初代はセダンやワゴンがドイツ、ハッチバックがベルギーで生産されたほか、写真のカブリオレはイタリアのベルトーネが担当した。
ASTRA/KADETT アストラ/カデット
ボルボが自社開発OS「VolvoCars.OS」を次世代電動車に搭載へ
1936-2022
エントリーモデル『CORSA』の登場以前に、長くOPELの基盤を固めていたのが『KADETT』であり、その後を継いだのが『ASTRA』だ。
国民車構想から羽ばたいた世界戦略車
オペルの基幹車種としてその地位を確固たるものに築き上げた『ASTRA』の源流は1930年代のドイツにおける国民車構想で生み出された初代『KADETT』にある。このモデルは大戦の混乱に巻き込まれるかたちで一時期姿を消すが、グローバリゼーションの波が押し寄せた60年代にその名が復活。オペルにとって戦後初の小型車としてコンパクトなサイズに確かな実力を備え、そのうえで手に届きやすい価格を実現したことで代表車種となった。
1962年に登場した『KADETT』は91年まで連綿と造り続けられる中で、ゼネラルモーターズの世界戦略車〝Tカー〟としての重責を担う。その後FWDモデルへと方針転換を図りながら進化し、新世代仕様が当時のCIに則って世界共通名の『ASTRA』を戴くことになった。
1991年に登場した新生『ASTRA』はエアロダイナミクスの追求に力を入れていたオペルの方向性に倣って空力ボディーを獲得。併せて環境保護への配慮から樹脂パーツのリサイクル率をほぼ100%に高めたほか、水溶性ペイントの積極採用にも乗り出した。ボディータイプは3ドアおよび5ドアハッチバックに加え、3ボックスの4ドアセダンやワゴン、カブリオレと豊富なバリエーションが用意されたことも見逃せない。93年に導入されたオープントップモデルのボディーワークはベルトーネによるものとなる。その豊富なラインアップと世界展開により『ASTRA』は当時のGMグループ内ではもちろん、世界第2位の販売台数を誇るボリュームセラーとなった。97年の2代目からはクーペも追加され、続く3代目でも全5種類のボディーバリエーションを取り揃えていた。
世の潮流を読み、生み出される最適解
2009年からの4代目はGMデルタIIプラットフォームをベースに仕立てられ、ホイールベースの延長とともにボディーを拡大して居住性を向上。15年登場の5代目はプラットフォームを刷新し、エンジンは1L3気筒および1.4と1.6Lの4気筒に絞るなど、当時の潮流となっていたダウンサイジング化を図った。ちなみに4代目と5代目は日本未導入だった。
そして2021年、ステランティスグループ入りした新生オペルから6代目が登場。同グループのEMP2プラットフォームをベースに、ダイナミズムを主眼としたエクステリア/インテリアデザインが与えられ、シンプルながらも見る者をワクワクさせるスタイリングをまとった。新型はブランド初のプラグインハイブリッドを用意するほか、23年にはEV仕様の追加も発表されるなど、新世代を牽引するにふさわしい中核モデルへと進化している。
ASTRA
『KADETT』の横置きFWDの基本構成を継承した初代モデル。空気抵抗係数は0.30~0.32と優秀な値を叩き出した。
2代目ではアルミサブフレームや高張力鋼板を用いた高剛性ボディーを実現するとともに、安全装備を充実。豊富なボディーバリエーションを誇ったことも『ASTRA』の人気の理由。3ドア/5ドアハッチバックに加え4ドア・サルーンや5ドアワゴンのほか、イタリア・ベルトーネの手によるクーペ(上)やカブリオレ(下)も用意された。ちなみにこの世代のワゴンはヨーロッパ全体のワゴンの販売台数の1位を記録している。
2021年に登場したばかりの6代目は、ステランティスグループのEMP2プラットフォームをベースに仕立てられた。
2003年にフルモデルチェンジした3代目(上)までは日本にも導入されていた。09年デビューの4代目(中)ではさらにエアロダイナミクスが煮詰められている。15年のフランクフルトモーターショーで発表された5代目(下)はプラットフォームを一新。サイズを若干縮小するとともにパワートレーンのダウンサイズ化が図られた。OPEL車として初めてヨーロッパ・カー・オブ・ザ・イヤーを受賞したのもこのモデル。
KADETT
『ASTRA』の源流となるのが1936年登場の初代『KADETT』(上)。軽量なモノコックボディーによって当時としては優秀な動力性能を発揮して人気を博した。第2次世界大戦を挟んでその名は一時期消滅したものの、1962年に復活(中)。65年にフルモデルチェンジした『KADETT B』(下)ではボディーバリエーションが8種類にまで増加し、スポーツ仕様も追加されている。
ゼネラルモーターズの世界戦略車構想に則って1973年に生まれたのが『KADETT C』(右上)。〝Tカー〟と呼ばれたそれは同じ車体からシボレー『CHEVETTE』やいすゞ『GEMINI』などが生まれた。そしてそれまでのFRからFWDへの方針転換を図ったのが『KADETT D』(左上)である。84年登場の『KADETT E』(右下)ではエアロダイナミックなボディーに一新。87年にはカブリオレ(左下)がラインアップに加わった。
取材・文/桐畑恒治
160年の歴史を持つオペルのすべてがわかるブランドMOOK「&OPEL 未来を創るクルマ。」発売中
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注目のクリエイターが語るNEW OPELの魅力アンバサダーを務めるリバプールFC監督・ユルゲン・クロップ氏とOPELPART 4 ドイツから特報!元気なOPEL
「MOKKA」「CORSA-e」「GRANDLAND」現地試乗レポート詳報オペルCEO Uwe Hochgeschurtz氏インタビューPART 5 Republish of Historic car impression
革新的な挑戦を続けてきた自動車ブランドOPELの歴史
老舗自動車専門誌の編集者が語るOPELの魅力OPEL in Motorsports「CORSA」「ASTRA/KADETT」「VECTRA」「OMEGA」「SPEEDSTER」「GT」「MANTA」「CALIBRA」「ZAFIRA」PART6 「&OPEL」 Square
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