新型車比較・ライバル車対決 [2024.06.11 UP]
大人気モデル大集合!『先代→新型乗り替え指南』
レクサスLM vs アルファード《プレミアムミニバン頂上決戦》
長らくユーザーを悩ましていた納期問題も、ようやく解消傾向!
人気モデルから人気モデルへの乗り替えを検討しているならば、この春はまさにビッグチャンス! クルマ購入のスペシャリスト「渡辺陽一郎」が、この春の注目モデルの乗り替え方をお教えしよう。
買い方の達人「渡辺陽一郎」推薦!! カーライフジャーナリスト・渡辺陽一郎:モデル解説だけではなく、クルマの買い方についても深い造詣を持つ。特に独自の視点で切り込む、モデル&グレード選びは注目の価値あり。新車購入で頼りにできるスペシャリストだ。2024-2025「日本カー・オブ・ザ・イヤー」選考委員を務める。
TOYOTA アルファード/ヴェルファイア
走りと快適性がさらに進化
どちらも最上級ミニバンだ
アルファードとヴェルファイアは、基本部分を共通化している姉妹車だが、昔と違って、どちらもトヨタ全店で購入することができる。そのため、現行型は先代以上におのおのの個性化が進み、モデルの性格が明確に分けられていることが特徴だ。
まず、アルファードはラージサイズミニバンの中心的な存在で、豪華指向を強くアピールしているが、一方のヴェルファイアは、ミニバンながらスポーティを意識して仕上げられている。
パワーユニットも異なっており、2.5ℓ直4のハイブリッドは両モデルに設定されるが、ガソリン車はアルファードは2.5ℓNA、ヴェルファイアは、スポーツ指向が強い2.4ℓターボが採用されている。さらにヴェルファイアは、フロントパフォーマンスブレースを装着することでボディ剛性も向上。走りの方向性に差を付けている。
装備面もヴェルファイアは若干上位設定で、本革シートや左右独立ムーンルーフなどを全グレードに標準装着。そのため共通のハイブリッドを搭載するアルファードZとヴェルファイアZプレミアの価格を比べると、後者が70万円ほど高くなっている。
外観加飾はどちらも似たイメージだが、ヴェルファイアはフロントマスクのメッキの使用を抑えることでブラックに仕上げられ、精悍な雰囲気を強調。個性ぶりはヴェルの方が強めだ。
アルファードの新旧モデルを比べると、コンセプトやデザインに共通性があるが、ヴェルファイアは先代とは印象がかなり違う。
ヴェルファイアの性格が大きく変わった背景には、プラットフォームをGA‐Kに刷新したことが大きい。現行型は、全般的に走行安定性と乗り心地のバランスが引き上げられており、ステアリングを操作した時の車両の反応も正確になっている。特にヴェルファイアは、走りの基本性能を高めたからこそ、スポーティなセッティングも可能になったというわけだ。
なお購入時の注意点として、ヴェルファイアは、若干乗り心地が硬め。アルファードよりも運転感覚が楽しく感じられる代わりに、快適性は削がれている。また両モデルとも全長が4995mm、全幅は1850mmと大柄で、最小回転半径も5・9mと大回りだ。運転席からの視線位置も高いから、左側面の死角も大きい。購入時には、販売店の試乗車を使って乗り心地のチェックを入念に行い、縦列駐車や車庫入れも試すべき。豪華さや快適性は際立って高いが、普段の利用時は人を選ぶタイプだ。
アルファード
車体寸法は全長が約50mm長くなるが、ボディサイズはほぼ同じと考えていい。サイドパネルの大胆な造形もあって、洗練されたイメージが強まっている。
アルファードのインパネは、落ち着いた色合いを基調にデザイン。Z系とエグゼクティブラウンジ系で動作部分が異なるが、セカンドシートはオットマン付きのキャプテンシートを採用。
座り心地優先のサードシート設計は変わっていないが、現行型は跳ね上げ位置を工夫することで、格納時のスペースを上手に稼ぐ工夫が盛り込まれている。
ヴェルファイア
内装系の基本デザインや装備機能はアルファードと共通だが、パネル加飾や内装カラーは専用設定で差別化。走りも硬めのサスチューンでスポーティさを強調する。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
価格帯は上がったが性能向上はそれ以上。いまは待つのもアリ
ハイブリッドやプラットフォームが刷新されたことで、価格帯は上がってしまったが、動力性能や燃費、走行安定性、乗り心地の向上はそれに十分見合うもの。先代の走りに不満を感じていたユーザーは、現行型の性能に驚くはずだ。また内外装の質や、3列目シートの座り心地、衝突被害軽減ブレーキなども進化している。今は上級グレードのみの設定で価格が高く、さらに受注停止が続いているが、改良時にGなどの割安グレードも加わるはずなので、そこまで待つのもアリだ。
先代も豪華なシステムを装着していたが、現行型は車載ナビ機能を備える最新トヨタセーフティセンスプラスに進化。モニターも大画面の14インチワイドとエンタメ性能も強化している。
プラットフォームを最新GA-Kに最適化したことで、シャシー性能も大幅に強化。先代に比べると乗り心地や静粛性が大きく向上している。
オススメグレード:Z(ガソリン.2WD)
価格:540万円
総合力ならハイブリッドだが、Zでも装備機能は十分豪華
アルファードはヴェルファイアよりも乗り心地が快適で、価格も安めの設定。万人にオススメできるのはアルファードだ。グレードはZでも装備充実なのでこれで十分。ハイブリッドZはガソリンZよりも80万円高くなるが、税額は約20万円安くなり、実質価格差は60万円に縮まる。動力性能と燃費のバランスも良好なので、ガソリン車よりもハイブリッド車を選びたい。
先代モデル
先代はアルファードもヴェルファイアも標準ボディ車とエアロボディ車の2つの仕様が設定されていた。撮影車は後期アルファードのエアロボディ車。
乗り味も重質で同世代のミニバンの中ではトップクラスの実力だが、現行型と比べると路面からの突き上げ感が少し強め。特にガソリン車は力感に少し不満を覚えてしまう。
先代はセカンド・ベンチシート仕様も設定されていたが、人気の中心はキャプテンシート仕様。座り心地や居心地の良さは、今でも十分すぎるほど良好だ。
