現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スバル「レガシィ」誕生30年目に登場 7代目新型「アウトバック」は新時代の“GTカー”となるか

ここから本文です

スバル「レガシィ」誕生30年目に登場 7代目新型「アウトバック」は新時代の“GTカー”となるか

掲載 更新
スバル「レガシィ」誕生30年目に登場 7代目新型「アウトバック」は新時代の“GTカー”となるか

■キープコンセプトながら、確実に魅力を増した新型「アウトバック」

 2019年2月のシカゴショーでセダンが世界初公開された7代目レガシィに続き、ニューヨークオートショー2019でクロスオーバーワゴンのレガシィ・アウトバック(以下、アウトバック)が登場しました。

スバルのフラッグシップSUV「新型アウトバック」世界初公開 2.4Lターボエンジン新搭載

 すでに車両の詳細はさまざまなメディアを通じて伝えられていますが、筆者(山本シンヤ)が実際に開発を担当したプロジェクトゼネラルマネージャーの堀陽一さんとデザイナーの田中繁さんに、新型の特長やこだわりをおうかがいしました。

 山本:まず、開発コンセプトはどのようなテーマが掲げられたのでしょうか?

 堀:ユーザーに『アウトバックとは?』という質問をすると、『何か新しいこと、例えば登山、ボート、自転車など様々なアクティビティにトライするための相棒』だという答えが返ってきました。そこで、新型アウトバックは道具としての『機能性』を伸ばすことが重要だと考えました。

 山本:今回のモデルは新エンジン(FA24ターボ)の搭載やSGPの採用と、メカニズムは大きく刷新されましたが、全体的なフォルムは現行モデルを継承しています。デザインを大きく変えることは考えなかったのでしょうか?

 堀:おっしゃる通り、新型はパワートレインもシャシーも刷新したので、「デザインも…」という話もありました。ただ、「変化のための変化」ではなく。使われ方に対して考えるべきだと。キープコンセプトではなくユーザーのマインドに付いて行った結果です。

 山本:もちろん、スバルのデザイン言語「ダイナミック&ソリッド」に基づいてデザインされていますが、スバルは今後今までのダイナミック&ソリッドを、より大胆な表現にした「ボールダーデザイン」を行なっていくことを宣言しました。その辺りはどうでしょうか?

 田中:新型アウトバックのデザインコンセプトは「アクティブ&タフ」になります。キープコンセプトではありますが、全体の立体感を高めて見た目の強さを表現しました。アウトバックらしさを“より大胆に”という意味でボールダーデザインも盛り込まれています。

 山本:確かに、フロントバンパーの形状やサイドのクラッディングのデザインなどは、かなり大胆に感じました。

 田中:SUVのトレンド自体は乗用車化していますが、アウトバックの使われ方を考えると、そうではないなと思いました。そのため、丈夫さを表すために、クラッディングの面積は現行モデルよりも増やしています。イメージはトレッキングシューズです。

 山本:前後フェンダーに特徴的なフィンが装着されていますが、これは何でしょうか?

 堀:これはアーチフィンと言って、横方向の乱流を抑えることで、走行安定性を高める“機能部品”になります。アリ/ナシでは走りに大きな差が出ます。

 田中:デザイン的には突起は付けたくないのですが、性能的な裏付けがあるなら、より積極的に見せようという判断です。

■内装には、スバルの旗艦モデルにふさわしい大型ディスプレイを搭載

 山本:一方、内装は縦型ディスプレイ内蔵のセンターコンソールを中心に刷新、質感も大きく高められています。

 堀:道具としての機能を高める一方で、このクルマは弊社のフラッグシップでもあるので、「プレステージ性」と言う部分にも大きく注力しています。実はアウトバックユーザーの年齢層は54歳、経験に経験を積んだ人が選ぶので、本物であることが大事なのです。ナッパレザ-の採用や細部の造り込みの部分まで、徹底してこだわっています。

 山本:ボディサイズは全長4860×全幅1855×全幅1680(mm)でトレッドも拡大されました。

 堀:全幅はスペック上では15mm増加していますが、実はアーチフィンの分で片側7mmずつ拡大されただけなので、実質の変更はありません。ちなみに長さ方向(25mm増)に関してはラゲッジスペース拡大に用いています。

 山本:シャシーは5代目インプレッサから採用が始まったSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)になります。

 堀:SGPは衝突、ハンドリング、振動騒音、乗り心地、軽量化と全ての性能を引き上げることができるのが強みです。実は車両重量は数値だけ見ると現行と同じですが、中身で言うと60~70kg軽量化を行なっており、その重量分を性能向上に使っています。

 山本:具体的にはどの部分でしょうか?

 堀:衝突でいえばエネルギー吸収性を40%アップ、ハンドリングでいえばねじり剛性を70%アップ、振動騒音でいえば構造用接着剤の使用箇所を増やしています。

 山本:ハンドリングですが、一般論では乗用車ベースのクロスオーバーは基本素性を考えると穏やかな特性にセットされたモデルが多いですが、新型はどうでしょうか?

