高速道路で長距離を移動する自動運転トラックが、いよいよ実現する。
12月4日、新東名高速道路浜松SA下り。ここには多くの報道関係者が集まった。国土交通省、車両メーカー、システム開発メーカーが参加したこの実証実験では、SAへの進入とその後の発進が行われた。その上で、今後は新東名の駿河湾沼津SA~浜松SA間の約110kmで実験を重ねていくという。
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この実験がトラブルなく進めば、数年以内に自動運転トラックが「身近な存在」になるかもしれない。
物流業界の人手不足に対応する「2つの対策」
日本では「人手不足」が叫ばれているが、物流業界のそれは極めて深刻な事態をもたらしている。
我々が何気なく利用しているAmazonや楽天市場などのECサイトも、商品を運んでくれる車があればこそのサービス。しかし、商品を注文する手段ばかりが発達し、それを支える物流システムの進化は後手に回っているのが現状だ。
ドライバーは急には増やせない。そこで講じられる対策は、主に以下の2つである。
一つは、運行を効率化する仕組みを導入する選択。最近ではAIがより収益性の高い受注やルート選択を選抜してくれるプラットフォームが開発されるようになった。これにより空車率を下げると同時に、燃料の消費も抑えられる。
もう一つは、自動運転トラックの開発・運行という選択である。この自動運転車両が確立すれば、「ドライバーを確保する」ということすら不要になる。
しかし、当然ながら今すぐにそれを実施することはできない。自動運転トラックが公道を走るためには、国が主催する実証実験で安全性を証明しなければならないのだ。
初心者ドライバーのような挙動
12月4日に公開された実証実験で行われたのは、浜松SAへの進入から停車、そしてSAからの出発における自動運転の検証である。
断っておかなければならないのは、今の時点で高速道路本線での自動運転(もしくは無人運転)が行われているわけではないということだ。トラックの運転席にはドライバーが座り、その手でハンドルを回している。SAへの進入とそこからの発車だけ自動運転で行われる、という実験内容だ。
そのため、停車したトラックの周囲には警備員が配置された。荷台側面と後面に貼られた「自動運転実施中」のステッカーを除いて、その見た目は至極普通のトラックである。
SAへの進入・発進も非常に慎重なペースだ。まるで教習所を出たばかりのドライバーのような、恐る恐るブレーキを踏んでいるという具合の挙動と表現すれば妥当か。
これは貶しているのではない。車の運転というのは慣れてきた頃が一番危ないと言われているが、自動運転トラックの挙動はどんな時でも初心者ドライバーくらいの慎重さであるべきだ。人間もAIも、車の運転は「恐る恐る」くらいが一番いいのかもしれない。
2025年にはレベル2自動運転トラックが!
上記の駿河湾沼津SA~浜松SA間には、自動運転車両専用レーンが導入されるという。
「自動運転車両専用レーン」というのは、やや仰々しい表現か。平たく言えば左側走行車線である。工事箇所の回避という例外を除き、追い越しのために右側車線に出ることはない。
そうしたこともあってか、「自動運転トラックの実証実験」という言葉がもたらすインパクトにそぐわないほど、その光景は地味と言わざるを得なかった。しかし、実証実験はエンターテイメントではない。重要なのは、実験とは全く関係のない他の車両も走行している中で些細なトラブルもなく検証作業が進められたという点だ。
自動運転システムを手掛けるスタートアップのT2によると、2025年春までに関東~中部、関東~関西でレベル2相当の自動運転トラックを走破させるという。2025年7月には、やはりレベル2自動運転トラックを使った輸送事業をスタートさせる。
レベル2自動運転とは、ブレーキとアクセルによる前後の制御、ステアリングによる左右の制御をシステムが行う「特定条件下での自動運転機能」だ。ただし、運転の主体はあくまでもドライバーである。運転席にはちゃんと人が乗っている。
が、ドライバーの負担はこの自動運転システムにより大幅に軽減されるだろう。
ICが「駅」になる日
T2が公表したスケジュールによれば、早ければ2027年度に東京~大阪間でのレベル4自動運転トラックの輸送事業が始まるという。2028年度にはIC付近の一般道での、2030年度にはレベル4トラクタトレーラーの輸送事業が開始される。
これはあくまでもスケジュールなので、実証実験や検証作業の経過によって変動する可能性は十分にある。だが、それを考慮しても2030年までにはレベル4トラックのオペレーションが行われることはほぼ確実だ。
レベル4自動運転とは、「特定条件下における完全自動運転」である。運転主体はシステムになり、人間のドライバーを省くことができる。
これは「トラックの鉄道化」を意味する。高速道路に線路が敷かれる……という意味ではもちろんなく、オペレーターと運行システムが厳正なダイヤを編成して機械的な運行管理をするという意味だ。ICが「駅」と呼ばれる日も来るかもしれない。
SA・PAから飲食店がなくなる?
記者会見とメディア公開が終わりに近づいた頃、とあるメディア関係者がこう呟いた。
「もしも自動運転トラックが当たり前のものになったら、SAやPAから飲食店がなくなるのかな?」
その可能性は、大いにあると筆者も考えている。飲食店というものが完全になくなるわけではないだろうが、利用客が減れば店舗数も減っていくのは自然の道理である。
これは、かつてのアメリカで人々の移動に活用されていたルート66と同様の顛末になるかもしれない。
ルート66はイリノイ州とカリフォルニア州をつなぐ、全長3,700km以上の長大な国道だった。この沿線にはモーテルや飲食店が数多く設けられ、旅行者や国内移住者で賑わっていた。
しかし、ドワイト・アイゼンハワー大統領の治世に州間高速道路の建設が始まってから、ルート66はその存在意義を失っていった。それまで大勢の客を集めていたモーテルは次々に閉鎖し、寂れた空き不動産だけがそこに残った。高速道路のSA・PAも、ルート66沿いのモーテルのように……とまではいかなくとも、何かしらの転換が必要とされていくのではないか。
そうした意味でも、自動運転トラックは我々の生活にも多大な影響をもたらすだろう。
取材・文/澤田真一
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