毎年、さまざまな新車が華々しくデビューを飾るその影で、ひっそりと姿を消す車もある。
時代の先を行き過ぎた車、当初は好調だったものの、市場の変化でユーザーの支持を失った車など、消えゆく車の事情はさまざま。
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しかし、こうした生産終了車の果敢なチャレンジのうえに、現在の成功したモデルの数々があるといっても過言ではありません。
訳あって生産終了したモデルの数々を振り返る本企画、今回は三菱 チャレンジャー(1996-2001)をご紹介します。
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文:伊達軍曹/写真:MITSUBISHI
■クロカンブームの火付け役 2代目パジェロをベースに開発
パジェロ譲りの屈強なラダーフレームと、同じくパジェロ譲りの4WDシステムを採用しつつ、やや背の低い専用ボディが与えられたパジェロの弟分。
しかしパジェロとカブる部分が多かったためか、日本ではあまり売れず、日本市場からは1代限りで消えていったSUV。それが三菱 チャレンジャーです。
三菱 チャレンジャーのデビューは1996年7月。車台は2代目パジェロのラダーフレームを流用したため、ホイールベースは2代目パジェロのロングボディと同じ2725mmです。
フロント。2代目パジェロの基本メカニズムを譲り受ける一方で、全高を1710mmに抑えられるなど、クロカン色を抑えたスタイリングが特徴だった
しかし5ドア一択となるボディのサイズはパジェロよりひと回り小さく、特に全高は2代目パジェロより200mmほど低い設定でした。このあたりの関係性は「レンジローバーとレンジローバースポーツ」のそれにちょっと似ているかもしれません。
スタイリングは2代目パジェロの流れを汲むボクシーなもの。しかし前述したサイズ感の違いから、チャレンジャーのスタイリングにはどこかスマートな印象がありました。
完全にクロカン臭が強いパジェロとはまたちょっと違う、「クロカンっぽくもあり、同時に(今で言う)都会派SUVっぽくもある」という、1990年代の4WD車としては独特の雰囲気を持つ車だったのです。
チャレンジャーのベースとなった2代目パジェロ
デビュー時のエンジンは3L V6ガソリンと、2.5L直4ディーゼルターボおよび2.8L直4ディーゼルターボの3種類。トランスミッションは4速ATで、ディーゼルターボでは5MTを選ぶこともできました。
発売当初のグレード構成は「S」「Z」「X」「XR」の4種類。ベースグレードである「S」は5ナンバーでしたが、それ以外はワイドフェンダーとワイドタイヤを採用した関係で3ナンバーでした。
1997年8月にはマイナーチェンジが行われ、ガソリン車のエンジンを3.5L直噴のGDIに変更。同時にガソリン車のトランスミッションはスポーツモード付き5速ATに進化しました。
またディーゼルターボは電子燃料噴射式に変更された2.8Lに一本化すると同時に、モデル全体のグレード体系も変更しています。
翌1998年8月には一部改良が行われ、さらに1999年6月には二度目のマイナーチェンジを実施。エンジンがガソリンGDIに一本化されるとともに、全グレードの駆動方式をフルタイム4WDに変更したのですが、売れ行き不振は改善されず。
結果、2001年に類似モデルの「エアトレック」が発売されたタイミングで、三菱チャレンジャーは静かに販売終了となりました。
■海外では3代目へ進化 日本で1代限りとなった理由は?
なかなか絶妙な存在だったようにも思える三菱チャレンジャーが1代限りで、しかも1996年から2001年という短命で終わってしまった理由。
物事の大きな流れから見るならば、それは「クロカンブームが過ぎ去ったから」ということなのでしょう。
しかしもう少しミクロに見た場合は、「同門のパジェロとの違いがうまく伝わらなかった(かなりカブっているように見えたし、実際カブっていた)」ということになるはずです。
リア。シャープなラインで構成されたボディは、ベースとなったパジェロの質実なそれから離れ、スタイリッシュな印象を与える
前段で申し上げたとおり、チャレンジャーは2代目パジェロのラダーフレームを流用してはいるものの、基本的には「別の車」です。
具体的には、「本格クロカン」であるパジェロに対し、チャレンジャーは「クロカンだけど装路でのスポーツ走行もまあまあ得意とする、現在で言うクロスオーバーSUVみたいな車」です。
しかしながら当時はクロスオーバーSUVという言葉がありませんでしたし、その概念もまだハッキリしていなかったため、一般的なユーザーからするとチャレンジャーは「パジェロの亜流。それなら“本物”であるパジェロを買ったほうがいいかも」というような車に見えました。
また三菱チャレンジャー自身に、今日的なクロスオーバーSUVとしての資質が欠けていたという事情もあります。
チャレンジャーのフレーム構造は乗用車的なモノコックではなく、悪路に適したラダーフレーム。そして駆動方式も、モデル末期に近い1999年途中までは完全なフルタイム式4WDではありませんでした。
以上の理由により、初代三菱 チャレンジャーは1代限りの短命車として終わってしまったわけですが、それはあくまで日本市場での話。
クロカン車の需要が高い諸外国においては「手頃なサイズのクロカン」であるチャレンジャー(海外名パジェロスポーツ)はまずまず人気を博しており、2007年には2代目が発売され、2015年には3代目が発売されています。
3代目パジェロスポーツは2019年7月にマイナーチェンジ。全長×全幅×全高は4825×1815×1805mm(タイ仕様)。2代目モデル以降は海外専売モデルとなっている
この3代目を日本市場に導入すればそこそこ売れるのではないか……とも一瞬思いましたが、ディーゼル規制の関係で日本への導入は実際には難しい模様。
また何らかの方法で規制をクリアできたとしても、兄貴分であるパジェロの国内向け生産が終わってしまったほどクロカン受難の時代は続いていますので、わざわざ導入する価値はないのでしょう。「そういうのが欲しい人は、エクリプスクロスを買ってください」という感じで。
残念ですが、仕方ありません。
■三菱 チャレンジャー主要諸元
・全長×全幅×全高:4530mm×1775m×1730mm
・ホイールベース:2725mm
・車重:1830kg
・エンジン:V型6気筒SOHC、2972cc
・最高出力:185ps/5000rpm
・最大トルク:27.0kgm/4500rpm
・燃費:―km/L(10・15モード)
・価格:284万8000円(1996年式X)
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