コンチネンタル・ジャパンが、メディア向けに最新テクノロジーのプレゼンテーションを行う「テックライド」。前回に続き、体験レポートをお届けしよう。
なお、テストコースでの取材のため撮影はオフィシャルカメラマンに限られており、掲載画像にも制限があることをご了承いただきたい。
自動運転を実現させるためには…
近い将来、自動運転を実現させるためには、レーダーセンサーやカメラシステム、ブレーキシステム、そしてコネクティッド(つながるクルマ)といった機能が重要になる。こうしたテクノロジーの開発に取り組むコンチネンタル。体験レポートの続きをどうぞ。
5)ドラムブレーキ用電動パーキングブレーキ
現在、ドラムブレーキ用電動パーキングブレーキが実用化されているのはホンダのN-BOXだけだという(これはコンチネンタル製ではなくアドヴィックス製)。
軽自動車をはじめ小型車では後輪にドラムブレーキを採用しているモデルは多く、このパーキングブレーキを電動化するのが、今回テストしたユニットだ。
左右で摩擦係数の違うテストコースの路面でパーキングブレーキのみでクルマを停止させても、スピンすることなく安定した姿勢を維持した。
勾配路面では、上りでも下りでもパーキングブレーキ作動状態でアクセルを踏めば自動で解除され、スムーズな発進ができる。作動時や解除時のショックもない。
コストの問題さえクリアできれば、室内から大きなパーキングブレーキレバーは消え、インテリアデザインの自由度も増す。年配や女性のドライバーには、パーキングブレーキを引く力が不要になるのはありがたいだろう。
将来的には、すべてのクルマのパーキングブレーキは電動式になるのだろうか。それは悪いことではないのだが、作動方法(スイッチを押すのか、引くのか)やスイッチの位置などは、全メーカーで統一規格にしてもらいたいものだ。
6)プレミアムコンタクト6
コンチネンタルといえば、やはりタイヤも味わっておきたい! というわけで、プレミアムタイヤの最新モデル、プレミアムコンタクト6装着車の試乗ができた。
装着車はマツダ CX-5。SUVにプレミアムタイヤ?と思われがちだが、最近のSUVはオンロード指向が強く、ハンドリングも重視されるのでテスト車両に選んだとのこと。
まずは標準装着のタイヤでウエット路面でのブレーキングと、ドライ路面でのハンドリングを試す。続いてプレミアムコンタクト6装着車で同じコースを走る。100km/hからのウエットブレーキングでは、制動距離が3mほど短縮された。
ハンドリングはシャープになり、レーンチェンジ時の姿勢も安定している。標準のタイヤよりロードノイズはわずかに高いが、気になるレベルではない。SUVでもプレミアムセダンでも、キビキビした走りを目指すならオススメしたいタイヤだ。
7)コネクティッド
今回は、コンチネンタルとNTTドコモ、エリクソン、日産自動車、沖電気工業、そしてQualcommの6社が協同開発中の車車間通信「C-V2X」と、コンチネンタルが独自に開発している「e-ホライゾン」と呼ばれるシステムを、座学を中心に考察した。
前者は、携帯端末を利用して、ネットワーク経由で路上の故障車や前方の対向車・先行車、そして見えない位置にいる歩行者などを知らせ、事故を未然に防ぐというもの。
後者は、車載のADAS(先進運転支援システム)カメラで検知した道路情報を、クラウドを経由して後続車に配信するというもの。自車のカメラでは100~200m先の情報しか見えないが、このシステムでは1~2km先行しているクルマがバーチャルセンサーとなり、高速の落下物などを安全に回避し、渋滞の減少にもつながる。
ADASの普及から自動運転の実用化に向けて、コネクティッドは欠かせない分野となっている。
私大文系出身の身には最も理解しづらい分野だが、今後はますますこうしたテクノロジーが開発されていくだろうから、しっかり理解しなくては…と再認識させられた(^_^;)。
8)無人運転車
今回のメインイベントとも言えるのが、この無人運転車の同乗試乗。フランスのイージーマイル社製の車両をベースに、前5個・後ろ2個のレーダー、前後左右にサラウンドビュー カメラ、そして前後にライダーなどのセンサー類を装着した、マイクロバスだ。
ドイツ本国では、そのスタイルから「キューブ」と呼ばれているが、日本では同名のクルマがあるので、単に「無人運転車」と呼ばれている。
乗車定員は12名、最大積載量は1000kg。室内に乗り込むと、向かい合わせの座席が6名分あるだけ。もちろん、ハンドルやメーターなどは皆無だ。
手動開閉のドアを閉めると、無人運転車は静かにトコトコと走り出す。最高速度は18km/h。あらかじめコースは記憶されており、ルート上はセンサー類とGPSでコントロールされる。
駐車車両や右左折車両などにも反応し、的確に減速や停止、そして車線変更などを行い、安全に走行する。その動きは極めてスムーズで、人が運転している動きと大差ない。
コンチネンタルはサプライヤーだから、この無人運転車を市販したり実証実験などに使う予定はないというが、例えば2020東京オリンピックなどで最寄りの駅から会場までのルートを走らせるとか、そうした試みはコンチネンタルのイメージアップにつながるのでは?と思わせるほど出来の良いモデルだった。
午後半日の取材で、コンチネンタルの最新テクノロジーを堪能させてくれたテックライド。市販化の一歩手前のものもあれば、実用化までは時間がかかりそうなものもある。
だが、こうしたテクノロジーをメディアに体験させてくれる試みはありがたい。次回もぜひ参加して、新たなテクノロジーを紹介していきたい。(文:篠原政明)
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