TOYOTA ハリアー
プレミアムの魅力に加え
優れた実用性も見逃せない
ハリアーはLサイズのSUVで、売れ筋価格帯が400万円を超えるモデルの中では、登録台数が最も多い。すでに設計が新しいクラウンクロスオーバーやクラウンスポーツなども販売されているが、ハリアーはそれ以上に売れている。
これほどまでにハリアーが人気を集めている理由は、独特のデザインと上質感を持つことが大きい。SUVでありながら内外装は都会的な雰囲気で、インパネには合成皮革も使われている。キャビン空間も広く、4名乗車でも長距離を快適に移動でき、荷室容量も開口部にも余裕があるため使いやすい。
販売店では「クラウンクロスオーバーやクラウンスポーツを検討されたお客様が、ゴルフバッグなどの積みやすさから、購入対象をハリアーに変更することもある」という。パワーユニットは、2ℓ直4NAガソリンと2.5ℓハイブリッドで、ガソリン車のSの2WD仕様は価格が312万8000円。売れ筋価格帯は400万円以上だが、安価なグレードを選べることもハリアーの魅力だ。
2020年に発表された現行ハリアーは、歴代モデルが受け継いできた内外装の上質感を重視して開発されている。テールランプは、左右が連結される流行のデザインで、方向指示器が低い位置に装着されるため、後続車両からの視認性は良くないが、後ろ姿はカッコイイ。インパネのデザインも含めて、先代型のユーザーにも「欲しい!」と思わせる、巧みなデザインの進化も、トヨタの真髄だ。
さらに走りも、現行型は先代に比べて乗り心地も上質になっている。低速域の硬さは改善の余地を残すが、路上の細かなデコボコを上手に吸収してくれる。特にハイブリッドは、モーター駆動の併用で加速が滑らかに感じられ、1ランク上の走りを披露してくれる。
なお、安全装備の充実ぶりもポイント。衝突被害軽減ブレーキは自車が右左折する時でも、直進車両や横断歩道上の歩行者を検知して作動する上級機能を備え、後方の並走車両を知らせるブラインドスポットモニターも選択可能だ。
ハリアーを新旧で比較すると、居住空間や荷室の広さ、収納設備などの実用性は大差がないが、その代わりデザインや乗り心地、静粛性など、上質感を感じやすい部分の進化を感じることができる。王道プレミアムの良さを分かりやすく実感できることも、人気を集める理由といえよう。
そして先代は今でも高値で売却されている。下取、買取どちらでもリセールが強く、クルマ選びに幅を持たせることができる。これもハリアーの特権のひとつだ。
歴代モデルから受け継がれた色気のあるクーペキャビンのイメージは残しつつも、力感を強めたサイドパネル造形で、新鮮味溢れるスタイリングを実現。
ソフトパッドやパイピング意匠、イルミネーションの魅せ方を工夫することで、1ランク上の凛とした心地よい居住空間を追求したキャビン空間を楽しめる。
ガソリン車は2ℓ直4ダイナミックフォースエンジン、ハイブリッド車は2.5ℓシリーズパラレル式ハイブリッドと、どちらも出力特性と燃費のバランスに優れたユニットを搭載している。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
中身も正常進化。実力モデルの魅力がさらにパワーアップ
先代から現行型に乗り替える一番のメリットは、都会的で洗練された“ハリアーネス”とも称されるハリアーのキャラが、一層進化していることだが、現行型は装備機能が大きくアップデートしていることも見逃せない。安全運転支援機能はLTAまでカバーする最新のトヨタセーフティセンスに進化しているし、12.3インチワイドモニターを備えるディスプレイオーディオにも対応している。“見た目”と“中身”の2つがバランス良く纏まっていることも現行ハリアーの強みだ。
ガソリン車もハイブリッド車も、先代よりも全般的に性能が高まっているが、特に進化を感じるのは乗り心地の良化。サスは硬め傾向が強いSUVの中では柔らかめだ。
先代は豪華な内装加飾を最大の武器にしていたが、現行型は安全関連機能の向上や、装備機能の充実という魅力も加わる。所有する満足感や買い得感は間違いなく上だ。
オススメグレード:ハイブリッドG(2WD)
価格:411万9000円
ガソリン車も魅力的だが本命はハイブリッド車。グレードはGで問題なし
車両重量はノア&ヴォクシーと同程度だから、実用的にはガソリン車の2ℓ直4でも十分だが、やはり上級SUVのハリアーゆえに、動力性能に余裕が出てくるハイブリッドを選びたい。ハイブリッド車は排気量が2.5ℓ化されたことの余裕と、モーター駆動によるアシストが効果的。エンジンまわりのノイズも少なく、燃料代も30%は節約できる。グレードはハイブリッド車のGがオススメ。合成皮革のシート生地、運転席の電動調節機能、リヤゲートの電動開閉機能などが装着されているので、ハリアーらしい満足感も十分に感じられる。
先代モデル
ほど良い精悍さも感じられる流麗なシルエットは、今見ても新鮮。まとまった感が強い現行型よりも、こちらの方が好みというユーザーもいるはずだ。
2ℓNA車はともかく、2ℓターボとハイブリッドは力強さも申し分なし。上級車らしい穏やかな乗り心地も健在だが、微細な振動も上手に抑制してくれる現行型には及ばない。
上質素材のシート&パネル加飾は、まだまだ魅力十分だが、コンソールに2DINユニットを配置するレイアウトには古さを感じる。車載IT(ナビ)も時代遅れの感が否めない。
LEXUS NX
全般的に進化しているが
特に顕著なのは走行性能
今は世界的にSUVの人気が高く、日本で売られるレクサスも、約半数がSUVだ。ミドルサイズSUVのNXは、売れ行きも好調で、日本におけるレクサスの最多販売モデルになっている。現行世代でRXのボディが拡大された事情もあって、手頃なサイズのNXが人気を高めた格好だ。なおNXの歴史は浅く、初代が2014年に発売され、2021年に2代目へフルモデルチェンジされている。
現行NXは、現行ハリアーと共通のGA‐Kプラットフォームを使っており、全長は4660mm、全幅は1865mm。少々ワイドで最小回転半径も5.8mと大回りだが、長めのホイールベース(2690mm)の恩恵により、後席スペースも十分に確保されている。内装質感の良さに加えて、実用性の高さも魅力のひとつだ。
