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詰めは甘いが優れるコスパ ワインディングを楽しめる電動SUV スマート#3へ試乗(2)

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詰めは甘いが優れるコスパ ワインディングを楽しめる電動SUV スマート#3へ試乗(2)

課題が残る回生ブレーキの制御

スマート#3のドライビング体験は、なかなか印象的。基本的なシャシーのハードは#1と同一ながら、サスペンションのスプリングレートとダンパー、ステアリングのレスポンス、スタビリティ・コントロールなどへ、独自の設定が与えられている。

【画像】ボルボEX30と同じ基礎骨格 スマート#3 サイズ的に近い電動SUVは? 先発の#1も 全157枚

シングルモーターの#3でも、アクセルレスポンスは良好。発進直後から太いトルクが生み出される。80km/hを過ぎた辺りから顕著にパワーは細くなるが、#3のようなコンパクト・クロスオーバーとしては必要充分。ツインモーターの必要性は感じにくい。

ドライブモードには、エコ、コンフォート、スポーツの3種類がある。ツインモーターの#3 ブラバスには、ブラバス・モードも付く。

デフォルトのモードはコンフォート。そのままでも、アクセルペダルの角度へリニアな、勢いの良い加速を引き出せる。スポーツ・モードでは、反応が少し過剰なほど鋭くなる。ブレーキペダルの反応も自然といえる。

しかし、回生ブレーキの制御には課題が残るだろう。タッチモニターを介して効きの強さを変更できるのは良いのだが、アクセルペダルから足を離して実際に減速が始まるまで、数秒間の空白時間が存在する。

結果として、ブレーキペダルを頼る場面が増え、回生ブレーキが利き出すと、滑らかな減速を乱してしまう。運動エネルギーの効率的な回収も、妨げるといえる。

ワインディングを楽しめる後輪駆動の操縦性

操縦性は、テスラ・モデル3へ似た印象。ホイールは19インチか20インチを選べ、タイヤの幅が広く、グリップ力は充分以上ある。

シングルモーターでは、後輪駆動らしいコーナリング特性をほのかに感じる。横方向の姿勢制御は引き締まり、271psを活かしたコーナリングへ興じれる。

ただし、ステアリングのチューニングは、シャシーの能力を完全に引き出そうという誘惑へ水を差す。ステアリングホイールの重み付けには一貫性が足りず、切り始めに曖昧な領域があるためだ。

それでも、スタビリティ・コントロールの効きを弱くすると、秘めた活発な側面が顕になる。引き締められたシャシーは、リアアクスルへ掛かる不足ないパワーを受け止め、意欲的にフロントノーズの向きを変えていける。

フロントタイヤが外側へ流れ出す前に、グリップを活かしバランスを整えることも可能。電子アシストは完全にはオフにならず、コーナリングスタンスの自由度には制限があるとはいえ、一般的な電動クロスオーバーよりワインディングを楽しめる。

サスペンションは硬め。強い入力が加わると少し突っ張り、ストロークを使い切れていない様子。とはいえ、鋭い隆起部分などでは細かな振動を残すが、衝撃吸収性は悪くない。全般的に、乗り心地は快適で落ち着いている。

今回の試乗では、シングルモーターとツインモーターの両方を試したが、66kWhの駆動用バッテリーでの航続距離は、前者が450km、後者が402kmとなった。暖かく好条件ではあったが、カタログ値へ近いといえる。

コスパの高い電動クロスオーバー

#3の英国価格は、シングルモーターの49kWhで、約3万3000ポンド(約610万円)から。このクラスのバッテリーEVとしては、かなりお手頃に設定された。66kWhのバッテリーと追加装備を得るプロ+グレードでも、約3万7000ポンド(約685万円)だ。

ツインモーターで428psの#3 ブラバスは、約4万5000ポンド(約832万円)。0-100km/h加速4.0秒の俊足電動クロスオーバーとして考えれば、こちらもお手頃。航続距離はモデル3へ届かないが、総合的に見れば価格価値は高い。

実際のところ、われわれの記憶にあるスマートの延長ではないかもしれない。しかし、#3は不足ない航続距離と実用性を備え、納得できるドライビング体験を得られ、訴求力ある価格で選べる、魅力的な電動クロスオーバーだといえる。

#1と同様に、詰めが甘い印象が全体的に漂うことも事実。小さな課題は少なくなく、時間をかけて磨き込む余地は残されている。創立30年を迎えるブランドへ、期待される品質ではないことは確かだ。

まだ新しいジーリー・ホールディングスは、メルセデス・ベンツより遥かに短期間で開発を完了させ、量産車をリリースしている。インフォテインメントや運転支援のシステムなどには、明らかにその影響が現れている。

それらの課題は、今後解決されていくだろう。企業風土も変化は可能だ。今後どのようにスマート・ブランドが成長していくのか、強い関心を抱かずにはいられない。

◯:まとまりの良いスタイリング シルエット以上に広い車内 優れた動力性能と航続距離 優れたコストパフォーマンス
△:タッチモニターへ集約された車載機能 インフォテインメント・システムのデザイン 運転支援システムの制御

スマート#3 プレミアム(欧州仕様)のスペック

英国価格:3万9995ポンド(約740万円/試乗車)
全長:4440mm
全幅:1844mm
全高:1556mm
最高速度:180km/h
0-100km/h加速:5.8秒
航続距離:455km
電費:6.1km/kWh
CO2排出量:−
車両重量:1810kg
パワートレイン:永久磁石同期モーター
バッテリー:62kWh(実容量)
急速充電能力:150kW(DC)
最高出力:271ps
最大トルク:34.9kg-m
ギアボックス:1速リダクション(後輪駆動)

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