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レクサスNX 2つの「ボンネットキャッチャー」装備で走りがよくなるワケ 

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レクサスNX 2つの「ボンネットキャッチャー」装備で走りがよくなるワケ 

次世代レクサス装備多数「NX」

フルモデルチェンジした、レクサスの中心的なSUVとなるモデル「NX」。

<span>【画像】「走り」へのこだわり【レクサスNXとISを詳しく見る】 全188枚</span>

実際に触れて感じたのは、コックピットインターフェイスの作り方から電動パワートレインの設定、そして電動でロックを解除するドアハンドルに至るまで、レクサスとしての「次の一歩」を感じられる提案が多く盛り込まれたモデルになっていることだ。

「次世代レクサスの幕開けを象徴する第1弾モデル」とレクサスが説明するだけあり、開発者によると「新型NXにあわせて多くの技術が採用された」という。

その背景には「ゼロからのスタートだった初代NXが想像以上に多くのお客さまに受け入れられたことで、新型はレクサスとしてもとくに期待の高いモデルへと成長した」というポジションの変化があるようだ。

そんな新型NXに触れ、驚いたのはエンジンルームを撮影しようとボンネットを開いたときだ。

なんとボンネットキャッチャー(エンジンルーム先端でボンネットのツメを受け止める部品)が中央になく、左右に2つ付いているのである。

そのタイプは日本車としてはもちろん、輸入車まで含めても異例だし、レクサスではこれまで見たことがなかった。

ボンネットキャッチャーを好んでダブルにしているメーカーは、パッと思い浮かぶのはBMW。

国産車では日産GT-Rもダブルとなっている。

そもそも、なぜ新型NXはボンネットキャッチャーを、あえてのダブルにしたというのだろうか?

2つの「ロック」で何が変わる?

メリットはまず、ロックがより強固になり、超高速域におけるボンネットフードの細かな揺れが無くなることだ。

ただ、これはあくまで超高速域での話であり、日本の高速道路程度の速度領域で問題になる話ではない。

「ボンネットフードが細かく揺れて、それが気になって仕方がない……」なんていう体験をしたことのある日本のドライバーは、よほど古いクルマや特殊なクルマに乗っている人を除けばきっといないだろう。

何を隠そう、レクサスNXに採用したメインの理由はそこではない。

走りをよくするためである。

車体剛性を向上することで、ハンドリングに効くのだ。

ボンネットのロックを増やすだけでなぜ走りがよくなる……?と思うかもしれない。

しかし、裏付けされた理由があるのだ。

前提としてまず、ボンネットフードを車体と強固に結合すること。そして、ボンネットフード側のロックする金具を左右2か所とし、その2つの金具を強固な骨で結んで剛性を高める必要がある(骨自体はボンネットフード内なので見えない)。

そのうえで、車体側のボンネットキャッチャーはラジエーターを「口の字」状に囲むように設けられたフレームの上へ左右に装着。

そこへ剛性を高めたボンネットフードが左右2点支持で結合されることで、「口の字」としていたフレームが、枠の中につっかえ棒が加わる「日の字」状となるのことで剛性が増すのだ。

ボンネットフードまで補強材として活用するというわけである。

これで車体最前部のねじり剛性は大きくアップし、結果として操縦安定性を高めるという理屈である。

なぜ今まで実装されなかった?

もちろん、市販モデルに乗ってもそれ単体の効きを実感するのは無理だろう。

あくまで「全体」の走りをよくする要素の1つにすぎないからだ。

しかし、レクサスがコストをかけてわざわざ採用したことを考えれば、効かないわけがないと考えるのが自然。

常識的に考えて、多くのオーナーはボンネットを開けることすらなく気づかないような部分に、わざわざコストをかける必要なんてないからだ。

もちろん、開発過程においては純粋にキャッチャー部分だけはシングルとダブルとで異なる実験車両を制作し、そこで効果を確認している。

その結果を経て、採用のゴーサインが出たのだ。

しっかり効果があるなら、前から採用すればよかったではないか?

たしかにそうなのだが、ここで強調しておきたいポイントは、いままで簡単には実現できなかったことを新型NXには織り込んだといういうことである。

レクサスとしても、ボンネットキャッチャーのダブル化は車体設計のエンジニアや操縦性担当レベルでは従来からやりたかったという。

しかし高いハードルがあってできなかったというのだ。

高いハードルとは何か? 生産の都合である。

高い効果があっても、量産車である以上、生産現場がそれに対応できなければクルマに装着するのは無理だ。

ボンネットキャッチャーのダブル化も、取り付けに工数がかかるなど生産ラインでの対応が難しかったのだという。コストも絡む。

「IS」とも共通するレクサスの理念

しかし昨今のレクサスは少し違う。

「走りのためにそこまでやろう」と、生産現場までが一体となりなんとか採用の糸口を探すのが今のレクサスなのだ。

生産において高いハードルはあったけど、よりよいクルマとするためにそれをこえて新しい機構を組み込む。

新型NXのボンネットキャッチャーがダブル化された背景を探っていて「同じだ」と感じたのは、1年ほど前にマイナーチェンジした「IS」のあの部分のことだ。

一般的に国産車は、ナットを締めてホイールをハブに固定する。

しかし最新のISはレクサスとしてはじめてボルトで固定する方式(欧州車に採用例が多い)とした。

なぜならそのほうがホイールとハブの締結力を上げることができ(ホイールナットでそれをやるとボルトが伸びる)、密着度が高まることでハンドリングが向上するからだ。

それは以前からわかっていた。

しかし、これまでとガラリとやり方を変えるのは生産設備の入れ替えが必要だったり他車との混流生産の都合もあって生産現場での対応が難しく、やりたくてもできなかったのだ。

いくつものハードルを乗り越えて、やっと新型ISで採用できたのである。

走りのために、生産現場での不都合は何とか解決して乗り越えていく方法を探していく。

それが今のレクサスの意気込みなのである。

ちなみにISで初採用されたボルトによるホイール固定は、新型NXにも採用。今後はレクサスにおいてさらに採用車種が広がっていくという。

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