2020年9月16日、日産は新型フェアレディZのプロトタイプモデルを世界初公開した。
詳細なスペックやグレード、価格、発売日などは現時点で公表されていない。公表されているスペックは、V6ツインターボエンジンの搭載、トランスミッションは6速MTを採用すること。
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そして、公表されたプロトタイプのボディサイズは全長4382×1850×全高1310mm。現行Z34に比べ、全長が122mm長く、全幅が50mmワイド、全高が5mm高い。タイヤサイズもフロントが255/40R19、リアが285/35R19と公表されている。
スタイリングについては、全体のプロポーションとフロント回りは初代S30Z、リアテールランプはZ32をモチーフにしたことが明らかにされている。
さて、プロトタイプが発表された今、最大の関心事は新型フェアレディZの「市販型はどうなる? 価格、発売時期はいつ?」ということだろう。
そこで、新型フェアレディZに関するわかっていることすべてお伝えしていこう。
文/宇井弘明
写真/ベストカーweb編集部 日産自動車
【画像ギャラリー】ほぼこのままの姿で登場確実! 新型フェアレディZプロトタイプの写真をチェック!
新型フェアレディZが新生日産の旗頭に
2020年9月16日に初公開された新型フェアレディZプロトタイプ
この初代S30Zをモチーフにしている。写真は240ZG
ここ最近のキムタクによる日産のTVCMを見て、いい悪いは別として、随分変わったと思う方も多いだろう。
リーフやe-POWER、自動運転ばかりのCMから、かつての日産の「名車」を揃え、最後にこれからのEVであるアリアを見せて終わるCMだ。
これまで日本のマーケットは、ちょっと古くてもEVであるリーフ、古いボディに新しいハイブリッドを加えたノート、一部機能で自動運転を謳ったセレナなどで「技術の日産」をアピールすれば、十分だとゴーン率いる上層部は考えていたのだろう。
ところが、いっときはグローバルな成長戦力は成功したものの、ゴーン「亡き」急激な拡大が仇となり、日産は厳しい状況に立たされている。何より日産のお膝元である日本をあまりにもないがしろにしてきた反動とも言えるだろうが、日産ファンをここ10数年で急激に失った。ただ現在は、日本マーケットの重要性を再認識していると言われている。
その表れが今回のTVCMであり、そして、先日公開された新型フェアレディZということだろう。
電動化は当然あるだろうが、CMでは名車を通して過去の「技術の日産」をもう一度認知してもらい、未来に期待感を持ってもらおう、ということだろうし、その一つがフェアレディZの一新ということでもあるだろう。
市販型フェアレディZの価格は450万円からと予想
ベストカーweb編集部がCGでボディカラーを赤に変更
そうなると当然期待されるのが、市販型のニューZはどうなるのか、ということだ。市販型の一番のセールスポイントは何か。
まず考えられるのが大胆な価格戦略。ターゲットとしてはスープラがあるが、日本国内ではドイツ生産のため、価格的にも高くこの点で新型Zは相当優位に立てるはず。
価格については、2020年9月16日、横浜の日産パビリオンで開催されたメディア向けの新型フェアレディZプロトタイプ見学会で、チーフプロダクトスペシャリストの田村宏志氏が、新型フェアレディZは頑張れば買える価格にしたいと発言している。
また2020年10月11日、東京渋谷区代官山で開催された「モーニングクルーズ」で新型フェアレディZプロトタイプが披露された際には、CPSの田村氏から「ほぼこの形で出ます」という発言があったことから、ホイールサイズや保安部品、モール類など市販型とするための若干の変更はあるだろうが、ほぼこのままのスタイルで出るのは間違いないだろう。
新型フェアレディZは現行モデルと基本的に同じプラットフォームとなり、開発コストは比較的少ないといわれる。
スープラRZはマイナーチェンジし、3L、直6ターボが41psアップの387ps(51.0kgmのトルクは同じ)に向上
その点からしても有利となり、スープラのベースクレードともいえるSZが499万5000円なのに対し、おそらく50万円ほど安い450万円くらいから設定される可能性がある。
現行モデルでもベースグレードは397万9800円からあるが、実質的にこのグレードをオーダーするユーザーは皆無で、普通はバージョンSの484万8800円あたりからだろう。
現行モデルはNAの3.7L、V6エンジン。新型の3L、V6ターボならもっと高くなることが予想されるが、新型Zに採用されるVR30DDTTはスカイラインなどでも展開されていて、ある程度コストは抑えられる。
現行モデルでいうところのメイングレードとなるバージョンSは500万円程度となるだろうが、この価格帯のライバルのスープラでは、2Lのベースグレードがこの価格。
まだ新型フェアレディZの性能に関しては公表されていないものの、現行スカイラインに搭載されている最大出力304ps/6400rpm、最大トルク40.8kgm/1600~5200rpmが与えられることになるはず。
一方のスープラSZはB48型2L、直4ターボで、197ps/4500rpm、32.7kgm/1450~4200rpmだから、パフォーマンス的にも同価格帯では、Zのほうが完勝といえそうだ。
もう少しハイスペックのスープラSZ-Rは258ps/5000rpm、40.8kgm/1550~4400rpm。こちらは600万円クラス。実際のパワー感はともかく、新型Zと比べると数字上はやや劣る。
新型フェアレディZは、こうした価格戦略でグローバル、特に北米での戦闘力を高め、高価格になりがちな近年の3L級スポーツのイメージを変えることと、過去の日産ブランドの再構築を図る狙いがあると思われる。
世界のライバル車を見ると、このクラスの日本での価格は、ポルシェボクスターが634万円から、BMW Z4が577万円からとなり、Zよりもスタート価格は100万円以上高くなる。
新型フェアレディZのリア回り
Z32のテールランプをモチーフにしている
NISMOもラインナップされる!
