ニューモデルの登場こそ少ない日産だが、どの車種も熟成の域に達している。セレナはスペックこそライバルに劣る部分もあるが、乗り心地が良くe-POWERの力感もある、両立したクルマに仕上がっている。
※本稿は2023年11月のものです
文/伊達軍曹、写真/NISSAN、ベストカー編集部
初出:『ベストカー』2023年12月10日号
まるで継ぎ足しのタレ!! セレナは乗り心地も力感よし! 熟成を続ける日産キャッチコピー
■老舗料理店のタレのような「注ぎ足し」が魅力の日産車
老舗のうなぎ料理店の店主は、有事の際にはタレの容器を抱えて逃げるという。熟成されたタレは何物にも代え難い財産なのだ。セレナe-POWERも熟成を重ね、その魅力は高まる一方だ
完全なニューモデルの数は少なく、セレナe-POWERにしても「基本となるプラットフォームは昔のまま」ではある2023年登場の日産車。
とはいえ、老舗のうなぎ料理店が注ぎ足し、注ぎ足しでタレの味を熟成させていくかのように熟成されていった2023年の日産車は、それなり以上に魅力的であった。
特にセレナe-POWERは、“タレの注ぎ足し”による熟成が極限まで進んだ好ましいミニバンだ。また、あくまで熟成を止めずに走り続けるGT-Rの姿勢も、尊敬に値する。
■GT-R 2024年モデルに大いなるリスペクトを込めて……
●品質は昨年より良い(1999年のコピーより)
日産 GT-R(2024年モデル)
「品質は昨年より良い」というと、おざなりな文言にも感じるが、地道な改良により、常に「昨年より良い」という状態であり続けているGT-Rには尊敬の念しかない。
ちなみにボジョレーの場合、この前年のコピーは「10年に一度の当たり年」。それ以上だというのだから、「昨年より良い」というのはかなりのことなのである。
■セレナe-POWERにはぜひコレを当てはめたい!
●豊かな果実味と程よい酸味が調和した味(2008年のコピーより)
日産 セレナe-POWER
同じ車台を長らく使い続けていることで、一部から批判的な声も聞かれる現行型セレナ。
しかし実際に乗ってみれば、特に2023年4月発売のe-POWER版は、豊かな果実味(乗り心地のよさ)と程よい酸味(e-POWERの力感とスポーティなハンドリング)が両立しているミニバンであることがわかるはず。
ワインもクルマも、実際に飲んだり乗ったりせず“スペック”だけで判断するのは愚の骨頂だ。
■スカイラインNISMOはこんな感じだべ?
●出来は上々で申し分のない仕上がり(2000年のコピーより)
日産 スカイラインNISMO
2019年夏のマイチェンで追加された「400R」をさらに磨き上げ、現時点におけるスカイラインの究極像を目指したスカイラインNISMO。
GT500クラスのパワートレーンを手がけたエンジニアが同じ開発設備を使ってチューニングを施した最高出力420psのVR30DDTTや、優しいが精密感も強い足回りには、このコピーを贈らせていただきたい!
■フェアレディZ NISMOに期待を込めて……
●理想的な条件の下、すばらしいヴィンテージへの期待高まる(2018年のコピーより)
日産 フェアレディZ NISMO
上は2018年8月付けプレスリリースの見出し。同年11月に出荷されたボジョレー・ヌーヴォーではなく、その前のぶどう畑の状態を見て「期待高まる」と評したのだ。
フェアレディZ NISMOも2023年8月に発売はされたものの、納車はまだ先。とはいえ「たぶん素晴らしいだろう」ということで、この見出しを適用したいのだ。
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