新型ヴェゼルの売れ行きが好調だ。中でも最上位グレードの「PLaY」の納期は、約1年後になるという。
ヴェゼルのデザインに関しては、ネット上で「顔はCX-5、お尻はハリアー」とさんざんだった。ボディ同色グリルも、古典的クルマ好きの間では好き嫌いが分かれていた。
キープコンセプトでもここまで差がつく!? 人気車の「次」に挑んだ新型車の成否
しかしヴェゼルのフォルムは、バランスがよく美しい。水平基調のウエストラインは清潔感があってエレガント。これは間違いなく日本人好みだ。ボディタイプはまるで違うが、個人的には初代ソアラに通じるものを感じている。
ボディ同色グリルに関しては、拒絶反応を予想してか、ブラックグリルがオプションで用意されたが、装着を希望する人はそれほど多くないようだ。実物を見比べても、ボディ同色グリルのほうが個性的。ブラックグリルは身元不明に見えてしまう。自動車デザインには、多少のアクが必要なのである。
結局のところ新型ヴェゼルは、デザインも含め非常に好評で、売れ行きがいまひとつ伸び悩んでいるフィットを上回る勢いすら見せている。
もはやSUVは販売台数で売れ筋コンパクトカーをのしのぐほどメジャーな存在になった。そしてその鍵を握るのはデザインだ。
今回は、国産クロスオーバーSUV(登録車)のデザインを、独断でランキングしてみたい。
文/清水草一
写真/トヨタ ホンダ 日産 マツダ ベストカーweb編集部
【画像ギャラリー】人気SUVのデザインを清水草一氏が採点!!
1位 マツダCX-5(CX-8含む)/92点
美しいSUVと聞いて真っ先に思い浮かぶCX-5。先代にも採用されていた鼓動デザインはさらに進化し、芸術作品ともいえるほどの高いクオリティに仕立てられている
すでに登場から4年が経ち、新鮮味は消えているが、改めてランキングすると、これが1位になる。
シンプルで奥の深いパネル構成は彫刻的で、芸術作品の趣が強い。奇をてらった部分はほとんどないが、たとえばヘッドライトとグリルをつなげて裂け目のような造形を入れることで、見る者の目を引き付けることも忘れていない。
どこを見ても、気品と力強さが見事に同居している。ロングホイールベース版のCX-8もほぼ同様だ。
CX-5の売れ行きは、現在は落ち着いているが、それでもCX-8と合わせると、月に5000台ほど売れている。この2台の販売台数がほぼ拮抗しているのは、デザインを一切崩すことなく3列シートを実現した、CX-8のデザインの完成度が大きく寄与している。
2位 マツダCX-30/89点
CX-5に次いでCX-30が2位にランクイン。フロントノーズが長くとられており、美しい流線形をなしている
2位もマツダのSUVになった。やはり現在の国産メーカーのなかでは、マツダのデザイン力は一歩抜けている。デザイン優先すぎる面もあり、販売に直結しているとは言い難いが、デザインレベルだけを見れば、どうしてもマツダが上位に来る。
CX-30もデザインは、マツダ3のSUV版といえる。しかし決してただ車高を持ち上げただけではなく、細かく見ればすべてが違う。
CX-5とCX-8も同様だが、同じようなイメージに見せておいて、実はそのまま流用した部分はないというのが、マツダデザインのアーティステイックなところだ。
CX-30の惜しいところは、ホイールアーチの樹脂部分が太すぎて、繊細なパネル造形から少し浮いて見えること。それがなければ1位にランキングしていた。とにかくデザインの美しいSUVだ。
3位 ホンダヴェゼル/83点
新型ヴェゼルの特徴といえば六角形型のボディ同色グリル。純正アクセサリーとして黒色グリルも用意されている
前述のように、清潔感があってエレガントなデザインだ。ただしフォルムの個性は弱く、それをボディ同色グリルが補っている。
国内販売的には、あまり主義主張の強いデザインよりも、これくらいが万人受けして最も有望と見ることもできる。多くの人は、デザインに関しては、我々が選ぶ頂点クラスよりも、「真ん中より少し上」くらいを最も好む……気はしている。
4位 トヨタハリアー/81点
2020年6月発売の4代目ハリアー。外観は先代のキープコンセプトだが、都会派SUVにふさわしいスタイリッシュなデザインに進化した
ほぼ同サイズのCX-5と見比べると、デザインの仕上がりにはかなりの差がある。たとえばタイヤの見え方。ハリアーはベストラバンスよりも前後オーバーハングが長く見えて、やや頼りない。パネルの美しさも、CX-5とはかなりの差がある。
それでもハリアーは、全体を見ると相当魅力的だ。特にフロントフェイスはシュッとスマートで先進的で、いかにもイケメン。
