ロシア国防省が公開した動画にもと自衛隊の高機動車の姿が!
2023年6月、AUTOCAR JAPANはロシア国内の中古車店で使用済みの自衛隊車両が販売されていることを報じた。
【画像】ロシアの地にもと自衛隊の高機動車 画像をもっとみる 全7枚
それ以前にテレグラム発の動画にロシアが戦争に使う高機動車の姿が流れたこともあり、それがきっかけで防衛省の調査にまで至ることになった。
そしてつい2週間前のこと、6月5日にはロシア国防省の公式動画にもと自衛隊の高機動車だとわかる車両が登場した。
空挺部隊の「ZU-23-2」対空機関砲がウクライナ東部ドネツク州チャシブ・ヤール地域で敵の歩兵部隊を排除したと報告されている。「ZU-23-2」はソ連時代に製造された年代モノの機関砲で対空射撃を行う様子も動画からわかる。
ドアパネルにはロシア軍の車両であることがわかる白く大きな「V」の文字が書かれている。運転する様子も流れていたが、もちろん右ハンドルだ。大柄な兵士なのか?スライド機構が壊れているのか?高機動車の運転席は狭そうに見えた。
高機動車はそもそも、自衛隊では人員輸送車として開発した車両で戦闘には不向きとされているが、動画に登場する高機動車はロシア軍が独自に改造した対空砲仕様とされる。
ほかにもロシア軍は数台の高機動車をベースとした戦闘車両を所有しているそうだが、これらの車両はもちろん、正規に日本から送られた中古車ではない。
では、どうやって入手したのか?
それはおそらく、ロシアの中古車販売店に並ぶ高機動車と同じルートだと考えられる。
ロシアの中古車販売店でも高機動車が販売されている
1年前のAUTOCAR JAPANの記事で紹介したが、ロシアの中古車販売店には現在も明らかに高機動車とわかる車両が10台ほど掲載されており、すべて「メガクルーザー」として販売されている。
しかも1年前と比べると価格も全体的に100-200万ルーブル高い。かなり高騰している印象だ。
高機動車をメガクルーザーと偽って販売するのは自衛隊車両であることを隠すためであろう。メガクルーザーは高機動車の民生版として販売されたが、ベースは同じであっても両車は明らかに顔も仕様も違う。
そもそも高機動車は基本ボディは幌車(トラック)だがメガクルーザーはクローズドボディである。
ちなみに自衛隊では、陸・海・空それぞれにエンブレムがあり、陸は「桜(桜星)」、海は「錨」、空は「翼」がモチーフとなっている。
そして今回、ウラジオストクの中古車店で販売されている高機動車には、しっかりとフロントグリル中央に「桜星」のエンブレムと、向かって右下に「9通」と読める表示が残っている。
なお「9通」とは「第9通信大隊」のことで第9師団隷下の通信科部隊として青森駐屯地(青森県青森市)にある。第9通信大隊にて使われていた高機動車であることは間違いなさそうだ。
2023年3月の第211回国会で政府参考人として答弁に立った防衛装備庁長官の土本英樹は「解体するときには自衛隊であることがわかるものはすべて外しているので、高機動車と外観上の類似性は認められるが画像だけでは判断できない」と述べた。
前述したロシアの中古車店で販売される高機動車には「桜星」と「部隊名」までしっかり残っている。これでもまだ「自衛隊の高機動車であるとは判断できない」というのだろうか?
北海道・芽室町の業者が不正行為で指名停止
使用済みの自衛隊車両は業者に払い下げられた後、再度の組み立てができないようかなり細かく分解してドアパネルやフレームなども指定の箇所を切断する。
払下げから3か月以内に破砕または溶解後の写真を添付して自衛隊に提出。その後、「鉄くず」として処分を行う。
当然、再度組み立てて車両として使用することなどできるはずもないのだが……実際にはロシアをはじめフィリピンなど東南アジアの国を経由してロシアに持ち込まれていると推測されている。
「解体すべき車両を解体せず、業者が海外に横流ししている」として国会で指摘を受けた防衛省は2023年4月頃から使用済み車両の「その後」を調査していた。
そして同年12月には解体せずに転売しようとしたとして業者2社が指名停止処分を受けている。
また、今年5月末には新たに北海道・芽室町の解体業者が防衛省から9ヶ月の指名停止措置を受けた。
2023年8月に落札した使用済みの高機動車22台について解体を証明する書類に虚偽の写真を使っていたことが理由だ。
過去に正しい方法で解体した時に撮影した高機動車の写真を何度も使いまわしていたそうだが、切断された車台番号部分の写真はどうやって提出していたのか。
責任者が見て見ぬふりをしていた可能性もある。
実際、防衛省も「車両の解体は原則として立ち合いはなく書類の提出だけ」で「確認が不十分だった」としている。
「今後はすべての解体作業に立ち会うなどして、再発防止を図る」としているが、全数検査は実現できるのか。
一方ウクライナには日本政府支援の自衛隊車両が
海外に持ち出すことは厳禁である使用済みの自衛隊車両だが、実は例外もある。それは日本政府が国際支援やPKO活動のために無償で使用済み車両を提供するケースだ。
最近では防衛省・自衛隊がウクライナ政府からの要請を踏まえて2023年5月に1/2トントラック、高機動車、資材運搬車約100台の使用済み車両の引き渡しを行った。
これらの車両は約1年をかけて順次ウクライナに輸送され、最終便(101台目を含む)が2024年6月5日にウクライナに到着したことが在ウクライナ日本国大使館のX(旧ツイッター)で明らかにされている。
政府が主導してウクライナに提供する使用済み車両であれば、ぜひとも活躍を願いたいものだが……ロシアが非合法的手段で手に入れた元自衛隊車両がウクライナへの侵略に使われるのは、許せないものがある。
日本国民の血税で購入した車両が役目を終えたあと、不正な方法で第三国を経由してロシアに入りウクライナの自由と主権、民主主義を脅かすために使われている……。
現在は中古車として販売されている高機動車も、やがてはロシア側に流れていく可能性もある。それは大問題ではないか。
ウクライナ側は日本政府から正式に寄贈された高機動車で、ロシア側は不正に入手した高機動車でそれぞれ戦っている。
だが、同じ日本発の高機動車がウクライナの国民、領域、主権を否定する侵略行為にも使われているのは許しがたい行為だ。
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みんなのコメント
そんな処分で終わらせるから次々と同様の事柄が発生するのだと思う。これって、犯罪ですよねえ。もっともっと厳しい処置をしないといけないと思う。
よく分かりますね。
根本的に改革して同時にスパイに関する
法律も整備してくれ
国防に関することだから無期懲役刑もいれんとまずいだろ。