パワーユニットは、2.5ℓ直4NAと、2.5ℓハイブリッド、2.5ℓプラグインハイブリッド、2.4ℓガソリンターボの4タイプを設定。先代のパワーユニットは、2ℓ直4ターボと、2.5ℓハイブリッドの2タイプだったので、現行型は選択肢が増えている。また、ハイブリッドのWLTCモード燃費は、先代は2WDの標準仕様で17.8km/ℓだったが、現行型は22.2km/ℓに向上。動力性能、燃費ともに改善されている。
先代と現行型で運転感覚を比べると、まずステアリング感覚の違いが挙げられる。操作に対する反応は先代も優秀でも不満を感じないが、現行型はステアリングシステムの支持剛性が高まったことで、曖昧な挙動が激減し、より上質な操舵感に変わっている。特に峠道ではSUVとは思えぬほど良く曲がることに驚かされる。後輪の横滑りも上手に抑えられており、先代以上に一体感や運転の楽しさを感じられるクルマに仕上がっている。また、運転席の座り心地も、腰をしっかり支えるように改善。さりげない進化だが、けっこう違いを感じる部分だ。
先代から乗り替える時には、車両感覚の違いも注意したい。全長と全幅の拡大は20mm程度だが、最小回転半径は、現行型は全車5.8m、先代は5.3mのグレードもあったから、乗り替えの仕方によっては運転感覚がかなり変わる。
また先代の2ℓターボは、3.5ℓの自然吸気エンジン並みの動力性能を発揮しながらも、標準仕様の価格は約455万円。現行型は2.5ℓNAでも、標準仕様が485万円と全体的に価格が上がっているのも気になるところ。ただ、運転感覚や安全装備の進化を考えれば、他のモデル以上に現行型へ乗り替えるメリットは大きい。
現行型はフロントマスクの印象からサイズ感まで、キープコンセプトで先代の成功を受け継いでいる。リヤエンドを絞り込むクーペライクなシルエットも健在だ。
内装の仕立てもレクサスらしく上質。左が最上級のバージョンL、上が標準仕様になるが、標準仕様でも合成皮革のLtexシート(バージョンLは本革シート)になるなど、標準仕様でもプレミアムを名乗るにふさわしい内容を持つ。
今年春に実施した最新改良で、オフロードテイストを強めた“OVERTRAIL”を追加。新しい価値観を宿すクルマの発信も積極的だ。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
走りも質感も正常進化。より良質プレミアムへ
新旧NXを比べると、車内の広さなどの実用面は大差がない。大きく変わったのは内装の仕上げ、シートの座り心地、運転感覚だ。これらは高級車やプレミアムブランドにとって大切な要素だから、先代以上に「レクサスらしさ」を強めている。またメルセデスベンツやBMWとの違いも先代以上に意識しており、レクサスNXは機敏に曲がる軽快な運転感覚を重視することでドライバーモデルとのしての資質が高まった。街中や曲がりくねった峠道など、日本の道路環境との相性の良さも大きな魅力だ。
プラットフォームやパワートレーンが最新になったことで、シャシー性能が大幅に向上。走り視点でも自信を持って推せるモデルに進化している。
現行型のトップグレードとしてPHEVも追加。外部充電機能による利便性の向上に加えて、動力性能の面でも魅力的な存在になっている。
オススメグレード:NX350h(標準仕様・2WD)
価格:550万円
価格と性能のバランスに優れるハイブリッド車が最も魅力的
2.5ℓハイブリッドを搭載する350hの標準仕様が最も割安だ。価格は2.5ℓNA車の標準仕様に比べて65万円高いが、購入時に納める税額が約17万円安く、実質価格差は約48万円に縮まる。しかも燃料代も33%安く、モーター駆動の併用により加速はスムーズ、さらに静粛性も向上するなど、コストアップに対して走行時の質が高まる利点が大きい。なお、よりスポーティな運転感覚や豪華な内外装が欲しいならば、約90万円高の350h Fスポーツもオススメだ。
先代モデル
先代の後期モデルは、現行型との違いが少なく、見た目視点では乗り換えのメリットは少なめに思えてしまう。今みてもスタイルは新鮮だ。
先代も優れたハンドリング性能を全面に出した、スポーティな走りを売りにしているが、現行型に比べると少しサスが硬めで、ユーザーを選ぶタイプかも。
後席も十分な広さを持つが、その本質はドライバーズモデル。現行型ほど洗練されていないが、素材感や加飾レベルは、このクラスとしては飛び抜けている。
NISSAN エクストレイル
現行型は上級路線にシフト
電動駆動の魅力も深化
エクストレイルはミドルサイズのSUVで、日産の主力車種に位置付けられる。初代モデルは2000年に発売され、前輪駆動がベースの乗用車用プラットフォームを使いながら、外観を悪路向けSUV風の直線基調に仕上げて高い人気を得た。2代目も同じ路線で進化したが、3代目の先代は、丸みの強いデザインに変わった。それが2022年に発売された現行型では、再び直線基調に戻っている。それゆえ新旧エクストレイルを比べると、外観の印象がかなり異なる。現行型はフロントマスクの存在感も強まり、ボディの四隅も分かりやすい。
パワーユニットやプラットフォームも大きく変わっていることも特徴。先代は2ℓ直4エンジンをベースとしたガソリン車とハイブリッド車だったが、現行型はシリーズ式ハイブリッドのe‐POWER車のみになっている。モーターを主動力とする電動車専用となったほか、発電を担当する1.5ℓ直3ターボも、圧縮比を変化させる画期的な機能が備わった最新エンジンで、なかなか贅沢なメカニズムを採用している。
そんなパワートレーンの進化もあって、現行型の動力性能は、先代型に比べて大幅に高まっている。モーターはエンジンに比べると、アクセル操作に対する反応も機敏だから、スポーティな走りを満喫できる。さらに4WD車は4輪の駆動力制御を綿密に行うe‐4ORCEを搭載したことで、オン/オフを問わず優れた走行安定性を誇る。例えば、峠道などのカーブを曲がる場合、前輪に対して後輪の駆動力を高めることで、車両の進行方向を積極的に内側へ向けることが可能で、旋回軌跡を拡大させにくいし、下り坂のカーブを曲がったり危険を避ける時は、後輪の接地性を高める制御を行うため、走行安定性も優れている。