リアスタイルも同様。ヴェゼルのリヤが「ハリアーそっくり」と揶揄されたのは、ハリアーのリヤはカッコいいと多くの人が認識しているからだろう。薄っぺらなスペシャルティSUVだと侮るべきではない。
5位 マツダCX-3/80点
CX-3のデザインはどこかマニアックで、シンプルな美しさを追求する最近のマツダ車のなかでは異端児的な存在
もはや存続が云々されるほど忘れられかけているが、デザインだけを見れば、今でも一級品だ。上下にうねるようなウエストラインの躍動感は、SUVとして出色。マツダはすでにこういう複雑なデザイン路線を捨て、よりシンプルな方向を目指しているが、マツダデザインの「凝りまくり路線」の頂点がこれだ。
6位 トヨタC-HR /77点
ガンダムチックかつ近未来的なデザインで、デビュー時は大ヒットしたC-HR
一時バカ売れしたC-HRだが、すでにその攻殻機動隊的なデザインは飽きられ、ヤリスクロスやハリアーなどの新参者に食われて、販売は低迷路線に突入している。
確かにそのデザインには、奇をてらったSFアニメ的要素が濃かったが、しかしそちらの路線の傑作だったことも確か。今見てもC-HRはカッコいいし、デザインバランスもとてもいい。賞味期限が切れつつあるのは、デコレーションがやや強烈すぎたゆえだ。
7位 スバルXV/72点
XVはインプレッサベースながら200mmの最低地上高を確保。全高は1550mmと立体駐車場にも収まる
XVのデザインは、なんとも言えない「イイ感じ」に包まれていた。シンプルでやや古典的なインプレッサをベースに、車高を持ち上げて今どきっぽくSUVに仕立てたという肩の力が抜けた風味が、とても心地よかったのだ。
しかし、マイナーチェンジで「牙」を生やすなどの化粧を施した結果、そのいい感じはかなり失われてしまった。
デザインで重要なのは、まず全体のフォルムではあるが、化粧ひとつでイメージがまるで変ってしまうのも事実だ。
8位 トヨタヤリスクロス/71点
ヤリスと比べれば十分に迫力があるが万人受けしそうなデザインだ
ヤリスのデザインイメージをSUVに移植している。顔付きは適度に個性的だが、ヤリスほどの毒気はなく万人受け。
オーバーフェンダーなどのSUV的付加物も力強い。室内も広くなっているから、月間約1万台売れているは納得だが、デザイン的には、どこか「とってつけた感」があって、魂に訴えては来ない。決して小手先ではないんだけど、少しだけ小手先っぽく見えてしまうとでも申しましょうか……。
9位 トヨタライズ/70点
ライズは全長3995mm×全幅1695mm×全高1620mm、最小回転半径4.9mと取り回しの良さが魅力
ヤリスクロスに比べると、小手先ではなく不器用なままなの愚直なデザインに、なぜか好感を覚えてしまう。
角張ったデザインは、「小さいからこそでっかく見せたいぞ!」という意図が見え見えで、そこがまた愚直で泣かせる。得点はあまり高くないが、つい応援したくなるデザインだ。心情で採点しちゃってスイマセン。
10位 スズキクロスビー/69点
ハスラー譲りの丸型ヘッドライトをもつクロスビー。クロスオーバーSUVのなかでは異色の存在だ
完成度はまったく高くないが、フグのようにプックリと膨らんだデザインは、都会派とは真逆のお笑い系で、クロスオーバーSUVのデザインとして異色。こういうのがないと自動車デザインは面白くない!
ベスト10に入らなかった次点のクルマ2台
以上、ベスト10を挙げた。現在、国産クロスオーバーSUVは20モデルほどなので、ここまでが「真ん中より上」ということになる。では、真ん中より下の注目モデルについて、少しだけ触れておこう。
■次点:日産キックス/63点
キックスは海外では2016年から販売されており、内外装に設計の古さが目立つ
シンプルというより単純な造形に化粧を施したデザインは、競争の激しいクロスオーバーSUV界にあって、かなり取り残されている。
■次点:トヨタRAV4/55点
5代目から日本での販売を再開したRAV4はたちまち大ヒット
個性のないフォルムにいかつめな顔を付けただけのデザインで、発売当初バカ売れしたのが信じられない。
今も全世界でバカ売れしているのが信じられない。ただ、SUVデザインが世界的に洗練され、スタイリッシュ志向に流れる中、その流れに逆らっていることは確かで、それがRAV4の存在感を高めている。
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みんなのコメント
今世紀最高のダサ車”CXハリアー”がランクに入る訳ねぇだろ!?提灯記事にも程があるぞ!古典的クルマ好きの間では好き嫌いが分かれて??って一部のキモチワルイホンダ党だけが擁護に必死なだけだろww
だがデザインはパクりである!