もくじ
どんなクルマ?
ー M3の伝統にも変化の時
ー 究極のM3 それがCS
ー さまざまなボディパーツ 迫力のルックス
新型BMW M5試乗 4輪駆動システム採用 ハンドリングも向上 歴代最高の仕上がり
どんな感じ?
ー 装備は充実 キャビンはハードコア
ー パフォーマンスは十分 軽量化は可能
ー 変更は細部 強烈なグリップ
ー 中回転域にもパンチ 誰もが魅了されるモデル
「買い」か?
ー M謹製モデル 満足感は色褪せない
スペック
ー BMW M3 CSのスペック
どんなクルマ?
M3の伝統にも変化の時
いま目の前にあるのは、インディゴブルーに塗られ、張り詰めたような緊張感を漂わせる、F80世代の最後を飾るM3だ。クラブスポーツと呼ばれるこのクルマは、内燃機関だけでリアを駆動する。
ご存知のとおり、80年代後半に登場して以来、BMW Motorsport GmbHが手掛けるすべての3シリーズには共通点があった。時には4気筒や8気筒のこともあったが、主に6気筒エンジンを積み、その駆動輪は前輪ではなく、後輪だけだった。
しかし、この伝統にも変化がやってくる。いまから数年以内に登場するG20世代では、この強烈なパフォーマンスのBMW製スーパーセダンが、より厳格な新WLTP(Worldwide Harmonised Light Vehicle Test Procedure)に適合しつつ、合計出力507psを達成するために、電動パワートレインが採用されることになるだろう。さらに、最新型M5と同じく、F80に続く次世代モデルは四輪駆動となることで、これまでの流儀を変えるのだ。
もちろん、すべてはあくまで予想だが、電動パワートレインの導入や四輪駆動の採用は、M3というモデルを大きく変えることになるだろう。時代の要求とは言え、E90型M3の軽々と回る独特のV8を思い出すと、こういった変化など想像できないが、Mディビジョンのボス、フランク・ファン・ミールは、その中身にかかわらず、M3は常にM3らしさを失わない事が重要だと話す。そして、市場の要求と規制は、彼にノスタルジアに浸る時間など与えないだろう。
究極のM3 それがCS
しかし、AUTOCARの読者であれば、それぞれM3の名に「相応しい」最後のモデルを思い浮かべながら、ファン・ミールとは違った思いを抱くかも知れない。まさに、そういったひとびとのために登場したのがこのクルマだろう。つまり、M3といえば、クラブスポーツこそが「この1台」なのだ。
その成り立ちや、エアロダイナミクス、さらにはこのクルマが非常に限られた台数しか生産されないモデルだと知らなくても、この軽量なサーキット向けセダンが特別な存在だということは明らかだろう。M4クーペの生産はしばらく続く見込みだが、この最後のM3は6月に生産が行われた後、WLTPがそのモデルライフに終わりを告げることになる。
一方、M4はマイナーチェンジに伴い、新たな粒子フィルターが与えられることで、もう少し生き延びることができるようだ。最終的に1200台のM3 CSがBMWのレーゲンスブルク工場から送り出され、価格はその希少性に見合ったものになる。この非常にレアなモデルを手に入れたいと思うだろうが、このBMW製サーキット用セダンの価格は9万ポンド(1359万円)ほどだ。
さまざまなボディパーツ 迫力のルックス
昨年登場したM4 CS同様、M3 CSにもブラックのアクセントが施される。そのボディには、カーボンファイバー製の大げさともいえるガー二ーフラップが付き、攻撃的なフロントスプリッターとのバランスをとっている。
表面には塗装が施されるが、裏は無塗装であり、同様に精巧な作りのカーボンファイバーで補強された樹脂製ボンネットは、ノーマルのM3よりも25%軽量となる。M3 CSを横から見れば、野蛮なほどのパワードームの前に、広く穿たれたベントが設けられ、DTMスタイルの突き出たレーキがまるで鳥の嘴のようだ。
さらに、リアのホイールアーチと、セミ・スリックのミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2との間には、指先はおろか、巻たばこの紙すら入らない。軽量鍛造ホイールのサイズはフロントとリアで、それぞれ19インチと20インチとなる。これまでの最強バージョンだったコンペティション・パックでは、フロントホイールも20インチだったが、ステアリングレスポンスはCSの方が穏やかだ。
しかし、このような素晴らしいルックスを与えたのも、決して2000年代に登場したM3 CRTが、Mディビジョンにとっての理想のモデルだったからではない。
どんな感じ?