最小回転半径も、先代は5.6mだったが、現行型は5.4mに収まる。WLTCモード燃費は、先代はハイブリッドの4WD車が13.8km/ℓだったが、現行型は18.4km/ℓに向上した。先代から現行型に乗り替えると、燃費数値上は燃料代を25%節約できる。
以上のように、先代から現行型へ乗り替えると、動力性能、安定性、乗り心地、小回り性能、燃費まで、機能の進化を実感できる。
新旧で価格を比べると、先代が20Xiハイブリッド4WDで約362万円、現行型のX e‐4ORCEが404万9100円。メカニズムや機能装備の進化の影響で価格は上昇したが、それらがもたらすメリットを考えれば、乗り替えるべき理由は多い。
先代に比べると大柄に見えるが、ボディサイズはほぼ同じ。駆動方式はFFも選べるが、リヤにモーターが組み込まれるe-4ORCE車の方が動力性能に優れている。人気も上だ。
キャビンまわりの質感が向上したことも現行型の魅力のひとつ。デジタルメーターや大型ワイドディスプレイなど、車載ITも最新仕様にアップデート。先代よりも車格は1クラス上がっている。
ノートよりも大出力モーターを搭載する最新e-POWERの恩恵は明らか。より緻密な四輪駆動力制御が可能なe-4ORCEの採用も、現行型の大きな武器になっている。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
あらゆる部分が劇的進化。まさにフルモデルチェンジ
フルモデルチェンジにもさまざまなパターンがあり、なかには進化の度合いがマイナーチェンジ?と感じてしまうモデルもあるが、エクストレイルは、外観が直線基調に大きく変更されたほか、パワーユニットやプラットフォーム、安全装備など、メカニズムや装備も大半が大きく刷新されている。まさに正真正銘のフルモデルチェンジだ。ガソリン車が廃止されたこともあり、価格は大幅に高まったが、出費に見合う価値を備えている。迷うことなく、買い替えていいモデルだ。
プロパイロットはもちろん、クルマの周囲を警戒する360°セーフティなど、安全運転支援機能が最新世代にアップデートされたことも現行型の強み。
4WDのe-4ORCEは、オンロード/オフロードを問わず、優れた走行安定性を発揮してくれる。価格は少し高くなってしまうが、e-4ORCEはそれに見合う価値がある。
オススメグレード:X e-4ORCE(2列仕様)
価格:404万9100円
中間グレードのXは装備も充実。高性能のe-4ORCE仕様がベスト
現行エクストレイルのパワーユニットは、e-POWERのみで、エンジンが発電を行って駆動はモーターが担当する。そして後輪にもモーターを搭載するe-4ORCE(4WD)は、駆動力の制御がより綿密に行われることで、舗装した道路でも走行安定性を効果的に向上させてくれる。そこでベストグレードは、X e-4ORCEだ。価格は400万円を超えるが、走行性能と乗り心地のバランスが優れている。運転支援機能のプロパイロット、後側方車両検知警報など、先進装備も充実していることもポイントだ。
先代モデル
先代は一部改良ごとに細かな部分がアップデートされており、安全装備や走りの快適性を中心に、初期と最後期のモデルでかなりの違いがある。
先代も乗り心地を強めに意識したコンフォート寄りのセッテイング。ハイブリッドも選べたが、小型モーターゆえにアシスト力や回生性能は限定的だった。
SUBARU レヴォーグ/レヴォーグ レイバック
先代も現行型も
走り&実用性は優等生
ワゴンはミニバンやSUVの人気に押されているが、この流れを逆手にとって、ユーザー層を絞り込める強みがある。実際、全高は大半のモデルが1550mm以下に収まり、立体駐車場も使いやすい。重心もセダン並みに低く、背の高いミニバンやSUVに比べると、走行安定性や乗り心地で有利だ。車内はミニバンの方が広く、外観の存在感や悪路走破力はSUVが勝るが、走りと乗り心地を重視するならばワゴンが有力候補になる。まだ輸入車も含めれば、尖った個性が輝く独自の魅力を備えるモデルを見つけることができる。
昔からスバルは、水平対向エンジンやAWD(4WD)を採用することで、走りにこだわりを持つメーカーだから、ワゴンとは親和性が高い。現行モデルとしても運転のしやすさと快適な居住性を両立させたミドルサイズのレヴォーグを設定している。
2020年に登場した現行型(2代目)の全長は4755mm、全幅は1795mmで、先代に比べると65mm長くなり、15mm幅広くなったが、それでもミドルサイズの範囲に収まっている。
内装は先代と同様に機能的だが、インパネ中央に配置される11.6インチのディスプレイなどを含め、視認性や質感は高まっている。腰から大腿部の支え方に工夫したシートは、着座姿勢が乱れにくく、長距離の移動でも快適。後席の頭上と足元も十分に広い。現行型のホイールベースが先代に比べて20mm拡大されたこともあり、身長170cmの大人4名が乗車した時でも、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つ半の余裕がある。内装の質感と相まって、ファミリーカーとして十分な内容だ。
走行性能は先代も優れていたが、現行型はフルインナーフレーム構造の採用などにより、ボディ剛性がさらに向上している。峠道でも後輪の接地性を確保しながら、適度に機敏に良く曲がる。高重心のミニバンやSUVは、後輪の安定性を確保するために少々曲がりにくい設定になりやすいが、レヴォーグならスポーティな運転も楽しめる。先代から乗り替えると、ステアリングホイールを回し始めた時の反応が、一層正確になったと感じるだろう。乗り心地は少し硬めだが、粗さが抑えられて洗練されたことも好印象だ。
現行型は先代以上の走りと乗り心地を手に入れたが、1.8ℓターボは、2500回転以下の動力性能がもう少し向上すると良いと思う。日常的には十分な性能を発揮するが、もう少しパワーが欲しいと感じたら、上級仕様の2.4ℓターボも検討したい。
