主要諸元
●全長×全幅×全高:4413×1895×1226mm
●ホイールベース:2575mm
●車両重量:1500kg
●エンジン:V6 DOHCスーパーチャージャー
●総排気量:3456cc
●最高出力:298kW(405ps)/6800rpm
●最大トルク:420Nm/2700-6700rpm
●トランスミッション:6速MT
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・60L
●WLTPモード燃費:8.8km/L
●タイヤサイズ:前245/35R20、後295/30R20
●車両価格(税込):1573万円
BMW M4 コンペティションM xDrive クーペ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4805×1885×1395mm
●ホイールベース:2855mm
●車両重量:1790kg
●エンジン:直6 DOHCツインターボ
●総排気量:2992cc
●最高出力:375kW(510ps)/6250rpm
●最大トルク:650Nm/2750-5500rpm
●トランスミッション:8速AT
●駆動方式:4WD
●燃料・タンク容量:プレミアム・59L
●WLTCモード燃費:9.8km/L
●タイヤサイズ:前275/35R19、後285/30R20
●車両価格(税込):1440万円
ポルシェ 718ケイマン GTS 4.0 主要諸元
●全長×全幅×全高:4405×1801×1276mm
●ホイールベース:2475mm
●車両重量:1470kg
●エンジン:対6DOHC
●総排気量:3995cc
●最高出力:294kW(400ps)/7000rpm
●最大トルク:430Nm/5500rpm
●トランスミッション:7速DCT(PDK)
●駆動方式:MR
●燃料・タンク容量:プレミアム・64L
●NEDCモード燃費:10.4km/L
●タイヤサイズ:前235/35R20、後265/35R20
●車両価格(税込):1273万6000円
[ アルバム : 6気筒エンジン編/Vと水平対向とストレート(前編) はオリジナルサイトでご覧ください ]
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みんなのコメント
だったらGTRで良くない?
もちろん他のメーカーでもいい
せめて自社で完結してる車にしろよ