全車に積極設定! 注目の装備たち
すべての乗用車の中で、最もキャビン実用性に優れているのは2L級1BOX型ミニバン。
【画像】新型ノア&ヴォクシー デザイン/内装【細部まで見る】 全65枚
一回り大きな上級1BOX型は走るサロン志向で、積載の多様性や細かな利便機能は程々。車体サイズが5ナンバー相応というのも実用面のメリットだ。
その2L級1BOX型の定番モデルが試乗したヴォクシー。デザイン面のキャラ付けとグレード設定を除けば、ノアとは双子車の関係にある。
実用性という些か地味な訴求点を深化させているのが新型ヴォクシーの特徴である。
操作性向上のためリアゲート近くのサイドパネルに設置されたパワーテールゲートのスイッチや、安価なOPで提供を可能とした機械式連動サイドステップなどのアイデア装備もあれば、車外からスマホを用いたリモコン操作で入出庫させられる最先端の駐車システムや高速道路限定の渋滞時ハンズオフ走行機能など、破格の先進装備も用意される。
アイデア装備もハイテク装備もユーザーに便利なら積極採用、というモデルなのだ。
上位設定のハイブリッド車専用とか上級グレード限定が少ない。前記装備ではリモコン駐車が上級グレード限定だが、他はヴォクシーの全仕様で装着が可能。
OP総額が気になるが、予算に合わせて使い勝手の向上を図れるのも実用性の要点。そんな実用面のコスパを求めたモデルが試乗したガソリンの2WD仕様である。
RAV4の2Lエンジン どんな感じ?
ハイブリッド車も大改良が加えられているが、ガソリン車のパワートレインは新型に一新。RAV4も採用する2Lダイナミックフォースエンジンの「M20A-FKS」を搭載している。
強タンブル流吸気と大量クールドEGR、高速燃焼や超ロングストロークを採用してガソリンエンジンではトップクラスの熱効率と高熱効率の広い稼働領域を性能面の特徴としている。
ならば燃費重視のドライブフィールかと言えば、そうでもない。結果論的には燃費に優しい特性なのだが、悠々たる余力感が印象的だ。
最大トルクは20.6kg-m/4900rpm。NA 2Lでは大トルク型と言えるがアドバンテージは僅かであり、全開時の加速性能はNA 2Lでは標準的。
高回転までトルクむらは少ないが、回してもそれほどの速さでない。要するにNA 2L相応なのだ。ただし、そう感じるのは全開もしくはそれに近い踏み込み時くらいである。
巡航回転数は2000rpm前後。現代の乗用車では標準的だが、緩加速でもダウンシフトは少なく、3000rpmを超えることもなくグイグイ加速する。
ちょっと違うGA-Cプラットフォーム
しかも踏み増し時の加速反応のよさは内燃機車ではトップクラス。
初期トルクも大きめであり、一般的な走行パターンならペダルストロークの半分にも充たない踏み込み量でこなしてしまう。俊敏に反応する2.5Lエンジンのように錯覚するほど。
悪く言えば一気加速で馬脚を露わすタイプなのだが、性能確認のための意図的な急加速以外で「馬脚」を感じることはなかった。
また、先代でプラットフォームを一新したが、新型で再び一新してカローラ/プリウスに採用されているGA-Cプラットフォームとなった。
ただ、GA-Cではかなりイレギュラー。先代で採用した細長い超扁平燃料タンクやFF/4WD車ともにリアサスへのトーションビームサスの採用など、実質的にはヴォクシー/ノア専用という成り立ちだ。
先代からの技術の流れや開発要点を見ても力作だが、試乗印象も同様だった。
以前のトヨタの1BOX系は高速操安性を定員乗車まで保証するため、ハードサスセッティングが基本。代を重ねる毎に乗り心地を改善してきたが、操安を妥協したわけではない。
乗り心地/コーナリングについて
加減速やうねりによる前・後輪の荷重変動が抑えられ、車体の揺動が少ない。
ロールの使い方もしなやかで落ち着いている。
回頭速度がラインと一致し、前・後輪荷重も落ち着いているので横Gも安定。ドライバーにとっては修正操作少なく、安心感の高い操縦感覚であり、同時にコーナリング中に乗員の頭を振り回すような挙動が少ない穏やかさが長所となる。
少人数乗車での乗り心地も良好。ストロークが深まるほどに強腰になるようなサスチューンなので小ストローク域でもしなやか。
55扁平の17インチのせいか小さな段差で若干角当たりの硬さを意識するが、走りの質感を損ねるほどでもなく、安定感と穏やかさが心地よい。
回転変化や吸排気音の変化が少ないパワートレイン周りの静粛性と相まって、穏やかな心持ちで乗っていられる。
ガソリン車を推せるワケ
上級設定のS-Zに総額約92万円のOP装備。試乗モデルの価格は締めて約431万円。同グレードのハイブリッド車との車両本体価格差は35万円である。
価格差を燃費で取り返すのは難しいにしても、最上級グレード+フルOPの予算建てなら、頑張って動力性能面でもメリットのあるハイブリッド車を選びたいというのが人情だろう。
ヴォクシーのガソリン車はまとまりがいい。1BOX型の標準的なユーザーの現実的な用途を背景とした機能や運転感覚、装備設定を揃えたワイドスイートスポット型。この実践力の高さをコスパで量るなら、シリーズではベーシックとなるS-Gをベースに必要度に合わせて無駄なく選択するのが、実用コスパのベストと言える。
ハイブリッド車を選んでいくつかの利便快適OPを諦めるなら、ガソリン車でOP充実のほうが実践的でもある。
トヨタセーフティセンスの高機能化もあって先代よりも価格は上がっているが、機能や性能向上を図ってなお先代同様の予算内に収まるよう開発されたのも新型の特徴の1つ。
そのコスパ重視の設計が最もよく現れているのが同車のガソリン車であり、リピートユーザーならなおさら。高価格仕様を追わなければ魅力半減というタイプのモデルではないのだ。
トヨタ・ヴォクシーS-Z(ガソリン車) スペック
価格:339万円
全長:4695mm
全幅:1730mm
全高:1895mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.0km/L(WLTCモード)
CO2排出量:155g/km
車両重量:1640kg
パワートレイン:直列4気筒1986cc
使用燃料:ガソリン
最高出力:170ps/6600rpm
最大トルク:20.6kg-m/4900rpm
ギアボックス:CVT
乗車定員:7名
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みんなのコメント
400万ぐらいするなら日本人の平均年収になる。普通に買えない値段。今の時代がバブルならわかるけど!
新車総数が少なくて納車が長過ぎるわ。