軽自動車販売で毎年のように販売合戦を展開しているダイハツとスズキだが、2020年の販売台数トップの座をかけた争いは、し烈を極めた。
終盤に突入する9月にスズキがダイハツを逆転した時は、そのままスズキが突っ走るかに思われたが、ダイハツが王者の貫禄を見せつけて最終的には首位堅持。
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2020年のダイハツとスズキの軽トップ争い、DS戦争を振り返り、ダイハツが首位堅持できた理由とその裏側について考察する。
文/渡辺陽一郎、写真/DAIHATSU、SUZUKI、平野学、池之平昌信、ベストカー編集部
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ダイハツが僅差で競い勝ち
2020年には日本国内で459万8615台の新車が販売された(速報値)。コロナ禍により厳しい1年となったが、クルマの売れ行きは11.5%の減少に留まっている。とはいえ、基幹産業の自動車産業が世の中のために頑張らねばならないと思う。
2020年の新車販売をカテゴリー別に見ると、軽自動車が171万8088台届け出され、国内新車販売全体の37%を占めた。1998年に軽自動車の規格が今の内容に刷新され、2000年代に入ると軽自動車の比率は30%を超えた。2006年には35%に達した。
2020年における軽自動車の販売ランキングをメーカー順位で見ると、1位:ダイハツ、2位:スズキ、3位:ホンダ、4位:日産と続く。
この内、ダイハツの軽自動車届け出台数は53万6292台、スズキは52万3604台だから、1年間で1万2688台の差であった。比率に換算すると、ダイハツが例年通り上まわったものの2%だ。ダイハツは僅差で競り勝った。
懸命に逃げ切ったダイハツ
ダイハツとスズキの軽自動車販売動向(販売台数は全軽協調べ)。赤字はその月の勝者を表す。2020年はダイハツが僅差で勝利
2020年の届け出台数を月別の順位で振り返ると、ダイハツが1位になったのは1/2/4/7/10/11/12月だ。スズキは3/5/6/8/9月になる。ダイハツは7カ月、スズキは5カ月トップに立った。
そして各月ごとに集計された累計販売台数では、スズキが3月にダイハツを抜いて1位になった。3月は単月でスズキがダイハツを3331台上まわり、2020年1~3月の累計でも1128台上まわった。スズキのスペーシアやワゴンRは減ったものの、2020年1月に本格的な販売を開始したハスラーの効果が大きい。
その代わり4月に入るとスズキがコロナ禍の影響を受けて45%減少した。ダイハツも減ったが30%に食い止め、スズキに7275台の差を付けて1位になっている。この後、5/6月はスズキが再び上まわったが、ダイハツの累計1位は変わらず、7月はダイハツがさらに増えてスズキとの差を広げた。
しかし8/9月と再びスズキが抜き返し、1~9月の累計もスズキが3448台リードした。2020年も残り3か月だ。2007年以来、2014年を除くとダイハツが軽自動車販売の1位だったが、久しぶりにスズキがトップに立つ可能性も高まった。
そこで10月に入ると、ダイハツが再びスズキをリードした。軽自動車が前年の1.4倍届け出され、スズキに9285台の差を付けている。この上乗せで、1~10月の累計台数も挽回され、ダイハツが再度上まわった。
この後、11/12月もダイハツの売れ行きが多く、最終的に先に述べた1万2688台の差に結び付いた。1年間の販売格差としては僅差だが、9月の時点でスズキが3448台多かったことを考えると、ダイハツが懸命に逃げ切った印象が強い。
2020年1月に販売を開始した新型ハスラー。スズキとダイハツのデッドヒートに大きな影響を与えた
乱高下が激しかった主力のタント
タントの年間販売台数は前年比でマイナス26%。1~9月は前年比マイナス、10~12月はプラス傾向と台数の乱高下が見られた
形勢を逆転させた10月に、ダイハツが前年の1.4倍届け出した内訳を見ると、軽乗用車、軽商用車(キャブオーバーバンとトラック)がほぼ均等に増えている。いずれのカテゴリーも約1.4倍増加した。