 堀:見た目はクロスオーバーですが、フラット感や安定感はステーションワゴン並みです。SGPに加えて、アルミ製のロアアームやリアハウジングの採用、更に上下方向のストロークスピードを上手にコントロールするように変更したダンパーのレシピなどが大きく寄与しています。シートも内部減衰を持たせるようにフォームも変えています。

 山本:パワートレインは2.5リッターNA(FB25)に加え、2.4リッター直噴ターボ(FA24)が設定されました。実用上はNAで十分なのは解りますが、何か物足りなさを感じていた日本のユーザーにとっては吉報だと思います。

 堀:新しく追加されたこのユニットは、260psのパフォーマンスに加えて低回転から力強いトルクをレギュラーガソリンで実現しています。かつて、日本では「レガシィ=ターボ」の時代もありましたが、そんなユーザーの返り咲きも狙いたいですね。レガシィの血統である“GT性能”も高まったと自負しています。

 山本:スバルのグランドツーリングの定義は「より速く/より遠くに/より快適に/より安全に」ですが、新型アウトバックは新時代のGTカーと言っていいでしょう。

 堀:ハードで言えばそうかもしれませんね。ちなみに燃料タンクの容量は現行と同じ70リッターですので、1タンクで1000km走破することも可能です。

※ ※ ※

 今年は1989年に初代レガシィが登場してから30年目の節目になります。筆者は5代目以降、レガシィの走りが大味になっていたのが気になっていましたが、新型はセダンを含めて次の30年に向けたスタートバッターにふさわしいモデルであることは間違いないと信じています。

 ちなみに、日本仕様の導入まで若干時間はあるようですが、ターボモデルだけでなく、STIスポーツのような派生モデルにも期待したいところです。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
「首都高の“ETC”」利用率が98%!? それでも「料金所」に”係員“なぜ存在? 料金所スタッフの勤務実態とは
くるまのニュース
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
さらば50cc…手に入れるなら今!? 50cc人気3選、今はまだ買えるの?
バイクのニュース
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
コメリ、オリジナルのヘッドライトコーティング剤発売 最長1年間黄ばみ・劣化から守る
レスポンス
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
最後の非電動・非ターボの水平対向6気筒…ポルシェ『911 GT3 RS』をスクープ!
レスポンス
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
半世紀前の名車バイクの走行距離がなんと“60km”!? 極上のホンダ「CB500Four」をイタリアで発見 気になる価格とは
VAGUE
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
全長3.9m! ダイハツの「コンパクトSUV」は“一文字テール”が未来的! パワフルな「1200cc×ハイブリッド」やターボ搭載した「トレック」とは!
くるまのニュース
 専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
専用品がない旧車や緊急時の味方!!「液体ガスケット」とは?【バイク用語辞典】
バイクのニュース
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
「支払は今度で……」なんていまだ人情話もある日本の路線バスもシッカリ経営に! キャッシュレス化がもたらすメリットとは
WEB CARTOP
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
【KTM 990RC R発表】RC8シリーズ以来の大排気量スーパースポーツRC・公道へ再降臨!デビューは2025年春以降
モーサイ
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
悔しい予選に終わったノリス。王者争いには悟りの境地「最初の6戦で決着していた」今は打倒フェラーリに集中
motorsport.com 日本版
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
【カブリオレ対決】BMW対メルセデス 6気筒エンジンを搭載するオープントップのM440i xDriveとCLE450のガチンコ勝負!
AutoBild Japan
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
トヨタ「和製スーパーカー」がスゴイ! 約500馬力「直6」風エンジン搭載&“スケスケ”な超ロングノーズ仕様! ワイドでカッコイイ「FT-1」とは?
くるまのニュース
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
2025年は車を買う! でもどれにする?…スライドドア付き軽自動車・予算別ガイド、3ゾーン48車種
レスポンス
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
いつ見てもかわいいレトロデザイン!! 超小型車 フィアット新型「トポリーノ」は欧州で大人気! ネットに続々寄せられる熱い思いとは
VAGUE
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ラリージャパンで国沢光宏が躍動! 二つの顔を持つ紳士がルーテシア ラリー5で激走
ベストカーWeb
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
『危ねぇ知らなかった!』危険回避! 知らないと怖いブレーキパッドの交換タイミング~カスタムHOW TO~
レスポンス
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
ソニー、移動をエンタメに変える「MR Cruise」事業化…あらゆる車両に搭載可能に
レスポンス
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
「前を走るパトカー」“追い越し”て大丈夫? 抜かす派VS抜かない派で賛否両論!? 「やっちゃダメ」な要注意項目とは
くるまのニュース

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150.5276.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.0238.0万円

中古車を検索
レガシィの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

150.5276.4万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

44.0238.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村