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水素エンジンカローラ、1年間で『つくる』『はこぶ』『つかう』の仲間を増やす。開発は“4合目”

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水素エンジンカローラ、1年間で『つくる』『はこぶ』『つかう』の仲間を増やす。開発は“4合目”

 6月3日、ENEOSスーパー耐久シリーズ2022 Powered by Hankook第2戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』が開催されている富士スピードウェイそばにあるROOKIE Racingのファクトリー内で記者会見を行い、2021年の富士24時間でデビューした水素エンジンを積むORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptについて、水素、カーボンニュートラル燃料を『つくる』『はこぶ』『つかう』の仲間づくりの取り組みの進捗についての説明を行った。

 2021年の富士24時間でデビューした水素エンジンを積むORC ROOKIE GR Corolla H2 concept。カーボンニュートラルという目的に向けさまざまな取り組みを行い、豊田章男社長が説明する水素を『つくる』『はこぶ』『つかう』の仲間を増やしてきたほか、2021年最終戦ではマツダがバイオディーゼル燃料を使った車両を投入したほか、2022年からはORC ROOKIE Racingからカーボンニュートラル燃料を使うORC ROOKIE GR86 CNF Concept、Team SDA Engineering BRZ CNF Conceptが参戦。競い合いながら戦いを続けている。

【順位結果】2022スーパー耐久第2戦『NAPAC 富士 SUPER TEC 24時間レース』 公式予選

 2022年の富士24時間は、ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptが参戦してから1年を迎えることになるが、これまでの取り組みの進捗についての説明を、報道ステーションでお馴染みの元テレビ朝日の富川悠太アナウンサー(現トヨタ自動車)の司会のもと、ドライバー“モリゾウ”として自らステアリングを握るトヨタ自動車豊田章男社長、TOYOTA GAZOO Racing佐藤恒治プレジデントが登壇して行った。

 カーボンニュートラルという同じ目的をもつ“意志ある情熱”に共感した仲間たちとともにスタートしたとされる取り組みは、昨年の富士24時間の時点で水素やカーボンニュートラル燃料を『つくる』『はこぶ』『つかう』の仲間となった企業や自治体が8だったが、2022年6月3日の時点で24に増えた。トヨタによれば、「エネルギーの選択肢の増加、水素運搬量の増加、エンジン性能や航続距離の向上、水素充填時間の短縮など、レースを通じた水素やカーボンニュートラル燃料を『つくる』『はこぶ』『つかう』挑戦は1年間で進化しました」としている。1年間でのORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptの進化は下記のとおりだ。

航続距離:約20%向上※3
出力:約20%向上
トルク:約30%向上
水素充填時間:約5分から1分半まで短縮

 まず『つくる』では、昨年の富士の参戦当初から仲間に加わった福島県浪江町(FH2R)をはじめ、オートポリスから加わった大林組、トヨタ自動車九州、さらにその後も岩谷産業、川崎重工業、電源開発株式会社が参画するHySTRA、福岡市、山梨県がそれぞれ水素を製造し、レースに参戦する水素エンジンカローラに使用してきた。

 また『はこぶ』では、トヨタ輸送のバイオ燃料トラックや、コマーシャル・ジャパン・パートナーシップ・テクノロジー(CJPT)の取り組むFC小型トラックが水素をサーキットまで運搬した。また電源開発がオーストラリアで製造した褐炭由来水素を試験的に空輸で運搬し、岩谷産業、川崎重工業の協力で水素エンジンカローラの燃料として使用した。

 そして『つかう』では、ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptが開発することで、エンジン性能や航続距離、水素充填時間などを改善。またORC ROOKIE GR86 CNF Concept、Team SDA Engineering BRZ CNF Concept、さらにMAZDA SPIRIT RACING Bio concept DEMIOも参戦することで、『つかう』燃料の選択肢も広がっているとしている。

 今回は、新たな仲間として神戸製鋼、ジャパンハイドロが“仲間”に加わった。神戸製鋼は、高炉工程におけるCO2排出量を大幅に削減した低CO2高炉鋼材を開発・商品化。商品の種類は『コベナブルプレミア』と『コベナブルハーフ』の2種類があり、トンあたりのCO2排出量の削減率が100%である『コベナブルプレミア』を、水素エンジンカローラのサスペンションメンバーに使用している。

 またジャパンハイドロは、6月から国内販売およびレンタルを開始する『水素専焼発電機』を、富士スピードウェイ内イベント広場の一部ブースで使用し、電力供給を行う。本発電機は水素のみを燃料とするため、燃焼時にCO2を排出しないという。

 2022年に向けては、すでに第1戦鈴鹿から車両にロゴがついているが、スーパー耐久を契機としたモータースポーツの繋がりがグローバルに広がっており、アジアでモータースポーツを発展させたい想いをもつパートナー企業の5社が加わった。今回の記者会見では、その関係者も訪れている。新たなパートナー企業は下記のとおり。

和泰汽車股份有限公司(台湾)
GT Capital Holdings Inc.(フィリピン)
Jardine Matheson Holdings Ltd.(香港)
中升集団控股有限公司(中国)
KUO International (private) Ltd.(シンガポール)

 今後、ORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptの開発に向けては、レースで鍛えた技術を活かし、水素エンジン車の市販化に向けた研究開発を開始したという。富士24時間のイベント広場で、実証試験車であるカローラ・クロスをベースとした水素エンジン車両を展示する。エンジンは、レースを走行する水素エンジンカローラと同じ3気筒ターボで、トヨタ・ミライの技術を活用した圧縮気体水素タンクを床下に2本搭載する。

 また、水素エンジンカローラの航続距離向上を目指し、すでに第1戦鈴鹿でも明らかにされているとおり、液体水素搭載技術への挑戦を続けていく。「気体水素よりもエネルギー密度が高く、水素エンジンと液体水素を組み合わせることができれば、航続距離がガソリン車に近づき、水素ステーションも約1/4の面積で運用できるようになります」としている。富士24時間レースの給水素エリアには移動式液体水素ステーションと液体水素搭載水素エンジンカローラのコンセプトモデルを展示した。

 佐藤プレジデントは、今回市販のGRカローラの開発にも繋がっているORC ROOKIE GR Corolla H2 conceptの開発のゴールについて富士山に例え、現段階では「四合目あたり」だとしている。とはいえ、1年間でモリゾウのラップタイムは同じ富士で7秒向上した。豊田章男社長は「モータースポーツというオープンな舞台で、開発をアジャイルに進めていくことが、エンジニアたちに元気を与えてくれている。1年で7秒短縮するなんてことは、なかなかできることではありません。実際にサーキットで、プロドライバー、ジェントルマンドライバー、開発ドライバーがそれぞれの運転をしながら挑戦している。今後もこのチャレンジをぜひ応援していただきたいと思います」と語った。今後もカーボンニュートラルに向けた取り組みは続いていくことになりそうだ。




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みんなのコメント

26件
  • この社長の発言に振り回されて日本の自動車は完全にガラパゴス化の様相になって来てる
    水素関連に金を注ぎ込み過ぎて今更引けないのかも知れないが再エネの生成から手を付けて行かないと無理
  • テスラやアップルに大口叩いてDISり入れた挙げ句に総資産でボロ負けしてる社長の言う事は信用出来ん
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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