■外観デザイン不評の現行「プリウス」、大幅にテコ入れ
トヨタが新型「プリウス」を2018年12月に発売します。注目されるのは、現行プリウスで評判が良くなかった外観を大きく変更することです。新型プリウスは2019年モデルとして、米国で11月末に開催されるLAショーで世界初披露されることが正式にアナウンスされていますが、日本では12月に発売となるようです。
トヨタ新型「プリウスPHV」の実力 夢の「ソーラー充電」はどこまで実用的?
新型プリウスは見た目が大幅に変わりますが、ビッグマイナーチェンジの扱いです。ガラリと変わるデザインイメージは、プリウスPHVのデザインに近く、フロントマスクには独立式のLEDヘッドランプが装着され、現行プリウスに比べると、ランプを強調する目鼻だちのハッキリしたデザインになります。
リアビューも大きく変わります。テールランプを現行型では縦長に配置していますが、マイナーチェンジ後は、プリウスPHVのような横長の外観をワイドに見せる形状に改められます。
こういった変更を加える理由は、現行型のデザインが個性的過ぎて、売れ行きが伸び悩んでいるからです。現行プリウスの2018年上半期(4~9月)における小型/普通車市場の販売順位は、1位のノート、2位のアクアに続いて3位でした。
プリウスはノートやアクアに比べるとボディが大きく価格も高いですが、発売が2015年12月ですから設計も新しいです。とくに2位のアクアは2011年の発売ですから、プリウスはもっと売れ行きを伸ばさねばなりません。
しかも2018年上半期の対前年比は69.1%と低く、ノートの92.5%、アクアの99.5%に比べると落ち込みが大きいです。ノートとアクアは安定して売れていますが、プリウスは今後さらに販売が下がる可能性もあるでしょう。そこで評判の良くないフロントマスクの形状を大幅に変えるのです。このデザインに関しては、トヨタの豊田社長も「現行プリウスはデザインがダメ」と、公の場でトップ自らデザインを酷評したことで「近いうちに変更されるだろう」と言われていました。
ちなみに現行プリウスは、2017年11月に内装色を変更。前席の中央に装着されたフロントセンターコンソールトレイが、陶器を連想させる乳白色で、シートなどをブラックにした時のコントラストが強すぎたためです。
そこで変更後は、ブラックの内装では、フロントセンターコンソールトレイも光沢のあるピアノブラックにしました。このように現行プリウスは、デザインや色彩で改良すべき点が多いです。
これらの課題は、プリウスPHVの開発段階で、すでに明らかにされていました。そのためにプリウスPHVが2017年2月に発売された時、開発者は「プリウスでは外観の評判があまり良くないこともあり、PHVは外観がワイドに見える売れ筋路線にしました」と語っています。
■安全面はさらに充実も価格はそれほど上がらず
機能的な改良では、緊急自動ブレーキを作動できる安全装備が挙げられます。現在装着されているトヨタセーフティセンスも歩行者の検知を可能にしていますが、改良後は自転車も検知できるようになります。歩行者については、昼間に加えて夜間にも対応するので、安全性がいっそう高まります。
後方に向けた安全装備は、従来から設定のあったドライバーから見えない並走車両を知らせるブラインドスポットモニターに加えて、リアクロストラフィックアラートも加わります。駐車場などで後退しながら出庫する時、側方から接近してくる車両を検知してドライバーに知らせる機能です。
そしてトヨタが力を入れるコネクティッドとして、DCM(専用通信機)とアンテナが全車に標準装着されます。エアバッグが作動するような交通事故が生じた時、自動的にオペレーターが対応して救急車を手配することも可能なので、コネクティッドは安全装備としても機能します。
さまざまな充実を図りながら、価格はあまり高まらないと思われます。プリウスは大量に売る必要のある車種になるからです。安全装備が充実する分だけ、買い得度が強まるでしょう。
なおマイナーチェンジされた改良型の発売は、2018年12月17日が予定されているそうですが販売店によると「予約受注を2018年11月20日頃から開始すると思います」とのことです。
「デザインがダメ」と言われてもそれなりに売れてきたプリウスは、好評だったPHVデザインに変更した新型が12月に発売された時には、受注台数が溜まって納期が2019年2月頃に伸びている可能性があります。早く納車して欲しい場合は、販売店にあらかじめ問い合わせを行い、予約受注が開始された段階で契約するのがよいと思います。
日産ノートは「e-POWER」という新しいハイブリッドシステムを追加したことで、販売台数が爆発的に伸びました。「サイズが大きくなった」「価格が高くなったから」という声もあり、以前に比べ不人気になったプリウスが一番の酷評だったデザインへ大幅に手を入れたことで、「プリウスブランド」復活となるのか注目されます。
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