現行フェアレディZ NISMO。VQ37VHRエンジンはノーマルの336ps/37.2kgmに対し、専用チューニングにより355ps/38.1kgmへ向上
そして予想される新型Zのセールスポイントの2番目が明確なキャラクター付けだろう。日本のスポーツカーの歴史を見ると、残念ながらというべきか、頂点に立つイメージリーダーグレードが少ない。
初代NSXにはタイプRがあったが、エンジンスペック自体はノーマルと変わらなかったし、ホンダS200はタイプRもなくエンジン1種類で通した。
フェアレディZにしても初代は2Lと2.4Lがあったものの、ほぼレース用のS20型のZ432やZ432Rを除き、際立って高性能なグレードがカタログモデルにはなかった。
バブル前の一時期、NAとターボで差別化が図られたスープラやZも確かにあった。しかし、海外のライバルスポーツのように、エンジンも全く別、価格もベースモデルに対し2倍もするような頂点に立つグレード構成がなかった。このあたりに関しては新型フェアレディZではもう少し性能面で個性を出してきそうだ。
長い間いわれてきたことだが、メーカーによるチューニングモデルの積極的展開が日本はうまくなかった。
メルセデスベンツにはAMGがあり、BMWにはMがある。ここ数年、トヨタはGR(Gazoo Racing)として活動しているが、日産もNISMOブランドを、新型フェアレディZでさらに積極的に加速させるのではないかという見方がある。
歴代スカイラインのなかで史上最強となる、405ps/48.4kgmを発生するVR30DDTTはスカイライン400Rに搭載されている
新型フェアレディZの予想されるエンジンラインナップはスカイライン同様にベーシックグレードが304ps仕様。
その上にスカイライン400Rの405ps/6400rpm、最大トルク48.4kgm/1600~5200rpも設定されることになる。
こちらはスープラのRZのV6ツインターボ対策となるだろうが、この405ps仕様にNISMOが設定されるはず。
スカイラインのウェイトは1760kg。対するZはほぼ現行モデル並みならバージョンSで1520kg。240kgも軽い。パワーウェイトレシオは3.75kg/psとトップレベルのパフォーマンスとなる。
GT-R NISMOの場合、ベーシックグレードに対して30psのパワーアップながら、軽量化やカーボンパーツの多用により、価格は約2.4倍高い2420万円になる。
405ps仕様のベースグレードからどこまでチューニングされるかは不明ながら、この新型フェアレディZ NISMOが頂点に立ち、Zのスポーツカーとしてもキャラクターをはっきりさせてくる可能性が高い。
インフィニティQ60(スカイラインクーペ)は日本では未発売。ボディサイズは全長4685×全幅1850×全高1385mm、ホイールベースは2850mm。一説にはこのインフィニティQ60ベースではないかと言われていたが……
インフィニティQ60ブラックS。「パフォーマンスハイブリッドパワートレーン」という名称が付けられたパワーユニットを搭載し、ベースエンジンの405psから571psにパワーアップさせている
日本のマーケットには冷徹だった日産は、海外ではインフィニティブランドでかなり多彩なスポーツモデルを提案してきている。
F1イメージを訴求したQ60(スカイラインクーペ)では、2017年のジュネーブショーで「プロジェクトブラックS」を公開。2020年あたりから北米で市販化が予定されている。
残念ながら、いまだ実現していないが、そのハイブリッドシステムを使ったメカニズムやエンジンパフォーマンスなど、世界のスポーツカーマーケットに通用する進歩的なものがある。
3つのモーターを採用し、ERSと呼ばれるエネルギー回収システムを使ったハイブリッドで、エンジンは3L、V6ターボでトータル出力は571psに達するというものだった。
こうした電動化技術を使ったスポーツカーが世界の主流になりつつある今、新型Zのイメージリーダーとして電動化は必要なのかもしれない。
日本マーケットの再構築を図る日産にとって、新型Zは重要な車種であることは間違いないし、これまで海外だけに使われてきた「プロジェクトブラックS」のようなモデルを日本でも展開する可能性もゼロではない。
もし、そうした用意がないとすれば、今度のZは次のための繋ぎ的存在になりかねない。そうならないためにも、スポーツカーとしてグレード別のキャラクター付けは重要となる。
新型フェアレディZには6速MTが用意されることは確実だ。ちなみにサイドブレーキは電動式ではないという
トランスミッションの6速MTに関しては、相当のこだわりをもっているようだが、GT-Rやスープラには用意されていないだけに魅力的なのは間違いない。もちろん、スカイラインに搭載されている7速ATも用意されるはずだ。
最後にグレードと価格を予想しよう。さて注目の発売時期だが、今のところ、2021年秋の東京モーターショーで公開された後、2021年末までに発表・発売されるのが最も有力だ。
今後、新しい情報を入手次第、順次お届けするので楽しみに待っていてほしい。
■新型フェアレディZ 予想価格
●ベースグレード(304ps)/450万円
●バージョンS (304ps)/500万円
●バージョンT (304ps)/500万円
●バージョンST(405ps)/600万円
●NISMO (405~450ps)/700万円
新型フェアレディZはどんな走りを見せてくれるのか、待ちきれない!
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みんなのコメント
ブレーキは塗りつぶされていたけど、ブレンボの6ポッドに380径のローター、バカでかい一体型のハブナックル、アクラポヴィッチのチタンマフラー、アーム類はオールアルミ、エアロは全てドライカーボン。
あの内容だとケイマンGTSやM2コンペティションCSあたりがライバルかな?
ただ、450万円は無理でしょ。