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『グランメゾン東京』キムタク・ハーレーのレシピ~ベース車からカスタムポイントまで

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『グランメゾン東京』キムタク・ハーレーのレシピ~ベース車からカスタムポイントまで

木村拓哉がミシュラン三つ星レストランを目指すシェフを演じ、注目を集めたTVドラマ『グランメゾン東京』。キムタク主演のドラマらしく、バイクがいい感じのモチーフになっていて「ドラマの中に出てきたあのバイクは何?」なんて、普段バイクに詳しくない人の間でも話題にもなりました。
結論から言いますと、作中に登場したのはビッグツインのソフテイル系をカスタムしたバイクです。
(ちなみにキムタク個人の愛車はスポーツスターのXL1200だそうです)
キムタクがドラマの中で乗ったバイクといえば2000年の『ビューティフルライフ』に登場したヤマハTW200が有名ですね。劇中のTWはスカチューン(*)されていて、そのスタイルはストリート系ファッションの若者たちに刺さりました。カスタムショップが乱立するまでのブームになり、そうしたTWに乗る「ティーダバー」という言葉も生まれました。
ホント、その当時の渋谷にはTWのストリート系バイクがあふれていたんです。バイクだけでなく、キムタク主演のドラマでは『GOO LUCK!!』でトヨタ・ランドクルーザーBJ40、『プライド』でトヨタ・ハイラックス・ダブルキャブが登場し、それらも話題になりました。
*スカチューンとは、サイドカバーやバッテリーなどを取り外して、フレームがむき出しに見えるほどカスタムするスタイル。「スカスカに見える」ことがその語源と言われる。

ベース車は2000年代初頭に販売されたソフテイル・デュース

【関連ギャラリー】ソフテイル・デュースの各部パーツ、カラーバリエーションを見る

さて、今回の『グランメゾン東京』のバイクのベース車は、フロントが21インチスポークホイール、リヤが17インチディッシュホイール、エンジンがツインカム88B(バランサー付き1450cc、OHV2バルブ)のFXSTDソフテイル・デュース(SOFTAL DEUCE)でしょう。
デュースはハーレーダビッドソン・ソフテイル系のメーカーカスタムモデルで、2000年~2007年型までラインアップされていました。

スタイリングの特徴は、リヤショックユニットが一見無いように見える「ソフテイルフレーム」を使い、フロントに大径21インチホイールを装着したところです。
「ソフテイルフレーム」は1984年型FXSTソフテイルから採用され、トライアングル状のスイングアーム下側がエンジン下に配置された2本のリヤショックユニットを引く独特の構造。スングアームが上にスイングすると、リヤショックを後ろに引く動きなります(リヤショック前側はフレームにマウントしています)。
見た目はサスペンション無しのヴィンテージリジッドフレームなので、カスタムに盛んに用いられました。ソフテイルフレームはシート高が低くできて、停車して足を出してときにヒザがちゃんと曲がって、カッコよく足長に見えることも美点です。これはチョッパー系カスタムでは重要なポイントなのと、身長170cm前後の日本人でも足着きが安心になるメリットもあります。

ちなみに「ソフテイルフレーム」は2018年型から新たな構造となり、スイングアーム上部が1本のショック(シート下)を押す仕組みになりました。
(バイク好きな人には、ヤマハの初期モノクロスサスに近い、といったらイメージがしやすいと思います)

2020年型にデュースは存在しませんが、現在新車で買えるハーレーの中では、デュース同様にフロント21インチホイール、リヤ18インチホイールを採用する「FXBRSブレイクアウト114」がデザイン的に最も近いモデルでしょうか。

グランメゾン東京劇中車のカスタムポイント&パーツメーカー

話を『グランメゾン東京』のハーレーに戻すと、かなりカスタムされているのがわかります。
21インチのフロントホイールだけでなく、スタンダードのデュースのスタイリングで特徴的な部分にリヤフェンダーがあります。フェンダー下側のラインは路面と平行に、上側はクルマのクーペのようになだらかな形状なんですが、劇中車ではココも改造されています。
(ここまでカスタムすると、別にデュースではなくて、ほかのソフテイル系をベースに改造しても……という見方もありますが)
ホイールは前後ともブラックにカラーチェンジ(スタンダードはシルバーです)されていますが、ホイール自体は変わっていないようです。ちなみにリヤのディッシュホイールはアルミ製ですが、とっても重いです。

ブレーキキャリパーやディスクはパフォーマンスマシン製(アメリカ)、エアクリーナーケースはS&S製(アメリカ)と思われます。
また、マフラーはスタンダードでは2本出しの「ショットガンマフラー」なのですが極太2 into 1になっており、これはサンダンス製(日本)でしょう。
ハンドルやバックミラーなどはナセル製(日本)、ハンドルポスト(劇中車のように上げるタイプは「ライザー」と言います)はKUSTOM TECK(カスタムテック)製だと思われます。
カスタムテックというメーカーはイタリア・フィレンンツェにあって、ヨーロッパのハーレーカスタムでは有名なブランドです。ヨーロッパのハーレーカスタムは本国アメリカとは発想も造形もちょっと違っていて、ビレットパーツ(削り出し)などはアメリカを超えるものも多いです。

デュースというネーミングは、ホットロッドカスタムで定番のクルマ「デュースクーぺ」(1932年型フォード・モデルBクーペのこと)をイメージししたもの。映画『アメリカングラフィティ』で登場するイエローのクルマが有名ですが、V8+スーパーチャージャーなんていう過激なカスタムもあるほど、本場アメリカではV8+スーパーチャージャーなんていう凄まじいカスタムもあります(スタンダードは直4エンジン)。
実際、2000年型でソフテイル・デュースがデビューしたとき、洒落たカラーリングとリヤのフェンダーラインがデュースクーペらしいと思ったものです(現地アメリカのファンもそういった意見でした)。
ループをチョップして低くしてなだらかなラインと、ホットロッド精神をバイクに込めたのがデュースというモデルなので、『グランメゾン東京』のバイクも個人的にはデュースクーペみたいなラインが欲しかった気がします。

いずれにせよ、スターが乗ると話題になるものですね。
一部ネットでは「四つ角を左折するとき、バンクし過ぎでステップを擦りそうで危険」などと言われてますが……前にステップがある「フォワードコントロール」なので簡単にはステップは擦らないとか、ビッグツインを簡単に寝かせられる=乗ってる人がけっこう上手いとか(シーンによってキクタク本人なのかスタントマンが担当しているのかはわかりませんが)、もうちょっとハーレーの特徴やバイクのことを知っていてほしいなぁとも思います。これをきっかけに。

レポート●石橋知也 写真●小峰秀世/ハーレーダビッドソン 編集●モーサイ編集部・上野

1月25日修正:一部文章が正しく表示されない点を修正しました。

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