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メルセデスAMG Cクラス 詳細データテスト 足りないナチュラルさ 動力性能のわりに洗練度は高い

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メルセデスAMG Cクラス 詳細データテスト 足りないナチュラルさ 動力性能のわりに洗練度は高い

はじめに

長い間、メルセデスAMGといえばシンプルな猛獣のようなクルマだと思われてきた。どんなに進んだ技術が多数投入されても、結局行き着くところは単純なエモーションだ。V8エンジンが唸り、後輪が鳴き、ドライバーがはしゃぐ、といった具合に。

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ところが、うるさいエンジンが社会的に肩身の狭いものとなり、エミッションの目標が厳しさを増し、ユーザーが日常使いでの利便性を重視するようになるにつれ、AMGは路線変更を求められるようになった。その大きな変化を体現しているのが、今回のC63S Eパフォーマンスだ。

カリスマ的なV8で後輪を駆動し、タイヤスモークをあげるようなドライブトレインと決別し、搭載されたエンジンは4気筒。そして、PHEVシステムと4WDを採用した新時代のC63が誕生した。

このクルマの登場に際し、AMGが語ったのは、生々しいパフォーマンスと、短距離ながら電動走行できる便利さを両立した、ということだった。

当初の試乗では、あまりいい印象を受けなかった。パフォーマンスはメニューやモードの層に埋もれ、パッケージはむしろ魅力のないものに感じられたのだ。それから英国への正規導入まで1年がかかった。このきわめて複雑化したクルマの第一印象が誤解だったのか、長い冷却期間を経て改めて乗れば、見落としていた才覚に気づけるのか、それを確かめる機会がようやく巡ってきた。

意匠と技術 ★★★★★★★★☆☆

なにはともあれ、このクルマに用いられたエンジニアリングは賞賛に値する。

C63は、GT63S Eパフォーマンスと同じハイブリッドシステムを搭載する。ただし、エンジンはV8ではなく直4だ。いわゆるP3システムに分類されるが、Pはパラレルハイブリッド、3は電気モーターがギアボックスとディファレンシャルの間にあることを示す。レンジエクステンダーではない、本格ハイブリッドとでもいうべきものだ。

しかしながら、その分類の型どおりならAMGの湿式クラッチ9速ATとリアディファレンシャルの間に置かれているはずのモーターは、ドライブユニットとしてリアアクスル上に設置されている。これは204ps
の電気モーターに6.1kWhのハイパフォーマンス・リチウムイオンバッテリー、インバーターとコントロールユニット、2速ギアボックスを組み合わせたものだ。

このアレンジメントはリアディファレンシャルとして機能するだけでなく、リアのプロペラシャフトも駆動。トランスファーケースを経由し、四輪へ駆動力を送ることができる。

ハイパフォーマンスと銘打ったバッテリーは、絶対的な容量よりも、充放電の速さに重きを置いて開発された。そのため充電容量は、C300eの25.4kWhを大きく下回る。その代わり、連続出力のピークは150kWと、実用型バッテリーの70kWに対して倍以上。ということは、10秒全開にすると、108psを失うことになる。なお、エネルギー回生のキャパシティは100kWだ。

バッテリーは、各セルごとに液冷される。14Lのクーラントを循環させ、最適な温度を保つのだ。ハイブリッド用バッテリーは大多数が空冷式か、さもなければパック単位での冷却システムを備えるが、そのせいで高負荷時にはオーバーヒートすることもある。

バッテリーを使い切ったら走りがモタモタしてしまうPHEVもあるが、これはそういうものではない。プラグイン充電は、ベストな燃費を実現するためであって、パフォーマンスを高めることが絶対的な目的だとは言い難い。

内燃エンジンは、世界最強の量産4気筒を採用する。排気量比出力は239ps/Lで、これはフェラーリ296GTBのV6がマークする221ps/Lを凌ぐ。

400V電気系の貢献も小さくない。大径ターボには電気モーターが組み付けられ、排気が十分に送り込まれる前からタービンを回すことで、ブーストの掛かりはじめを引き下げ、ターボラグを減らす。この高電圧回路にはベルト駆動式スターター・ジェネレーターも装備し、補器類の電力を賄う。

