■世界でも人気のベストセラーSUV対決!
2019年4月にトヨタの新型「RAV4」が約3年ぶりに復活を果たしました。それまで、ミドルサイズSUVとして好調だった日産「エクストレイル」を販売台数で追い抜き、RAV4はSUV市場で人気モデルになっています。
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復活したRAV4と長年ミドルサイズSUVで売れ筋だったエクストレイルには、どのような違いがあるのでしょうか。
両車のボディサイズは、RAV4がグレードにより異なり全長4600mmから4610mm×全幅1855mmから1865mm×全高1685mmから1690mmです。最低地上高もガソリン車が190mmから200mm、ハイブリッド車は190mm。最小回転半径は5.5mから5.7mとなっています。
対するエクストレイルもグレードやエアロ仕様により異なります。全長4690mmから4710mm×全幅1820mm×全高1730mmから1740mm。最低地上高もガソリン車が205mm、ハイブリッド車は200mm。最小回転半径は5.6mです。
若干エクストレイルの方が長く背の高いサイズ感となっています。
パワートレインの違いでは、RAV4が2リッターガソリン車と2.5リッターガソリンとモーターを組み合わせたハイブリッド車を設定。
エクストレイルは、2リッターガソリン車と同じ2リッターをモーターと組み合わせたハイブリッド車がラインナップされています。
また、オフロード性能を特徴とする両車の4WDシステムでは、双方の方向性がうかがえます。
RAV4には3タイプの四駆システムが採用されました。ひとつは「ダイナミックトルク4WD」という従来型の電子制御式前後トルクスプリット型のシステムです。
ふたつめは「E-Four」という前後2つのモーターを使ったハイブリッド4WD。そして3つ目が、世界初のメカニズムを採用した「ダイナミックトルクベクタリングAWD」(アドベンチャーとG Zパッケージに装備)です。
この世界初の4WDシステムは、4WD統合制御「AIM」によって、各輪の駆動力、4WDへの切り替え、ブレーキ、ステアリングを自動でコントロールします。
さらに「ランドクルーザー」などに採用されている走行モードを変更できる「マルチテレインセレクト」によって、特別なオフロードテクニックを有さずとも、マッド(泥)、サンド(砂)、ロック(岩)、ダート(砂利道)をスムーズに走破することができるのです。
対するエクストレイルには、「インテリジェント 4×4」が採用されています。これは、あらゆる路面に対応する電子制御4WDシステムとして、アクセルを踏むと同時に各種センサーの情報から、4WDコンピュータが走行状況に応じて前後トルク配分を100:0から約50:50に切り替えて、滑りやすい路面でも 安定した走りを実現し、燃費の向上にも貢献します。
また、エクストレイルには3代目モデル登場当時に世界初の技術として採用された「インテリジェント ライドコントロール(車体振動抑制システム)」が搭載されています。
車体の上下動を予測し、駆動力とブレーキを制御することで不整路などでの車体振動を低減。微細な振動から大きな揺れまでさまざまな起伏に対応し、乗り心地と安心感を向上させるものです。
※ ※ ※
RAV4の販売が好調な理由として、トヨタの販売店スタッフは次のように話します。
「これまでSUV新車市場をけん引してきたのは、C-HRやヴェゼルなどのスタイリッシュな都会派クロスオーバーのコンパクトSUVでした。
対して、RAV4はミドルサイズSUVで、デザインもワイルド系です。機能面では世界初の4WDシステムを採用するなど、これまで売れ筋だった都会派コンパクトSUVとは方向性が異なるモデルです。
また、この3車種の価格帯も大きく販売台数に影響しています。C-HRとヴェゼルの価格帯は約230万円から約300万円です。対してRAV4は、ひとつ上のセグメントですが約260万円から約380万円となり、C-HRとヴェゼルの上級グレードを検討すると、RAV4は比較対象になりやすくなることと、方向性の違う新しいSUVという点などが、売れている要因といえます」
対してエクストレイルを販売する日産の販売店スタッフは、次のように話します。
「2019年4月に、新型RAV4の登場がメディアで報じられたあたりから、動きが鈍くなってきた感じがあります。エクストレイルは2013年の発売から6年目となるいまも、高級感のある落ち着いたデザインと優れたオン・オフ性能で、販売は順調でした。
日産の全車種のなかでも、『ノート』『セレナ』とともに、エクストレイルは常に好調だったのですが、新型RAV4という選択肢が増えたことで、ユーザーの目がトヨタに移ってしまったことは否めないと思います」
■RAV4とエクストレイルは、使い勝手に差が出る?
クルマ自体のパフォーマンスは、登場が新しいRAV4の方が良いのは仕方ないことです。しかし、細かな使い勝手面ではエクストレイルはアクティブなユーザーに配慮された機能が備わっています。
たとえば、サーフィンやウィンタースポーツなどでは車内が汚れることが多いです。その点では、エクストレイルのシートには、防水シートや防水加工フロア、防水ラゲッジボード(ガソリン車)などが採用されています。
シートは、雪がついたり濡れたウェアのまま座っても、簡単に拭き取れるうえ、シートメイン部には、高次元の防水・透湿性を誇るセルクロスを採用し、夏場の不快なムレを緩和する透湿性を大幅に向上。
また、メーカーオプションとして「クイックコンフォートシートヒーター(運転席・助手席・セカンド左右)」を選ぶことができます。
これは、まず人間が「暖かい」と感じやすい部位を温め、次に「快適」と感じやすい部位を温めることで、短時間で身体を温めることができるヒーターシステムです。さらに、国産車ではあまり採用例の少ない「フロントシート用カップホルダー(保温保冷機能付)」が装備されているのもエクストレイルの快適装備の特徴といえます。
対するRAV4には、冬のドライブに心強い「ステアリングヒーター」を上級グレードに標準装備。また、エクストレイル同様にシートヒーターも一部グレード搭載されるほか、背もたれ面と座面に爽やかな風が通るベンチレーション機能も設定。これは、アドベンチャーグレードのみのメーカーオプションとなっています。
充電用のUSB端子の数は、RAV4が前席センターコンソールボックス内側2個と、後部2個に配置。対するエクストレイルは、センターコンソールに1か所配置されているだけです。
また、RAV4はスマートフォンなどをワイヤレスで充電できる機能が全車にメーカーオプションで設定されています。
これは、2013年に現行エクストレイルが発売された当初は、スマートフォン自体がいまほど普及していなかったことで充電環境に対する意識がRAV4との装備に差が出ている理由です。
前述の日産の販売店スタッフは、エクストレイルの装備について次のように話します。
「エクストレイルは、初代モデルからサーフィンやスキー・スノボーなどのレジャーを楽しむユーザーをメインターゲットにしています。そのため、ウエットスーツやスノーウェアのまま車内に乗り込んでも大丈夫な仕様になっています。
ただし、先代モデルには前席+後席のシートヒーターが設定されていたほか、後席がフルフラットになっていましたが、現行モデルでは後席ヒーターが無くなり、フルフラットにはならなくなった点などが、先代モデルユーザーから不評が出ているようです。
しかし、それでも他社SUVに比べればアクティブなユーザー向けの機能は充実しているといえます」
※ ※ ※
復活したRAV4と堅調なエクストレイルは、ともにアクティブなニーズを持ったユーザーに好まれるモデルです。
2020年には新型エクストレイルの登場が噂されていることもあり、そのときには、RAV4の販売が脅かされる可能性は十分にありえます。
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来年、新型が出るならそっちで比べたら?