2023年秋に導入されたレイバックは、クラッディングパネル処理やリフトアップでSUV的な魅力もプラス。シリーズモデルの中でも最も乗り心地を意識した仕様に仕立てられている。
レヴォーグもレイバック(写真)も基本的なレイアウトは共通。中央にタッチパネルモニターが配置されるなど、最新の車載ITが標準で採用されている。
STIモデルは、電子制御サスの採用で走りの実力は1ランクアップ。内装加飾もサイドサポートが備わる本革スポーツシートが奢られるなど、上品さとスポーティの魅力が両立している。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
走りの優劣はユーザー次第。大きく進化した安全性能に注目
先代と現行型の比較で最も違いを実感できるのは、運転感覚と乗り心地の違いだ。サスは硬柔の好みもあるため、先代の方が好きというならば、そのまま乗り続けてもいいと思うが、安全装備と運転支援機能、事故を避ける時の走行安定性は、現行型は明確に進化している。現行型は装備機能が進化したこともあって、先代よりも価格帯が上がっているが、コストアップに見合うだけの安心感が得られるのは間違いない。この点も含めて乗り替えを判断したい。なお、居住性は先代も十分に優れているので大差ないと考えていい。
現行型も標準車とレイバックで走りの味は少し異なる。標準車は先代に近いスポーティ寄り、レイバックは乗り心地を強めに意識したサスチューンだ。
現行型はセンシング機能が向上したほか、ハンズオフ運転もカバーするアイサイトXも選択できるなど安全運転支援機能もパワーアップ。
オススメグレード:レヴォーグ GT-H EX
価格:379万5000円
価格と装備が良バランス。標準車でも走りは高水準
1.8ℓターボと2.4ℓターボの価格差は、AWDの上級化とショックアブソーバーの減衰力を調節する電子制御サス機能まで含めて、約68万円。ここまで価格差が開くと、エンジンは1.8ℓターボがオススメだ。グレードは363万円のスマートエディションもあるが、その上のGT-H EXを選びたい。16万5000円の価格アップで、リヤゲートの電動開閉機能、リバース連動ドアミラーなどが加わり、加飾なども充実する。数年後の下取査定でも有利だ。
先代モデル
レガシィツーリングワゴンから続く伝統的なワゴンスタイルは、先代(初代)も継承。先代の全幅は1780mmと、使いやすさを意識したサイズ感も同様だ。
先代のパワートレーンは170馬力の1.6ℓターボと、300PSの2ℓターボの2タイプを設定。STIモデルを含めて、現行型よりもサスチューンは硬めだ。
インパネはスバル車共通のレイアウトだが、シートやパネル加飾をアップデートすることで、他モデルと上手に差別化。ナビは2DINタイプをインストールするタイプ。
SUBARU クロストレック
メカ&機能が大幅進化
走りの質もアップデート
クロストレックは、インプレッサと基本部分を共通化したSUV。先代は日本ではスバルXVと呼ばれていたが、現行型から海外と同じクロストレックの車名に変わっている。
ボディサイズは、全長が4480mm、全幅は1800mmと、SUVとしてはかなりコンパクト。最小回転半径も5.4mと、混雑した街中でも運転しやすい。さらに最低地上高も200mmと、悪路のデコボコも乗り越えやすいなど、見た目はショートワゴンだが、アウトドア適性が高いことも特徴だ。 コンパクトなサイズ感は先代から踏襲されたものだが、変にフルモデルチェンジでボディが拡大されると、運転のしやすさという魅力が削がれてしまうため、いたずらにサイズアップしなかったことはメリットだ。
またキャビンスペースの使い方が上手ということも見逃せない美点。乗用車パッケージだが、身長170cmの大人4名が乗車した時でも、後席に座る乗員の膝先空間は握りコブシ2つの余裕がある。4名乗車でも快適に移動できる実用性を持つ。
実用機能は、基本的に先代と共通だが、走りは別物。ボディにフルインナーフレーム構造が採用されたことで剛性が高まり、さらにサスペンションの構造も見直されたことで、ステアリング操作に対する車両の反応や乗り心地の重厚感、危険回避時を含めた安定性が向上している。この今のスバル車の全般に当てはまる進化の方向性は相当魅力的で、クロストレックを選ぶ大きな理由になっている。
内装の質感の向上もポイントのひとつ。装備面もマルチメディアシステムが採用され、中央に11.6インチのセンターインフォメーションディスプレイが設置された。大型化したことで視認性が高まり、表示できる情報も増えている。前席シートも骨盤をしっかりと支える構造に変更されて長時間の運転でも疲れにくい。頭部や上半身が左右に振られにくくなったことで、不快感も抑えられて、正確な運転操作が行える。クルマと過ごす時間が長いドライバーほど、現行型の進化を実感できるだろう。
先代から現行型に乗り替える時に注意したいのは価格だ。先代のXVには、1.6ℓのノーマルエンジンも用意され、最も安価なグレードは4WDでも220万円だった。それが現行型は2ℓのe-BOXERのみとなり、価格レンジが一気に引き上がっている。新たに加わった2WDでも、最廉価グレードが266万2000円。ただ、この価格に見合う満足度が得られるので、選ぶ価値は十分だ。
背が低い乗用車パッケージの弱みを感じさせない巧みな設計も持ち味。外観はディフューザーやプロテクターのおかげで、先代よりもSUVらしさが増している。
インパネまわりのデザインは、中央に縦型モニターを配置するグラスコックピットデザインに進化。加飾パネルやトリム類の素材感も向上。キャビンも抜かりなく進化している。
車載ITや安全装備を中心に、装備水準は1クラス上にジャンプアップ。それに伴い、車両価格は少し上がってしまったが、注がれる内容を考えれば買い得感は高い。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
試乗で気に入ったら買ってよし。リセールが強いため、乗り替えも容易