こうしてテクノロジーを満載したことで、比較的コンパクトなワゴンボディの重量は実測2217kgにも達した。参考までに、BMW M5CSは1940kgだった。

この重量を御するため、AMGはシャシーにもさまざまな技術を盛り込んだ。そのせいで、さらに重量が増したのは疑うべくもないのだが。4WDはフル可変式で、ドリフトモードでは前輪の駆動系をカットすることも可能だ。

サスペンションは、通常のCクラスとは異なるもの。操舵系には可変レシオのステアリングラックと、最大2.5°転舵する後輪操舵が加わる。ステアリングナックルやスプリングコントロールアーム上のサスペンションジョイントはジオメトリーが変更され、ホイールベースは10mm伸びている。

AMGライドコントロールことアダプティブダンパーは標準装備。C63には、リモートリザーバーユニットと、伸びと縮みの両側を分割した電子制御バルブが備わる。

内装 ★★★★★★★☆☆☆

室内を見ると、C63は基本的に、ハイスペックなCクラスのPHEVと同じだが、大きな違いはいくつかある。質感の全般的な高さは、金属や金属調素材を用いたトリム、シートのほかドアやダッシュボードも覆うソフトなレザーによるもの。ダッシュボード下部はカーボントリムを標準装備するが、グロスブラックのプラスティックを用いるセンターコンソールや、ところどころ見られる頼りない組み付けは残念だ。

きちんとしたストレージスペースがあり、実体ボタンは非常に軽いが、操作インターフェイスは直観的で素早く作動するのは、これまでのMBUXシステムでおなじみだ。後席スペースはおおよそこのクラスの典型的なもので、競合する3シリーズ・ツーリングと同等だ。

C63に標準装備されるAMGパフォーマンスシートは非常にサポート性が高いものの、硬くてパッドが薄く、バックレストに穴があいている。だが、長距離での快適性がほかのほとんどのメルセデス用シートと変わらないまま、ドライビングポジションをスポーツワゴンにふさわしい低さにしてくれる。よりマイルドなスポーツシートを備える、ツーリングパッケージは無償オプションだ。

しかしながら、計器類のレイアウトは通常のCクラスの高いドライビングポジションを想定したもので、低いシートに合わせようとするとステアリングホイールに遮られることがある。出来のいいヘッドアップディスプレイが標準装備されているのは、じつにありがたい。

室内空間は、かさばるハイブリッドドライブトレインの割を食っている。Cクラスのワゴンボディの荷室容量は、ディーゼルだと490Lだが、PHEVのC300eは360Lに目減りする。それでも、少なくともフロアはフラットだ。これがC63になると、リアのドライブユニットの上部にある電気系が荷室へ張り出すため、容量が320Lへ減少するとともに、フロアには段差が生じてしまう。充電ケーブルをしまえる床下収納もない。間違いなく最大のライバルとなるM3ツーリングなら、ハイブリッドではないこともあり、その手の問題は起きない。

走り ★★★★★★★☆☆☆

4気筒ハイブリッドを積む新型C63の初試乗は、ちょっと期待はずれ、などという程度では済まなかった。デジタル技術での加音はそれほど盛大ではなかったが、同時にこのクルマをほしいと思わせる理由にもならなかった。9速ATについても、やるべき仕事をこなしてくれる反面、C63のパフォーマンスを語る上で主要なキャラクターとはなっていなかった。

ローンチイベントの際、エンジニアたちはこのパワートレインを、パフォーマンスそのものでカリスマ性の欠如を補ったものだと語ったので、数字を見ていこう。今回のワゴンについて、0−100km/hの公称値は3.4秒と、M3ツーリングを0.2秒凌ぐ。それはみごとだが、もう少し差は大きいと期待していた。

リアルな話、各ギアでの加速には、途切れることのない勢いが常にある。スペックの項で紹介している計測データを見てもらえば、10秒以上の数字がないことがわかるだろう。9速でさえ、極端にハイギアではないので、ほかのクルマの限られたパワーバンドをあざわらうかのように、低回転から高回転まで引っ張ることができる。

発進加速は、M5CSのほうが、力強いV8ツインターボが本領を発揮すればやや速いが、C63は低回転から速さを発揮して、4速での48−113km/hで上回る。われわれはこれまで、4WDのM3やM4での動力テストを実施していないが、2021年に計測した後輪駆動のM4では同じようにはいかなかった。ギア固定での中間加速はトラクションに左右されるものではないので、駆動方式が原因とは言い難い。