装備は充実 キャビンはハードコア
キャビンに乗りこんで、穴の開いた、しなやかで完成された(もしかしたら完成されていないのかも知れない)ツートンのシートに低く座れば、ややポジションの高すぎる新型M5とは違い、M3 CSのドライビング・ポジションはほぼ完ぺきであり、BMW流にドライバーの目線を遮るようなアルカンターラ張りの3本スポークステアリングも、依然として奇妙なほど巨大だ。
アルカンターラはセンターコンソールとダッシュボードにも及び、スイッチの数は最小限だが、機能的には問題なく、十分に満足できるだろう。さらに空調コントロールとBMW独自のiDriveによるプロフェッショナル・インフォテインメントシステム、さらにはハーマンカードンのサウンドシステムが標準となる。
M4では採用されていた軽量ドアパネルなどなくとも、このキャビンの雰囲気はハードコアそのものだ。さらに、収納やアームレストがないことも知っておいたほうが良いだろう。
その価格にもかかわらず、BMW製S55 3.0ℓツインターボ直列6気筒エンジンには、M4 GTSのウォーターインジェクション・システムは搭載されない。M3コンペティション・パックの450psを、10psだけ上回るパワーには必要ないのだ。
パフォーマンスは十分 軽量化は可能
正直言って、0-100km/h加速3.9秒、最高速278km/hのセダンがこれ以上速くなる必要などないだろうが、軽量化は常に選択可能なオプションである。奇妙なことに、このクルマでは大量にCFRPを使っているにもかかわらず、その重量はコンペティション・パックに比べて、わずか10kgしか軽くなっていないが、その重心位置は十分に低くなっているようだ。
最近では、ニュルブルクリンクの陰に隠れた存在になっているが、テストコースはノルドシュライフェのようにチャレンジングで、カルーセルとして知られるコーナーでしか見られないような、荒れた路面よりもひどい状態だった。タイヤの状態が分からないなか、暖かな天候だけが頼りでは、例えこのクルマのベースとなったコンペティション・パックに馴染みがあったとしても、直線と同じようなペースで、M3 CSでコーナーに飛び込むのは決して気持ちの良いものではない。
実際、コンペティションとクラブスポーツの違いは、ステアリングのモードと、軽量ホイール、ハイグリップタイヤの3つと、エレクトリック・スタビリティ・コントロールのセッティングに、リアアクスルに取り付けられたアクティブM ディフェレンシャルだけである。ステアリング・ラックとレシオに変更はなく、スプリングレートとサスペンションのジオメトリーもそのままだが、ノーマルのM4に比べて、約0.5°ネガティブキャンバーが強められている。
変更は細部 強烈なグリップ
ひとつひとつの変更は小さなものだが、その差は大きい。予想以上にしっかりと制御された柔軟性によって、シャシーには非常な落ち着きが備わっている。バネ下重量の削減によって、進路変更は機敏になり、コーナー進入時には、コンペティション・パックよりも素早いシャシーの反応を明確に感じることができる。
意図したものではないだろうが、キャビンもよりダイレクトになったように感じられる。Bピラーの存在がM3 CSのボディをM4 CSよりも強固にしており、この2台を続けて運転してみれば、その違いは明らかだ。
マクラーレンを運転したことのあるドライバーであれば、ブレーキ・ペダルのフィーリングにも気付くだろう。テスト車両には、オプションのゴールドのキャリパーをもつBMW製カーボンセラミック・ディスクが装着されていたが、素直な踏み応えを伴ってキャリパーがディスクにしっかりと食いつき、その強烈なストッピングパワーで、午後一杯走り回ってようやくアンダーステアが顔を出すフロントアクスルへと、ドライバーの体を投げ出させる。
さらに、タイヤのグリップも強烈で、実際、3速での加速はもはや精神力の問題であり、ドライバーは別次元の強力なグリップによって、パワーオンで徐々にノーズを内側へと向けていくさまに満足を覚えるだろう。そして、M3 CSは若干サスペンションを沈みこませながら、まるでミッドシップのようにコーナーから脱出するのだ。
中回転域にもパンチ 誰もが魅了されるモデル
なかなかダウンシフトを選択しない7速デュアルクラッチのトランスミッションのせいで、エンジンブレーキを使う機会が少ないことを除けば、唯一の不満は、改善されたとはいえ、依然としてステアリングを介して路面状況が掴みにくいことだが、シートからはより明確にその状況を読み取ることができる。
では、エンジンはどうだろう? いまだかつて、M3のエンジンが静かだったことなど一度もないが、M3 CSも、4本出しのステンレスパイプから激しい咆哮を響かせる。さらに、中回転域からは、かつてなかったほどのパンチを繰り出すが、これはエンジンそのものの改造ではなく、マッピングの改良によるものだろう。M4同様、他のさらにパワフルなライバルたちに対抗すべく、長い間M3にもエンジン回転数に応じたパワーが求められてきたが、ようやくそれを手にしたようだ。
そのバランスとグリップによって、このクルマには限界などほとんどないようだ。天候が回復して、気温が十分にタイヤを温めれば、限られたクルマでしかできない満足を、M3 CSはドライバーにもたらすことができる。とくに、MディビジョンがノーマルとMダイナミック・モードでのスタビリティコントロールの設定を緩めているのだから尚更だろう。
気まぐれで力強いキャラクターのクルマとして登場したF80型M3は、深く心に訴えかける、誰もが魅了されるモデルとなった。
「買い」か?
M謹製モデル 満足感は色褪せない
お気付きだと思うが、ドライバーズカーとして、M3 CSはMディビジョンが送り出す現役最高のモデルだ。
徹底的に磨き上げられたモデルであり、アルファ・ロメオ・ジュリア・クアドリフォリオやメルセデス-AMG C63 Sほど、手に入れやすくもなければ、楽しめるわけでもなく、誰にでも扱い易いわけでもない。しかし、同じくらい使い勝手に優れ、独自のやり方で完ぺきな満足を与えてくれる。そして、サーキットではこういったモデルを置き去りにすることができる。
冷静に考えてみれば、こういった点も、既に十分素晴らしい能力をもつM3 コンペティション・パックに、さらに3万ポンドものプレミアムを支払う理由にはならないだろう。
それでも、「この1台」を所有する満足感は、例え支払った金額を忘れてしまっても、長く味わうことができるだろう。
BMW M3 CSのスペック
■価格 8万6425ポンド(1305万円)
■全長×全幅×全高 –
■最高速度 278km/h(リミッター作動)
0-100km/h加速 3.9秒
■燃費 9.4km/ℓ
■CO2排出量 240g/km
■乾燥重量 1585kg
■パワートレイン 直列6気筒2979ccツインターボ
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 460ps/6250rpm
■最大トルク 61.1kg-m/3000-7000rpm
■ギアボックス 7速デュアルクラッチ
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