2011年11月に発表された軽スーパーハイトワゴンのホンダN-BOX。「日本にベストな新しいのりものを創造したい」という想いを込めて、新設計のプラットフォームとパワートレインを採用した意欲作だ。
意気込みを感じるのは、プラットフォームにフィットに採用しているホンダ独創のパッケージングテクノロジー「センタータンクレイアウト」を採用したこと。そして、1963年以来、ホンダが軽自動車にDOHCエンジンを搭載したことからも感じられる。
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N-BOXは2014年度にダイハツタントに新車販売台数No.1を奪われたが、2012年度から2020年度まで軽乗用車新車販売台数NO.1のベストセラーカーとなっている。
ここでは2017年8月にフルモデルチェンジを行ない、登場した現行型N-BOXを中古車で購入するメリットについて検証する。
文/萩原文博
写真/ホンダ、ベストカーweb編集部
■N-BOXがダントツ人気になった理由とは
2011年11月に発表された初代N-BOX。それまでのコスト重視の軽のクルマ作りを根底から覆したモデルとして大人気に!!ここからN-BOXの快進撃が始まった
軽自動車のベストセラーモデルであるホンダN-BOXは、2017年8月にフルモデルチェンジを行い現行モデルが登場した。2011年に登場した旧型のN-BOXもプラットフォームをはじめ搭載するエンジンやトランスミッションなどすべて新開発されたものだった。
現行型N-BOXは外観をパッとみただけでは、旧型と見分けがつきにくい。しかし、ベストセラーカーであるN-BOXはわずかひと世代で、全面刷新されているのだ。
現行型N-BOXは上級車の考え方を応用した高効率フロアフレーム構造や高張力鋼板(ハイテン材)の適用拡大などにより、軽量・高剛性化を実現。同時に従来モデルに対しマイナス約80kgという大幅な軽量化も達成した。
さらに、フロア前端にトラス構造フレームを採用。衝突した際にエネルギーをフロアクロスメンバーとサイドシルフレームに分散・吸収させることで、優れた衝突安全性能を実現。
また、ローラー状の電極で連続的に溶接するシーム溶接を 、軽乗用車として初めてドア開口部に採用し、高剛性化に貢献。そしてフロアクロスメンバーなど、フロアまわりの骨格接合に高粘度接着剤を用い、接合面積を広くすることで高い剛性を獲得している。
搭載する2つのエンジンも新開発。エンジンの骨格を従来よりロングストローク化。一般的なロングストロークエンジンは、燃費性能が優れる反面、高出力化が困難となるが、新型エンジンは、吸気効率を高めることで、燃費と出力を高い次元で両立させている。
最高出力58psを発生する自然吸気エンジンには、軽乗用車として初のバルブコントロール機構のVTECを搭載。これは低速回転域と高速回転域のそれぞれに最適となるようバルブの開閉タイミングとリフト量を切り替えるもので、VTC(連続可変バルブタイミング・コントロール機構)と合わせて吸排気効率を大幅に向上させ、低速から高速まで爽快な加速性能とすぐれた燃費性能を両立させる。
また、最高出力64psを発生するターボエンジンには、過給圧を最適にコントロールする電動ウェストゲートを採用した。これは排気の一部をタービンに流入しないようにうかいさせるウェストゲートに軽乗用車として初めて電動式を採用。これにより過給圧を任意に調整でき、低燃費化やレスポンスの向上を実現した。
そして、安全運転支援システム「Honda SENSING」を全車に標準装備したことも注目すべきポイントだ。先行車や歩行者を検知して、衝突の危険がある場合に自動でブレーキをかけて衝突回避・被害軽減を図る衝突軽減ブレーキ(CMBS)をはじめ、誤発進抑制機能、高速道路での追従走行が可能なACC(アダプティブクルーズコントロール)の9つの機能に加えて、後方誤発進抑制機能などを追加した10の機能でドライバーをサポートしてくれる。
ベストセラーカーらしく、わずかひと世代で大幅な進化を遂げており、これが多くのユーザーに支持され販売台数トップを続けているのである。
2代目N-BOXのエクステリアはキープコンセプトで登場。一方、インテリアや乗り心地、静粛性といった全体的な質感は大きく向上
現行型N-BOXは標準モデルのN-BOXとエアロパーツを装着したN-BOXカスタムの2つのタイプを用意。さらに、ベンチシート仕様に加えて、助手席にスーパースライドシートを採用したEXという2つのシートバリエーションを設定している。
2017年8月に登場したN-BOXは2018年に日常生活はもちろん、介護から趣味まで幅広いシーンで活躍するスロープ仕様を追加した。
2019年10月の一部改良では、先進の安全運転支援システム「Honda SENSING」の衝突軽減ブレーキ(CMBS)に応談する自転車に対応させたほか、街灯のない夜間の歩行者検知も進化させている。
さらに、リアワイドカメラを従来の30万画素から100万画素まで画素数を向上。よりクリアな後方確認が可能となった。そして従来4WD車のみに採用していた「運転席&助手席シートヒーター」、ターボ車のみに採用していた左右独立式リアセンターアームレストを標準装備とするなど快適機能を向上させている。
2020年11月25日に行なわれたマイナーチェンジで標準モデルはフロントグリルやロアグリルのデザインを変更し、メッキ加飾も増やしている。グリル内にある横方向のメッキバーをホンダロゴの位置に下げ、さらにバンパーの開口部にも細いバーを追加
2020年11月にはマイナーチェンジを実施。N-BOXの外観は、ヘッドライトとグリルの形状変更により、より落ち着いた表情で親しみやすいスタイルに変更。さらに、品のあるメッキバーをロアグリルに追加しワイド感を強調している。
