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なぜ販売続く? 10年目のレクサス「CT」 密かに残り続ける理由とは

掲載 更新 20
なぜ販売続く? 10年目のレクサス「CT」 密かに残り続ける理由とは

■レクサスの末っ子「CT」はなぜいまも販売されているのか。

 ここ2年内のレクサスブランドにおいて、さまざまなモデルが刷新されました。
 
 そうした国内ラインナップにおいて、大きな変化がなくひっそりと販売されているのが、コンパクトハッチバックの「CT」です。なぜ、CTは販売台数もそれほど多くなく、改良などの変化が無いなかでも販売が継続されるのでしょうか。

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 2017年に登場の「LC」を皮切りに「第3チャプター」と呼ばれる次世代モデルの移行が進んでいるレクサス。
 
 同年にフラッグシップの「LS」、2018年にミドルクラスセダンの「ES」、コンパクトクロスオーバーの「UX」、そして2020年にコンパクトスポーツセダンの「IS」がフルモデルチェンジに匹敵する大幅改良を実施。

 さらにレクサスの販売をけん引するSUVの「RX/NX」も全面刷新は時間の問題といわれています。

 また、電動化ビジョン「レクサス・エレクトリファイド」を発表しており、初の市販EVである「UX300h」に加えて、2021年第一四半期に新型EVのコンセプトモデルをお披露目すると発表しています。

 しかし、その流れに乗っていないモデルが前述のCTです。

 2011年の登場以来2回(2014/2017年)の大幅改良がおこなわれていますが、ここ数年は目立った動きはありません。

 ちなみに現在の国内向けの販売台数は月に150台前後ですが、グローバルで見ると月1000台だといいます。

 つまり、「次世代への投資は厳しいが、今すぐやめる必要もない」という状況なのでしょう。

 参考までにCTを購入する人の多くは「扱いやすいボディサイズ」が決め手となるそうです。

 CTのボディサイズは全長4355mm×全幅1765mm×全高1450mmとなり、コンパクトSUVのUX(全長4495mm×全幅1840mm×全高1540mm)よりもひと回り小さいです。

 エクステリアはスポーティなシルエットながら、最新モデルと比べると線の細さや面の抑揚のなさに時代を感じるのも事実ですが、同クラスのライバルがより個性を強めるべく味濃い目なスタイルを採用するなか、フロント周り以外は比較的オーソドックスでシンプルなデザインは今見るとホッとする部分もあります。

 インテリアも同様で、最新レクサスの基礎を作った横基調のインパネ周りに加えて、2017年に大幅改良で採用の大型化されたナビゲーションディスプレイなどにより操作性/利便性に不満はありませんが、センター部の操作系の煩雑さや各部の質感など細部のツメの甘さに時代を感じます。

 ただ、ダイヤル式を採用することで細かい調整が可能なシートヒーターなど最新レクサスより優れる部分も存在。

 現在のCTについて、レクサスの販売店関係者は次のように話しています。

「最近では、ISやLS、LCとLCコンバーチブルなど続々と新しくなったこともあり、問合せや来店されるお客さまの多くは、それらのモデルか売れ筋のSUVタイプに関心があります。

 CTを検討される人では、サイズ感がちょうどよいことから、CTからCTに乗り換えるお客さまがいらっしゃいました。

 また、メインカーとしてLXを持っており、セカンドカーとして扱いやすいCTを検討されるという場合も過去にはありましたので、販売側としても無いと困る存在ではあります」

■2021年で10年目突入。 CTは乗るとどんな感じ?

 パワートレインは、3代目のトヨタ「プリウス」と基本的に同じで1.8リッター+モーターのTHSIIを搭載。必要十分なパフォーマンスは備えるものの、同システムを搭載する最新モデルと比べると体感的な力強さは今ひとつです。

 とくにアクセルを踏んだ際の応答性がイマイチなのとエンジン回転と車速の伸びがチグハグなラバーバンドフィーリングが強く残ってしまうなど、前時代的な部分も否めません。

 プラットフォームは3代目プリウスと同じ新MCプラットフォームですが、ボディ剛性やダブルウィッシュボーン化されたサスペンションなどはCT専用です。

 ロングライフだけあり、これまで吸音・遮音材の改良による静粛性アップやスポット溶接打点の追加や構造用接着剤の採用&サスペンションアップデートによる走りの進化もおこなわれています。

 実際に乗ってみると、確かにボディの剛性感やスポーティな姿勢変化が抑えられたスポーティなハンドリングなどは「古いのに、なかなかやるね!!」と感じる部分もありますが、一方でステアリングの切り始めが曖昧で直結感が乏しいステアフィールや一体感に欠けるクルマの動き、ストローク感が乏しい硬めの乗り心地などは古さを感じる部分です。

 逆をいえば、既存のプラットフォームだと走りと乗り心地のバランスが難しいと思いますが、既存プラットフォームながら走りは激変したISがある以上、いい訳はできません。

 安全支援パッケージは2017年の改良で「レクサスセーフティシステム+」を全車標準装備。

 2020年の改良でパーキングサポートブレーキ(静止物)がプラスされていますが、システム自体は旧世代なので、仮に同じ機能であっても性能差は存在しています。

 デビューからそろそろ10年ということを踏まると悪くはないクルマだと思いますが、価格を含めた商品力ではライバルのプレミアムコンパクトハッチはもちろんトヨタブランドの「カローラスポーツ」にも惨敗です。

 そのため、「レクサスでなければ困る」、「駐車場のサイズが決まっている」といった特定の理由を持つ人以外には積極的なおススメはできないのが本音です。

 CTのベースとなった3代目プリウスは、2015年にTNGAプラットフォームを採用した4代目へと進化しましたが、CTは継続販売の道を選びました。

 筆者(山本シンヤ)はこのときの決断が運命の分かれ道だったと思っています。

 ちなみにCTがデビューした際、開発チームは「末っ子はヤンチャなほうがいい」と語っていました。

 筆者はレクサスブランドの入門モデルだからこそ、兄貴分以上に個性が必要であることの裏返しである、と解釈しています。

 今後、2代目CTの開発計画があるかどうかはわかりません。

 ただ、仮に存在するならば、実用性はUXに任せる代わりにLCも驚くようなエモーショナルなデザインと最新の電動化技術を採用したプレミアムエレクトリックスポーツコンパクトというような2代目CTを期待したいところです。

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