ボディサイズや車内の広さ、視界など、実用性については先代と大差ない。その代わり走行安定性や乗り心地、内装の質、シートの座り心地、安全装備などは明確に向上している。先代から現行型への乗り替えを検討するなら、まずは販売店の試乗車を運転したい。上質な走りに魅力を感じたら、安全装備の充実などもあり、乗り替える価値が高い。なお先代のリセールはなかなか高いため、現行型への乗り替えが容易なことも魅力だ。
2ℓのe-BOXERを含めたパワートレーンは大きな進化はないが、シャシー性能の向上は乗ればすぐに分かるレベル。とても良質なツーリングモデルだ。
アイサイトは、ツーリングアシストまでカバーする最新仕様にアップデート。バックカメラ機能もディスプレイの大型化&視認性向上で、より安心できるシステムになっている。
オススメグレード:Touring(4WD)
価格:288万2000円
ツーリングの4WDを基準に必要装備を揃えるのがコスパ良し
駆動方式は4WDがオススメ。最低地上高の200mmは、4WDの走破力があってこそ、有効に活用できるからだ。また4WDの価格は2WDよりも22万円高いが、ヘッドランプウォッシャーやリヤフォグランプなども併せて装着されるため、4WDの正味価格は16万円に収まる。つまり4WDは2WDに比べて価格も割安だ。グレードは約41万円安いツーリングを選び、センターインフォメーションディスプレイなど必要な装備をOPで加える買い方の方がお得だ。
先代モデル
リフトアップして最低地上高と車高を稼ぐ、車体パッケージは先代と大差なし。ただ、SUVカラーが強まった現行型に比べると、少しプレーンな印象が強めだ。
先代は2つの2ℓ車(NAとe-BOXER)に加えて、1.6ℓ車も選べるなど、パワートレーン選択に幅があったが、シャシー性能は現行型と比べると少し見劣りしてしまう。
先代も2017年の登場時に内装質感が向上したことで話題だったが、現行型と比べると、車載ITと加飾に設計年次の違いをどうしても感じてしまう。
TOYOTA プリウス
実用性・経済性から
趣味性に視点をシフト
ハイブリッド専用車の代表車種で、初代は'97年に発売された。現行型は'23年に登場した5代目だ。現行型の外観は、フロントマスクが鋭角的なデザインになり、前後のピラーとウインドウは大きく寝かされた。全高も先代よりも40mm低く、ボディスタイルが5ドアクーペ風になった。重心が下がり、走行安定性も向上している。パワーユニットも変更され、主力グレードは2ℓ直4エンジンをベースにしたハイブリッドを搭載する。プラグインハイブリッドもあり、1.8ℓエンジンの先代に比べてパワフルだ。
プリウスが機能を大幅に変更した背景には、車種を取り巻く変化がある。従来型はハイブリッド専用車であることに価値があったが、今はコンパクトカーのヤリス、ミニバンのノア&ヴォクシー、SUVのハリアーまで、さまざまな売れ筋車種にハイブリッドが用意される。もはやハイブリッド専用車は、セールスポイントになり得ない。そこで現行プリウスは、ハイブリッドの低燃費や実用性ではなく、伝統的な5ドアの外観、モーター駆動の特徴とされる機敏で滑らかな加速感、静粛性など、ハイブリッドの付加価値に重点を置く。そのために先代プリウスから現行型に乗り替えると、外観がカッコ良くなり、内装の質も高まり、走りの楽しいスポーティなクルマになったことを実感できる。
その代わり注意点もある。現行型は先代に比べて、全高と併せて着座位置も下がり、後席に座ると閉塞感が伴う。運転席から後方を見た時の視界も良くない。前後のピラーが寝かされたから、乗降時に頭を下げる必要も生じた。日常的な使い勝手が下がった。
価格も変更された。2ℓエンジンをベースにしたハイブリッドを搭載する売れ筋のGは、価格が320万円だ。1.8ℓだった先代は、Sが273万1000円、Aは300万4000円だから、値上げ額は少なくない。
従って先代から現行型へ乗り替える価値は、ユーザーによって異なる。低燃費、荷物の積載性、価格の安さなど、実用重視で選ぶ場合はさほどメリットはない。その代わり内外装の質感やカッコ良さ、運転する楽しさなどを重視するなら、現行型を選ぶ価値も増える。前述の通り今はさまざまなトヨタ車にハイブリッドが用意されるから、実用重視のユーザーは、コンパクトカーやコンパクトなSUV、ミニバンなどのハイブリッドを選ぶ傾向が強い。プリウスは趣味性を重視する人達の選択肢になったから現行型も人気を得ている。
燃費至上的なデザインから離れ、精悍なマスクやクーペライクなフォルムを選択。内装を含めスペシャリティカー的な印象が強い。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
スタイルや走り重視ならメリット大
先代プリウスから現行型に乗り替える価値は、どのようなクルマを求めるかによって変わる。天井の低い5ドアクーペ風のカッコイイ外観、重心の低さを意識させる適度に機敏な操舵感と優れた走行安定性、先進性を高めた安全装備と運転支援機能などに魅力を感じるなら、現行型に乗り替えるメリットも大きい。逆に実用重視の買い得なハイブリッドを求めるなら、シエンタやカローラクロスに設定されるハイブリッドも検討したい。
先代まではボディ後端を切り落としたようなフォルムだったが、ルーフラインを低く孤を描くものとするなどスポーティな印象を強めた。
オススメグレード:G・FF
価格:320万円
プリウスの進化を味わうならG以上だ
2ℓのUは定額制カーリースのKINTO専用車だ。そこでベストグレードはGになる。1.8ℓのXに比べて45万円高いが、この内の41万円は、Xにオプション設定でGに標準装着されるディスプレイオーディオ(Xのオプション価格は22万7700円)などで埋まる。そうなると価格差の45万円から装備差の41万円を差し引いた4万円で、2ℓエンジンのハイブリッドが搭載される。システム最高出力は1.8ℓが140PS、2ℓは196PSだから実質4万円ならGが割安だ。
先代モデル
エグい顔付きで登場した4代目は4WD(E-Four)を初設定。写真はフェイスリフト後の後期型だ。
TOYOTA ノア/ヴォクシー
全車3ナンバーになり
装備も走りも大幅に進化