インテリアは、安心感を与えるようなダークブラウンへ刷新し、ホワイト加飾やシート表皮を引き立てるようになった。新たに追加したコーディネートスタイルでは、2トーンの外装色をブラウンルーフへ統一し、メッキドアハンドルに加え新たにディッシュホイールを追加。インテリアは、ダークブラウンの内装に加えて、塗装加飾とシート表皮をブラウン色調としている。
一方、N-BOXカスタムは外観をアッパーグリルのメッキを強く立体化するなどフロント回りのデザインを強化するのに合わせ、フロントのライセンスを中央に配置し、メッキバーをリアバンパーに追加した。
インテリアは、ブラック内装やシート表皮は継承しつつ、マルチブラック塗装の加飾を刷新し深みのある奥行き感を与えている。新たに追加したコーディネートスタイルは、ダークメッキの加飾に加え色調を揃えたカラークリア仕上げのアルミホイールで重厚感のあるスタイルを実現。インテリアはブラック内装にマルチボルドーの塗装加飾と、こちらもホンダの軽自動車としては初となる、フル合皮シートを採用し、高級感あるスタイルを採用している。
また、Honda SENSINGの後方誤発進抑制機能にも用いるソナーセンサーを4個へ増やすことで、後方の障害物の接近を検知しドライバーに注意を促すパーキングセンサーシステムを追加し、駐車時などでさらなる安心感を獲得している。
2021年12月の一部改良で従来の足踏み式を改め、電動パーキングブレーキを標準装備。その恩恵でクルーズコントロールの機能強化にもつながった
2021年12月の一部改良では、ユーザーからのニーズが高いオートブレーキホールド付電子制御パーキングブレーキを新たに全車に標準装備とした。同時に「Honda SENSING」のACCは渋滞追従機能付ACCへと進化し、高速道路における渋滞時などのドライバーの負担をさらに軽減できるように図っている。
そして、 Nシリーズ10周年を機に新たにNシリーズに設定する「N STYLE+」を設定。第一弾の「N-BOX カスタム STYLE+ BLACK」は、上質かつ精悍なN-BOX カスタムのデザインに、こだわりのブラックをアクセントカラーとしたエクステリアが特徴だ。
2021年12月、2011年の初代(先代)N-BOX登場から10周年を記念した特別仕様車「Nスタイル+」(クリスタルブラック・パール)
■中古車価格帯は初代が約18万~約174万円、現行が約58.5万~約259.8万円
それでは、N-BOXの中古車事情を見てみよう。
現在、N-BOXの中古車は約1万5730台流通していて、2011年~2017年8月販売された旧型が約6180台。2017年9月から販売された現行モデルが約9150台となっている。
旧型N-BOXの中古車の平均価格は約87万円。価格帯は約18万~約174万円。
一方の現行型の中古車の平均価格は約152.6万円。価格帯は約58.5万~約259.8万円とかなりクロスオーバーしている。しかし、先ほども書いたように現行と旧型ではプラットフォームだけでなくエンジンも一新されている上、先進安全装備の「Honda SENSING」が標準装備されており、旧型を購入するメリットは価格面だけだ。
しかも、これから中古車を手に入れて長く乗ろうと思うのであれば、選択肢は現行モデルの中古車一択だ。ボディカラーや走行距離など妥協できる部分は目をつぶっても現行型を選ぶのが賢い選択だ。
■現行型N-BOXの中古車の約3割が登録済み未使用中古車
N-BOXの中古車全体の平均価格と流通台数の推移を見てみると、3カ月前の2021年12月の時点では流通台数は約1万4000台、平均価格は約120万円だった。
しかし、現在では約1万5730台まで増加し、平均価格も約131万円まで値上がりしている。これは昨今の半導体不足による新車遅延で中古車人気の高まりが原因! と言いたいところだが、それよりもこの値上がりの理由は2021~2022年式という高年式で、走行距離の極端に少ない登録済み未使用中古車が大量に中古車市場に流入したことの影響が大きい。
2021年~2022年式、走行距離500km以下という条件で現行型N-BOXの中古車を検索してみると、約2710台がヒットする。実に現行型N-BOXの中古車の約3割が登録済み未使用中古車となっているのだ。
グレードやボディカラー、装備など自分の好みに合ったクルマがあれば、新車で納車が長期に及ぶのであれば、即納車可能なこういった登録済み未使用車を狙うのもありだ。
■初期型、2型、3型、4型に分けて中古車相場を見る
2017年8月の登場から2019年10月の一部改良までを初期型。中古車価格帯は約58.5万~約229.8万円
2019年10月の一部改良モデル。ここからが2型とすると2020年12月のマイナー前のモデルが2型に該当する。2型の中古車価格帯は約85.5万~約259.8万円
さらに、現行型N-BOXの中古車を細分化してみる。2017年8月~2019年10月の一部改良までを初期型。2019年10月~2020年12月のマイナーチェンジまでを2型、2020年12月から2021年12月の一部改良までを3型。そして2021年12月の一部改良以降を4型と区分する。
そうすると、初期型の流通台数は約4470台、2型は約1076台、3型は約2620台、そして4型は約990台となっている。中古車の価格帯は初期型が約58.5万~約229.8万円、2型は約85.5万~約259.8万円、3型は約93.8万~約256.9万円、4型は約120万~約250万円となっている。
2020年12月のマイナーチェンジモデル。ここから2021年12月の一部改良までの1年間が3型となる。3型の中古車価格帯は約93.8万~約256.9万円
電動パーキングブレーキが装備された2021年12月の一部改良モデルを4型とする。流通台数は約990台、中古車価格帯は約120万~約250万円
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