とはいえ、公道に出ると、その各ギアでの圧倒的な速さは想像するほど意味を持たない。それを発揮するためには、キックダウンスイッチを押し込むほどスロットルペダルを踏み込まなければいけないからだ。なによりまず、それは不自然な感じがする。それに自動変速モードにしてあれば、低回転からの勢いが必要なら実際にキックダウンする。

ベストなのは、マニュアルモードを選んでおくこと。そうすれば、ギアボックスは勝手にシフトダウンせず、タイトなコーナーを、M3のブーストが十分に効かないうちに飛び出していく。

AMGは、バッテリーを使い果たすことは決してないと請け合うが、公道を走る限りどうやらそれは本当のようだ。少なくともパワートレインをスポーツモードにしておけば、フルパワーを使わない限り、システムは常にバッテリーを半分くらいまで充電してくれる。その間、電気モーターは威力を発揮できる。

メルセデスの電動車はブレーキのペダルフィールが一定しないこともあるが、このC63にその兆候は見られなかった。113km/hからの制動距離は43.6mと、なかなか優秀だ。しかしながら、標準仕様のスティールコンポジットブレーキは、高速からの減速を繰り返すと悪影響が出るようで、性能テストの後に数百km走るとわずかながらジャダーが感じられた。この2.2tのクルマでサーキットを走るつもりがあるなら、高くてもカーボンセラミックブレーキには選ぶ価値がある。

使い勝手 ★★★★★★★★☆☆

インフォテインメント

メルセデスのMBUXは、今やすっかりおなじみとなったマルチメディアシステム。ほぼすべての操作はタッチ画面式だが、レイアウトがよくできているので、じつにユーザーフレンドリーだ。

走行モードや充電設定、車両セッティング、カメラや音量を操作するショートカットバーが用意されている。ステアリングホイールの左側スポークにはトラックパッドや、センターディスプレイを操作するバックとホームの各ボタンも設置される。ステアリングホイール上のタッチ式スイッチが扱いにくいのは、毎度のことではあるのだが。

MBUXのゼロレイヤー・コンセプトは、ナビと空調の主要な操作、メディアのコントロールをホーム画面へ同時に表示できる。そのため、メニューの階層を深く掘ることはめったにない。

デジタルメーターパネルは、レースビューやマップビューなど、表示スタイルが数多く用意されている。しかしわれわれは、クラシックな円形2眼がもっとも見やすいと思う。エンジンやギアボックスの油温といった情報はメーター内に表示可能で、パフォーマンスカーとしては便利だ。

燈火類

パワーはエクセレント。アダプティブマトリックス機能も上々だ。

ステアリングとペダル

2ペダルの配置は一般的なものだが、さまざまなプラスティックのコンポーネントによりフットウェルはタイトで、左脚をゆったり伸ばすことができない。ステアリングコラムは電動調整式だ。

操舵/安定性 ★★★★★★☆☆☆☆

2217kgというテスト車のウエイトは、大型EVが登場した今となっては以前ほど目くじらを立てるような数値ではなくなったが、それでもさほど大きくないワゴンとしてはかなりの重さだ。また、その重量は、低いところに集中しているのではなく、クルマ全体に散らばっている。

C63のグリップとシャシー技術は、それなりに俊敏さを装っているのだが、隠しきれない重さは厳然として存在する。とくに、ターンインや、路面のトリッキーな地形に対応するときはそうだ。同時に、複雑なシャシー技術すべてが、しばしばハンドリングレスポンスのナチュラルさを、理想とはかけ離れたものにしてしまう。

メルセデスは、可変レシオの操舵系や4WSをかなりナチュラルに仕上げることが多いのだが、C63の超クイックなステアリングラックがだいぶ違う結果を産んでいるのかもしれない。ロックトウロック1.9回転という数字に覚悟するほど過敏ではないものの、やはり繊細な入力が求められる。また、公道を普通に走るような速度域では、フィードバックが十分ではない。

試行錯誤してAMGダイナミックのセッティングを探っても、満足のいく後輪駆動的なハンドリングのバランスがこのクルマのレパートリーには見いだせないだろう。それを実現するには、スタビリティコントロールをスポーツモード、4WDシステムをマスターモードに、それぞれ設定しなくてはならない。

その設定なら、敏捷性に楽しめる感覚が加わる。といっても、純粋な後輪駆動のような挙動を示すことは決してない。せいぜいニュートラルを保とうとするくらいだ。強引に飛ばすと、微妙にスロットルでアジャストできるのではなく、予測できない状態に陥る。しかし、ハイレベルなメカニカルグリップを考えると、その領域に達するにもかなり攻めた走りが必要で、C63はそれほどその状況を表したがらないように感じられる。