ノア&ヴォクシーはミドルサイズのミニバンで、ノアには標準ボディとエアロ仕様が用意される。ヴォクシーはエアロ仕様のみで、フロントマスクを先代以上に個性的に造り込んだ。先代では、ノアの標準ボディは5ナンバーサイズで、エアロ仕様は3ナンバー車だったが、現行型は全車が全幅を1730mmに設定して3ナンバー車になる。5ナンバー車が廃止されたから注意したい。
内装では現行型はインパネが上質になり、上級グレードは合成皮革を使う。車内の上側の実質室内幅は、左右ともに各35mm外側へ張り出した。フロントピラーとウインドウは約20mm後退して、運転席からの斜め前側の視界も向上した。プラットフォームを刷新した影響で、1列目から3列目までのシート間隔は20mm縮まったが、足下空間が狭くなった印象はない。むしろ1列目と3列目は、床と座面の間隔を20mm減らすことで、腰の収まり方を向上させた。ただしハイブリッドは注意が必要だ。1列目の下に駆動用電池を設置するから、2列目に座る乗員の足が1列目の下に収まりにくい。多人数で長距離を移動する時は、限られた足下空間を3列の乗員同士で分け合うため、1列目の下が塞がると居住性に悪影響を与える。
先代との比較で注目されるのは、現行型で装備が大幅に充実したことだ。電動スライドドアが開き始めた時に車両が接近すると、作動を止めて降車時の事故を防ぐ安心降車アシスト、電動スライドドアに連動して作動するユニバーサルステップ、スマートフォンを使って車外から車庫入れを操作できるアドバンストパーク、高速道路の渋滞時にステアリングホイールから手を離しても運転支援が続くアドバンストドライブ、緊急時でなくても車間距離が縮まるのを穏やかに防ぐプロアクティブドライビングアシストなどを設定する。クラウンクロスオーバーでは、上級グレードに限定される装備でも、ノア&ヴォクシーなら幅広いグレードにオプション設定される。リヤゲートを好みの角度で止めることも可能で、狭い場所でも荷物を出し入れしやすい。
パワーユニットは、2ℓ直4のノーマルエンジンと1.8ℓのハイブリッドで、両方ともに設計が新しい。動力性能、静粛性、燃費などが幅広く向上した。特にハイブリッドは、先代に比べるとWLTCモード燃費が18~21%改善されている。乗り心地はグレードに応じて硬く感じられるから注意したいが、走行性能から安全&快適装備まで、さまざまな機能が大幅に進化した。
Mサイズミニバンだが現行型は全車3ナンバーサイズ。ノアは標準系とエアロ系、ヴォクシーはエアロ系のみを設定する。なお、スズキ・ランディはノアのOEM車だ。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
走行性能、燃費、安全装備に使い勝手まで全方位的カイゼン!
現行型では動力性能と安定性が向上した。燃費も同様で、先代のハイブリッドから現行型に乗り替えると、燃料代を15~17%節約できる。装備も安全面を中心に、標準装着、オプション設定ともに進化した。荷室も含めてさまざまな機能が便利で使いやすくなり「痒いところに手が届く」と言われた往年のトヨタ車を思い出す。全車が3ナンバーサイズになったから、5ナンバー車だったノアの標準ボディから乗り替える時は注意したい。
プラットフォームが新しくなった恩恵が大。走行性能や先進的な安全&運転支援機能が向上した。
オススメグレード:ノア ハイブリッド S-G(FF・7/8人乗り)
価格:339万円
エアロパーツが不要ならノア。ランニングコストはHVに軍配
ノアは同じグレード同士で比べると、価格がヴォクシーよりも5~7万円安い。そこでノアを選ぶと標準ボディとエアロ仕様がある。後者は7~8万円高いが、装備の違いを考えると割安で売却時も有利だ。次はパワーユニットで、ハイブリッドは35万円高いが、税額の違いで実質価格差は23万円に縮まる。レギュラーガソリン価格が160円/ℓなら、6~7万kmを走ると燃料代の節約で実質価格差を取り戻せる。従ってノアハイブリッドS-Gを選ぶ。
先代モデル
現行型と同じくミニバンの販売トップ常連で、いわばミニバン日本代表的な存在だった。
NISSAN ノート/ノート オーラ
先代の“残念”を払拭
上級・上質な仕上がりに
ノートとノート オーラは、コンパクトカーの人気車種だ。'23年の登録台数は、両車を合計すると、1か月平均で8542台となった。日産の国内最多販売車種になる。ノートのボディは5ナンバーサイズに収まり、ノート オーラは上級シリーズということで全幅を1735mmに広げた。従って3ナンバー車だ。ノートシリーズの内、ノートの販売比率は56%で、ほぼ互角の売れ方をしている。
現行ノートとノート オーラは、ハイブリッドのe-POWER専用車で、ノーマルエンジンは選べない。価格は最も安いノートXでも229万9000円だ。その代わり先代に比べると、内外装の仕上がりも上質だ。開発者は「現行ノートはe-POWER専用車になり、低価格のノーマルエンジン車を設定しないから、内外装にも高いコストを費やせた」と述べている。特に上級のノート オーラは、インパネやセンターコンソールにツイード調の布を貼るなど、質感をミドルサイズカー並みに高めた。シートの座り心地なども上質になった。
先代から乗り替える時に注意したいのは後席の足下空間だ。ノート、ノート オーラともに同じ広さだが、先代ノートに比べて少し狭い。身長170cmの大人4名が乗車した時、後席に座る乗員の膝先空間は、先代ノートはコンパクトカーで最大級の握りコブシ2つ半を確保していた。それが現行型は、ノート オーラを含めて握りコブシ2つ弱だ。現行型はプラットフォームが刷新され、なおかつホイールベースが20mm短くなったため、後席の足下空間が先代を下まわる。現行型でも実用的には十分だが、先代の広々感は薄れたから注意したい。
運転感覚は上質だ。乗り心地は現行型でも少し硬いが、先代に比べると粗さが払拭された。ステアリング操作に対する反応も、先代に比べると正確で、運転がしやすく一体感も得られる。4輪の接地性と安定性も向上した。先代ノートの運転感覚は、各部のコストダウンを意識させたが、新型なら不満はない。
