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「BEVじゃ無理がある」 東南アジアは「エンジン車回帰」が始まっている

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「BEVじゃ無理がある」 東南アジアは「エンジン車回帰」が始まっている

 この記事をまとめると

■マレーシアでは「BEV普及率は25%」という話もあるがとても25%も普及しているようには見えない

東南アジアでは珍しい自国自動車ブランド「プロトン」「プロドゥア」をもつマレーシア! どちらも「どこかで見たような……」なクルマが多いワケ

■クアラルンプール国際モビリティショーでは中国メーカーもEVだけでなくHEVやPHEVも展示していた

■マレーシアの需要は燃焼効率に優れた純粋な内燃機関車やHEVあたりが主流のようだ

 マレーシアのEV普及率は公称25%だけど実際は1.3%!?

 東南アジアでいち早くめざましいBEV(バッテリー電気自動車)の普及を見せたのはタイといえるだろう。新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着いた2022年に久しぶりにタイの首都バンコクを訪れると、中国上海汽車系のMGブランドのBEV“MG ZS EV”が街なかで目立っていった。

 その後2022年末に中国BYDオート(比亜迪汽車)がタイ市場への参入を表明、この前後にGWM(長城汽車)など多くの中国系BEVブランドがタイ市場に参入すると、バンコク市内でBEVを見かける頻度は一気に拡大していった。

「2024年12月にバンコク近郊で開催された“第41回タイ国際モーターエキスポ2024(通称バンコクモーターエキスポ)”には、中国系13ブランドがブースを構えました」とは事情通。ただ、そのタイにおけるBEV販売台数は2024年1月から11月の累計販売台数でみると、2023年1月から11月の累計販売台数比で3.4%減となっている。需要も一巡し、中国系ブランド同士での激しい値下げや値引き合戦も展開され、再販価値を気にする消費者が多いなかで“BEV離れ”が加速しているとの声もある。

 また、2024年夏あたりのタイ北部の大洪水やバンコク市内で発生する大雨による道路冠水などを見て、あくまで感覚的なものとして、「我われの国でBEVは無理があるのでは」と考える人も目立っているようである。「“タイのひとが熱(BEVブーム)から冷めた”とも地元ではいわれています」とは事情通。

 インドネシアでも暦年締め新車販売台数において、2022暦年締め比で2023暦年締めでの年間BEV販売台数は65.2%増えて1万62台になったとはいえ、新車販売全体の1.6%にとどまっている。

 それではマレーシアはどうかといえば、2024年12月4日にクアラルンプール国際モビリティショー(KLIMS)会場で行われた、同ショーの開幕式に出席したファディラ・ユソフ副首相が壇上で、マレーシアをBEV生産について東南アジアのハブにしたいと話し、普及にも積極的な姿勢を見せている。

 クアラルンプール市内のある新車ディーラーでは「BEV普及率は25%」という話もあったが、これだと街を走るクルマの4台に1台はBEVということになるが、筆者の目にはとてもではないがそんな頻度でBEVは視界に入ってこない。

 JETRO(日本貿易振興機構)の資料によると、2023暦年締め年間新車販売台数でみると、HEVも含めた“xEV”としてもシェアは4.8%、BEVだけに絞れば1.3%になるとしている。1.3%といってもクアラルンプール首都圏に集中していると考えると、筆者の視界に入るBEVの頻度としてはこちらのほうが正しいものと考えられる。

 中国メーカーもKLIMS会場にHEVやPHEVをもち込む

 KLIMS会場内にブースを構えた中国系ブランドはGAC(広州汽車)、AION(広州汽車系BEVブランド)、GWM(長城汽車)、MG(上海汽車系)のみであった。ほかにはBYDオート(比亜迪汽車)、チェリー(奇瑞汽車)、NETA(哪叱汽車)などが市場参入している。マレーシア国内でのBEV販売トップ3はほぼ同台数で、テスラ・モデルY、BYD ATTO3、BYDシールとなっており、マレーシアでもBYDが強みを見せている。

 ローコストBEVとしてタイでも一時爆発的に売れたNETAは2023年末にマレーシアに市場参入しているので、前出の統計ではほとんど売れていない結果になってしまっているが、これが2024暦年締めでの年間販売台数でどこまで伸びを見せているかというものが興味のあるところ。

 売れ筋のBYD ATTO3のマレーシア価格が14万9800リンギッド(約510万円)と、日本やタイよりもやや高めとなっている。マレーシアの平均年収が133万円(日本は調べると461万円)なので、平均年収の約4倍の価格のATTO3がよく売れているということは、かなりの高所得者層がユーザーとなっているものと考えられる。NETAでも廉価版で約410万円ということを考えると、充電インフラが十分ではないことも含めて、“ローコストEVで爆発的に普及させる”というフェーズには至っていないように見える。

 それもあるのかBYDではシールをベースとしたクロスオーバーSUVでATTO3の兄貴的モデルとなる「シーライオン7」がラインアップされており、このモデルが注目されている。

 また、「マレーシアは産油国だからなぁ」として、BEV普及にタイほどのめりこめない気もちの問題のようなものがあると指摘する声もある。

 話を聞く限りは「とにかくマイカーがほしい」といったエントリーレベルのお客が多いなか、所得に余裕があり夫婦共働きで複数保有している家庭も少なくなく、新車需要の二極化が進んでいる。複数保有家庭ではそのなかの1台をBEVにしてみようかというニーズもあるようだが、それでも日系HEV(ハイブリッド車)へ流れるケースのほうが目立っているようである。事実、ショー会場でもGWMやMGはHEVあるいはPHEV(プラグインハイブリッド車)のほうを目立つように展示していた。

 政府としては次世代を見据えてBEVに傾倒していきたいのだろうが、マレーシアの現状を見る限りは、日本メーカーの燃費性能そして燃焼効率に優れた純粋なICE(内燃機関)や、得意分野のハイブリッドユニット搭載車を、例えばダイハツ系モデルを生産する国民車ブランド「プロドゥア」では、ダイハツの「eスマート」ユニットを積極搭載させていくという方向もありなのかもしれないと見ている。

 今回のKLIMSで日産がキックスのeパワーユニット搭載モデルを発表したが、このあたりが現実を見据えた正しい流れなのかもしれない。

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みんなのコメント

111件
  • むちむち
    電気自動車購入後、バッテリー交換時期(一般的に8年または16万km)が来た時、バッテリー交換費用が新車購入並みにする事を分かっているのか?
    8年経ったら次の電気自動車に乗り換えると言う考えもあるが、バッテリーのリサイクル技術が確立されておらず、日本の日産自動車ですら苦戦している。
    中国を見るとリサイクルされず廃棄された電気自動車が山になった写真が見られるが、経年変化でバッテリーから廃液が漏れて自国の領土が環境汚染される事を考えていないのかも。
    内燃機関であるガソリンエンジンは特許や技術があり、海外の新しいメーカーは参入出来ないのでバッテリーさえ確保すればまだ簡単に作れる電気自動車で販路拡大も分かる。
    ただ後10年程度してバッテリー交換時期が来たら消費者は見積額を見て次はガソリン車はハイブリッド車に戻るだろうな。
  • nav********
    軽ベースの3気筒リッターカーがおすすめです
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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