サスペンションは、コンフォートモードにしておくのがベスト。ある程度の速度までは、バンピーな道をすばらしくうまくいなしてくれる。カントリーロードでその速度を超えると、ダンパーは車両重量の扱いに苦戦しはじめ、乗り心地はギクシャクしたものに変わる。

このクルマが持つパフォーマンスのポテンシャルを考えると、その速度域には驚くほどたやすく足を踏み入れてしまう。スイートスポットはきわめて小さく思えてしまう。

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

多くのひとにとって、スーパーワゴンの魅力は音の大きなエンジンを誇示することだが、ご近所に遠慮せずに済む静かな電動走行にも惹かれるところだ。C63は、このジャンルでは走行時により高い洗練ぶりを見せる部類だ。

113km/hで70dBAという室内騒音は、ノーマルのCクラスに期待する以上で、RS4よりはうるさいが、M4の73dBAよりは静かだ。ワゴンとクーペの洗練性の性格差を考えれば、M3ツーリングもM4よりうるさいということはないだろう。

パフォーマンスの高いポテンシャルと20インチホイールにもかかわらず、乗り心地は上々だ。もちろん、サスペンションをもっともソフトに設定しても硬いのだが、M3よりはリラックスしたもので、高いダンパーを使っていると思わせるフィールはやはりある。完璧にコントロールされ、路面からのシャープな入力もうまく角を丸めてくれる。

AMGパフォーマンスシートは、BMW Mのカーボンシェルを用いたシートほどハードコアではない。それでも横方向のサポートは要求を完全に満たし、それでいて乗り降りを妨げない。ただし、パッドはかなり硬めだ。

購入と維持 ★★★★★☆☆☆☆☆

これだけ先進技術を満載したC63だけに、価格が高くなることは予想できる。ベーシックな価格はセダンが9万7530ポンド(約1834万円)、ワゴンが9万9280ポンド(約1866万円)からで、M3を上回る。とはいえ、メルセデスの通例というべきか、標準装備が非常に充実している。M3ツーリングの標準装備では、内容が及ばない。そうは言っても、4気筒のCクラスに支払うには高すぎる金額だ。

経済性については、10km程度の移動が多ければ良好だろう。しかし、まめに充電せず、常にパワーをセーブせずに使ってしまうと、10km/L台の半ばも難しい。M3より多少いい程度だ。また、英国の税制優遇を見込むには、CO2排出量は多く、EV走行距離は短い。

スペック

レイアウト

直4ターボはフロント縦置きで、9速ATとフル可変4WDシステム、リアe-LSDを組み合わせる。電気モーターはリアアクスルに搭載。バッテリーや電力系、2速ギアボックスとともにドライブユニットを構成し、リアデフを駆動する。

この電動システムはプロペラシャフトとも接続されているので、トランスファーケースを介してフロントを含む全輪へ動力を伝達できる。テスト車の前後重量配分は、実測で48:52だった。

エンジン

駆動方式:フロント縦置き、四輪駆動
形式:直列4気筒1991cc、ターボチャージャー、ガソリン
ブロック・ヘッド:-
ボア×ストローク:φ-×-mm
圧縮比:11.2:1
バルブ配置:DOHC4バルブ
エンジン最高出力:476ps/6750rpm
エンジン最大トルク:27.5kg-m/5250-5500rpm
許容回転数:-rpm
ハイブリッドアシスト:永久磁石同期モーター駆動(ギアボックス前に配置)
モーター最高出力:204ps
モーター最大トルク:25.4kg-m
システム最高出力:679ps/-rpm
システム最大トルク:104.0kg-m/-rpm
馬力荷重比:321ps/t
トルク荷重比:49.2kg-m/t
エンジン比出力:239ps/L

ボディ/シャシー

全長:4842mm
ホイールベース:2875mm
オーバーハング(前):876mm
オーバーハング(後):1091mm

全幅(ミラー含む):2033mm
全幅(両ドア開き):3580mm

全高:1482mm
全高:(テールゲート開き):1764mm

足元長さ(前席):最大1140mm
足元長さ(後席):725mm
座面~天井(前席):最大1040mm
座面~天井(後席):940mm

積載容量:320-1335L

構造:スティール・モノコック
車両重量:2115kg(公称値)/2217kg(実測値)
抗力係数:-
ホイール前・後:9.5Jx20
タイヤ前/後:265/35 ZR20 102Yエクストラロード/275/35 ZR20 102Yエクストラロード
ミシュラン・パイロットスポーツ4S MO
スペアタイヤ:なし(パンク修理キット)