安全装備も進化した。特に前方衝突予測警報機能は、2台先を走る車両も検知して、危険の発生を早期に知らせる。今日のクルマでは、フルモデルチェンジを行っても加速性能や車内の広さはさほど変わらないが、安全装備と運転支援機能は急速に進歩している。ノートとノート オーラにも、それが当てはまる。運転しやすいコンパクトカーで、上質かつ安心感の高いクルマを買いたいなら、ノートとノート オーラには注目して良いだろう。
'23年12月発表のフェイスリフトではLEDヘッドランプが全車標準となったほか、インテリアデザインや車内収納の見直し、インテリジェントキーの機能向上などを実施した。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
新旧の違いは歴然、残クレ利用なども一考すべし
ノートのフルモデルチェンジは進化の度合いが大きかった。e-POWERは刷新され、動力性能も向上した。プラットフォームも新規開発されたから、車両の動きが正確になって走行安定性も高められている。内装ではインパネ周辺の質感が向上して、前席の座り心地も快適だ。購入時の課題は価格で、最も安価なノートXでも約230万円だ。しかも運転支援機能のプロパイロットはオプション設定になる。経済的な残価設定ローンの利用も考えたい。
エンジンで発電してモーターで走行するe-POWERは第2世代となり、動力性能のほかエンジン稼働タイミングなどの制御も改良。
オススメグレード:ノート オーラ ニスモ
価格:298万1000円
装備を含めた満足感の高いオーラ。特にニスモは実はコスパが良好だ
ノート オーラGの価格は、ノートXよりも約40万円高いが、後側方衝突防止支援機能やアルミホイールなど、27万円相当のオプション装備が加わる。そうなるとノート オーラの上質な内外装、e-POWERの出力向上などは、40万円の価格差から27万円を引いた13万円に換算される。特に買い得なグレードがノート オーラニスモだ。ノート オーラGと比べて約28万円の上乗せで、内外装や足まわりがチューニングされている。
先代モデル
車名別販売台数でカテゴリーNo.1となるなど、e-POWERを世間に認知させた立役者。
MITSUBISHI アウトランダー
走りや内装が上質に
価格もプレミアムに
アウトランダーはミドルサイズのSUVで、現行型はPHEV(プラグインハイブリッド)のみを搭載する。そのために価格は最も安価なMでも約500万円に達するが、走行性能は大幅に向上した。駆動用モーターを前後に独立して搭載するため、走行状態に応じて、後輪の駆動力を前輪よりも強める制御も行われる。さらにアクセルペダルを踏みながらカーブを曲がる時でも、必要に応じて電子制御でブレーキを作動させ、ステアリングの操舵角に忠実に走行させる機能も備わる。プラットフォームも刷新され、車両重量が2トンを超えるSUVでありながら、とても良く曲がる。旋回軌跡を拡大させにくく、スポーツカーのような積極的な走りを楽しめる。
アウトランダーのハイブリッドシステムでは、駆動は主にモーターが担当するから、アクセル操作に対する反応の仕方も機敏だ。動力性能も高く、感覚的には排気量が4.5ℓ前後のガソリンエンジンを搭載している感覚で運転できる。動力性能に余裕があって走行安定性も優れ、各部がドライバーの操作に対して正確かつ機敏に反応するから、運転感覚が楽しく上質に感じる。
駆動用電池の総電力量に20kWhの余裕があることも特徴だ。1回の充電で、WLTCモードにより、85kmを走行できる。買い物などの日常的な外出なら、エンジンを作動させず、自宅で充電した電力を使って走ることも可能だ。実質的に電気自動車として十分に使える。遠方まで出かける時は、エンジンを作動させ、ハイブリッド車として走る。
先代から乗り替えると、走行性能は格段に向上する。加速性能が高まり、峠道などでは走行安定性の改善も実感できる。スポーティな走りも満喫できる。乗り心地は少し硬めだが、重厚感が伴って上質だ。
さらに現行型では、インパネなど内装の質も向上した。例えばエアコンのスイッチなど、内装のパーツ類もていねいに造り込んだ。シートの座り心地も、腰をしっかりと支えてくれる。先代もミドルサイズのSUVとしては十分に満足できたが、現行型では一種のプレミアム感覚が漂う。
その代わり価格もかなり高くなった。前述の通り最も安価なグレードでも約500万円だ。先代では、PHEVにも400万円以下のグレードがあり、ノーマルエンジン車なら300万円以下から選べた。これに比べると現行型の価格は約2倍に達する。つまり先代アウトランダーと現行型は、別の車種ともいえるだろう。
ルノーや日産との協業により、プラットフォームはエクストレイルと共用となり、日本国内のパワートレーンはPHEVのみに。デザインや装備がより上級志向となっている。
ここが“買い替え”の注目 ポイント
乗り替えれば大満足間違いなし! 問題は予算だけ
現行型のアウトランダーは、先代と比べて、クルマ造りを大幅に刷新させた。塊感の伴う外観、上質感を高めた内装、長距離を快適に移動できるシート、スポーツカーのような操舵感と優れた走行安定性、幅広い走行状態で機敏に反応するモーターなど、現行型を運転すると先代との違いを実感できる。その代わり前述の通り価格も大幅に上昇した。乗り替えに伴って予算が超過する時は、残価設定ローンの利用など、購入方法を工夫したい。
緻密な電動4輪制御が進化し、オンロードでのライントレース性やオフロードでのトラクション制御など、あらゆる面で大幅な進歩を遂げている。
オススメグレード:P
価格:602万3600円
7人乗りのみ設定のあ上級グレードがお得
特別仕様車を除けば最上級となるPが一番買い得だ。Gの7人乗りよりも43万3400円高いが、Gにオプション設定された本革シート、BOSEプレミアムサウンドシステム、電動パノラマルーフなどを標準装着する。これらのオプション価格を合計しただけで約58万円に達するから、Gに比べて約43万円の上乗せなら買い得だ。逆にGに複数のオプションを加えると、Pに比べて割高になる。グレードとオプション選びに注意したい。
先代モデル
'12年10月に2ℓと2.4ℓのガソリン車、続いて12月にPHEVが発売。改良を重ねながら'21年まで販売。
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