ダイハツの販売推移で注目されるのはタントの変化だ。2020年には対前年比のマイナス傾向が強く、コロナ禍の影響が収まってきた8/9月も前年に比べて40%以上減った。
2020年1~9月の累計届け出台数で、タントの対前年比はマイナス29%であった。それが10月は対前年比がプラス18%になり、11月は再び半減したが、12月は19%増えた。トータルでは26%の減少で乱高下が激しかった。
注目度の高いSUV感覚の軽自動車では、スズキハスラーが2020年1月から新型の販売を開始して、12月までに8万114台を届け出した。
ライバル車のダイハツタフトは、2020年6月に新規投入されたから、2020年の累計は4万2942台と少ない。その代わりムーヴ+ムーヴキャンバスが10万4133台で手堅く台数を稼いだ。
ムーヴキャンバスの2020年の販売台数は本家ムーヴが4万6950台に対し、それを上回る5万7183台で、年間トップ死守に大きく貢献
商用車も、ダイハツハイゼットカーゴは、スズキエブリイバンに比べて2020年の販売累計が5189台多い。ダイハツハイゼットトラックも、スズキキャリイを1万9837台上まわった。
2020年は各車種ともに、コロナ禍の影響を受けて届け出台数が前年を下まわっている。この減少をいかに抑えるかが勝負の鍵を握った。2020年1~9月における軽自動車の累計届け出台数では、ダイハツは前年に比べて22%減り、スズキのマイナス13%よりも深刻であった。
そこで10月以降は前年に対する落ち込みを抑え、1~12月の累計では、ダイハツは15%、スズキは7%の減少に抑えた。ダイハツの落ち込みは依然として大きく、両社の差も1万2688台まで縮まったが、辛くも1位を守ることができた。
未使用車や在庫車の行方
2020年式の中古車が多く出回っている。走行距離10km程度の未使用車やディーラーの試乗車を積極的に中古車市場へ流し、顧客の選択肢を増やす戦略だ
その代わりダイハツに限った話ではないが、中古車市場には、2020年式の軽自動車が多く流通している。ダイハツではタントが際立つ。在庫車を中古車に卸した走行距離が10km以下の届け出済み未使用中古車も多いが、2000~3000kmを走った2020年式も豊富だ。
販売店に尋ねると、「未使用車(届け出済み未使用中古車)を増やすと、新車と販売競争になったり、中古車価格の値崩れにも繋がる。そこで販売店が試乗車や業務に使い、走行距離を少し伸ばした車両を中古車に卸す。そうすれば中古車の価格帯も広がり、お客様も予算に応じて選びやすくなる」という。
在庫車を中古車に卸す時の方法も多様化してきた。
このようにダイハツは、基幹車種とされるタントの販売下降を抑え、6月に投入したタフトを伸ばし、軽商用車も着実に売ることで1位を保った。
スズキは国内販売の総合順位で2位に躍進!!
最近のスズキは普通車に注力している。2020年の国内販売(軽自動車+小型/普通車)の上位は1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ホンダ
またスズキが軽自動車の販売1位に執着しなくなったことも挙げられる。スズキはこの数年間、小型/普通車を10万台以上登録しており、ダイハツの約2倍に達する。2020年は、スバルの登録台数よりもスズキの方が多かった。2020年に国内で売られたスズキの新車の内、17%を小型/普通車が占めている。
今のスズキが小型/普通車にも力を入れることで、ダイハツとの競争が緩やかになった面もある。2020年の国内販売(軽自動車+小型/普通車)の総合順位は、1位:トヨタ、2位:スズキ、3位:ホンダ、4位:ダイハツ、5位:日産と続く。
ダイハツは軽自動車の1位を守り、スズキは「軽自動車+小型車」の2位になって総合自動車メーカーを目指す。両社の方針の違いが際立ってきたことも、ダイハツが1位を守った理由のひとつに含まれる。
2020年軽自動車販売ランキングBEST15
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みんなのコメント
いつもの「お行儀の悪い売り方」ですよ。販売No.1をアピールするために、未使用車を市場に流しただけ。