変速機

形式:9速湿式クラッチAT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:5.35/7.6
2速:3.24/12.4
3速:2.25/17.9
4速:1.64/24.6
5速:1.21/33.3
6速:1.00/40.4     
7速:0.87/46.3
8速:0.72/56.0     
9速:0.60/67.3     
最終減速比:3.27:1

燃料消費率

AUTOCAR実測値:消費率
平均:8.6km/L
ツーリング:9.6km/L
動力性能計測時:2.9km/L
現実的なEV航続距離:11km

メーカー公表値:消費率
低速(市街地):-km/L
中速(郊外):-km/L
高速(高速道路):-km/L
超高速:-km/L
混合:13.7km/L
EV航続距離:11km

燃料タンク容量:60L
駆動用バッテリー:リチウムイオン(ニッケル・マンガン・コバルト)・6.1/4.8kWh(総量/実用量)
現実的な航続距離:587km
CO2排出量:167g/km

サスペンション

前:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー、スタビライザー
後:マルチリンク/コイルスプリング、アダプティブダンパー、スタビライザー

ステアリング

形式:電動機械式、可変レシオ、ラック&ピニオン/後輪操舵(最大2.5°)
ロック・トゥ・ロック:1.9回転
最小回転直径:12.1m

ブレーキ

前:390mm通気冷却式ディスク
後:370mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、ステアリングコラム右側にスイッチ配置

静粛性

アイドリング:-dBA
4速・全開時:77dBA(AMGサウンド作動時:84dBA)
48km/h走行時:63dBA
80km/h走行時:66dBA
113km/h走行時:70dBA

安全装備

AEB/LKA/速度超過警告/死角モニター/アテンションアシスト
Euro N CAP:5つ星(2022年、C180)
乗員保護性能:成人93%/子供89%
交通弱者保護性能:80%
安全補助装置性能:82%

発進加速

テスト条件:乾燥路面/気温22℃
0-30マイル/時(48km/h):1.3秒
0-40(64):1.9秒
0-50(80):2.5秒
0-60(97):3.3秒
0-70(113):4.1秒
0-80(129):5.3秒
0-90(145):6.4秒
0-100(161):7.6秒
0-110(177):9.3秒
0-120(193):11.4秒
0-130(209):13.8秒
0-140(225):16.6秒
0-150(241):20.8秒
0-402m発進加速:11.5秒(到達速度:193.6km/h)
0-1000m発進加速:21.2秒(到達速度:242.7km/h)

ライバルの発進加速ライバルの発進加速
BMW M5 CS(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
0-30マイル/時(48km/h):1.4秒
0-40(64):1.9秒
0-50(80):2.4秒
0-60(97):3.0秒
0-70(113):3.8秒
0-80(129):4.7秒
0-90(145):5.7秒
0-100(161):6.8秒
0-110(177):8.2秒
0-120(193):9.6秒
0-130(209):11.4秒
0-140(225):13.9秒
0-150(241):16.4秒
0-402m発進加速:11.1秒(到達速度:207.3km/h)
0-1000m発進加速:20.3秒(到達速度:261.5km/h)

中間加速

20-40mph(32-64km/h):1,2秒(2速)/1.4秒(3速)

30-50(48-80):1.2秒(2速)/1.4秒(3速)/1.7秒(4速)/2.2秒(5速)

40-60(64-97):1.5秒(3速)/1.8秒(4速)/2.4秒(5速)/2.6秒(6速)/2.9秒(7速)

50-70(80-113):1.6秒(3速)/1.9秒(4速)/2.4秒(5速)/2.9秒(6速)/3.2秒(7速)/3.5秒(8速)/4.8秒(9速)

60-80(97-129):2.3秒(4速)/2.8秒(5速)/3.2秒(6速)/3.8秒(7速)/4.5秒(8速)/4.7秒(9速)

70-90(113-145):2.3秒(4速)/3.0秒(5速)/3.3秒(6速)/3.8秒(7速)/4.8秒(8速)/5.2秒(9速)

80-100(129-161):2.3秒(4速)/2.8秒(5速)/3.2秒(6速)/3.5秒(7速)/4.4秒(8速)/5.0秒(9速)

90-110(145-177):2.9秒(5速)/3.5秒(6速)/3.9秒(7速)/4.6秒(8速)/5.4秒(9速)

100-120(161-193):3.1秒(5速)/3.7秒(6速)/4.3秒(7速)/5.0秒(8速)/5.9秒(9速)

110-130(177-209):3.5秒(5速)/4.0秒(6速)/4.8秒(7速)/6.1秒(8速)/7.4秒(9速)

120-140(193-225):4.4秒(6速)/5.6秒(7速)

130-150(209-241):5.3秒(6速)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):8.2m
50-0マイル/時(64km/h):22.3m
70-0マイル/時(80km/h):43.6m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.45秒

ライバルの制動距離BMW M5 CS(2021年)
テスト条件:乾燥路面/気温22℃
30-0マイル/時(48km/h):7.6m
50-0マイル/時(64km/h):21.0m
70-0マイル/時(80km/h):40.8m

各ギアの最高速

1速:53.1km/h(7000rpm)
2速:86.9km/h(7000rpm)
3速:125.5km/h(7000rpm)
4速:172.2km/h(7000rpm)
5速:233.4km/h(7000rpm)
6速:270.3km/h(6698rpm)
7速:270.3km/h(5827rpm)
8速:270.3km/h(4822rpm)
9速(公称値):270.3km/h(4019rpm)

9速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1674rpm/1914rpm

結論 ★★★★★★☆☆☆☆

PHEV化を進めているのは、メルセデスAMGだけではない。アウディRS4の後継モデルはプラグインになると言われ、BMWの次世代M3も同様だ。もっとも、BMWとアウディは6気筒を使い続けるようだ。AMGはほかに先駆けるという信条に基づき、またプラグインの落とし穴を避けている。

C63が、10km少々のEV走行のためにプラグイン充電機構を備えているのは悪くないと思う。しかし、適切なパフォーマンスには外部充電がなくてもいいというのも好ましい。公道走行をそれほど重視していないものの、電動化によりパフォーマンス面の利点をどうにか引き出している。

しかしながら、比較的小さいバッテリーを使っているにもかかわらず、重くて複雑なクルマになってしまった。結果、パフォーマンスやハンドリングは意のままに楽しめるのではなく、クルマに合わせるようなものになってしまった。

また、エンジンはいまどきの4気筒としてはキャラが強いものの、ライバルたちの6気筒には敵わない。ましてや、先代のみごとなV8には遠く及ばない。

パワートレインもハンドリングも、この手のクルマらしさをおおいにもたらしてくれることはなかった。また、ハイブリッドのC63を支持するかは合理的な議論の余地があるものの、ドライバーズカーとしても、スーパーワゴンとしても、結局は期待に応えてくれるものではなかった。

担当テスターのアドバイス

イリヤ・バプラート乗れば乗るほど好きになるクルマだ。日常使いにすばらしく向いていて、その点ではM3をはるかに凌ぐ。でも、自分が偉大なるエンジンへの未練を絶てるなら、いっそ完全電動化を受け入れ、ヒョンデ・アイオニック5Nに乗るだろう。

マット・ソーンダースローンチコントロールでの発進加速中、9速ATはじつに素早く変速を行う。ところが113km/hあたりで変速が必要になるリアモーター用の2速ギアボックスは話が違う。データにはあからさまに反映されているわけではないが、感覚的にはシフトにおかしなくらい時間がかかるように感じられるのだ。

オプション追加のアドバイス

AMGパフォーマンスシートは交換したくないが、明るいグレーのレザーを選びたい。カーボントリムが加わるカーボンエディションは不要。サーキット走行も視野に入れているなら、カーボンセラミックブレーキは賢い投資となるだろう。

改善してほしいポイント

・どうにかしてV8を復活できないものか。それが無理なら、せめて直6がほしいところだ。
・ハイブリッドシステムを単純化して、軽量化と、もっとナチュラルなレスポンスを実現してもらいたい。
・限界域のハンドリングをもっと直観的にしてもらいたい。

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みんなのコメント

2件
  • tsr32w205
    これだけ複雑に電動化したら故障した時の修理代大変そう。
    新車補償がある内しか乗れないな。
  • 投資家のコメント
    いつかベンツに乗る。その為に毎日努力する。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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