2025年シーズン2戦目のF1中国GPは、スプリント・フォーマットでの開催だ。
2021年に初めてF1に導入されたスプリント・フォーマットは、何度か修正が加えられ、昨年から金曜日にスプリント予選が行われている。スプリント予選の順位を元に土曜日にスプリントレースが開催され、その後に通常の予選が行われ、その順位で日曜日のスターティンググリッドが決められるようになった。
角田裕毅スプリント予選8番手「満足の結果。トウをくれたアイザックにも感謝」チームは2基目のPUを投入
角田裕毅とレーシングブルズは昨年6回あったスプリント予選でなかなか力を出せなかった。最高位はアメリカGPの9番手で、それ以外の5回はトップ10外。しかも、そのうち3回はSQ1でノックアウトされていた。
通常のグランプリでは2回のフリー走行のデータを元に、金曜日の夜にセットアップを変更できるが、スプリント・フォーマットでは60分のフリー走行1回しか練習走行がない。さらにフリー走行1回目が終了してからスプリント予選までは3時間しかない。ここで重要になるのが、サーキットに持ち込んだマシンのイニシャルのセットアップだ。
昨年までのレーシングブルズはそこに苦しんでいた。角田がスプリント予選でトップ10に入ったのは2回しかない。昨年のアメリカGPと2023年のサンパウロGP。ただし、2023年のフォーマットでは金曜日のフリー走行後にレースのグリッドを決める予選を行い、土曜日のスプリントレース前にスプリント・シュートアウトという名前でスプリント予選が行われていた。そのときの金曜日の予選での角田の順位は16番手。やはり初日に弱かった。
その弱点が今年、ここまでは姿を消している。開幕戦オーストラリアGPでは金曜日のフリー走行2回目の順位は4番手。そして、1回しかないこの中国GPのフリー走行の順位は10番手だった。
ただし、角田によれば、「フリー走行のほうがバランスはよかった」ということで、2戦目の中国GPでもイニシャルのセットアップはよかったようだ。ところが、フリー走行後に調整した変更によって、スプリント予選ではフリー走行よりもマシンに苦しんだ。
それを助けたのがチームメイトのアイザック・ハジャーだった。角田の前でアタックに入ったハジャーだったが、前半区間でミス。途中でアタックをやめ、チームの指示で後ろから来る角田にトウを使わせる役割を担った。
「アイザックのトウは効きました。アイザックにとっては残念な予選でしたが、チームとして僕が彼のトウを使う判断を下しました。それには感謝しています」
ハジャーといえば、開幕戦のフォーメーションラップでミスを犯し、スタートすることなく戦列を離脱していた。レース後のミーティングでは角田はハジャーを励ましたという。
「レース後、声をかけました。難しい状況ですからね。メルボルンは公道なのでコース上に白線があり、そこは雨が降ると滑りやすい。多くのドライバーが彼と同じようなミスをどこかでしています。メルボルンで雨のなかで走るのは彼にとっては初めてのこと。これも経験。予選まではいい仕事をしていたので、彼が今まで積み上げた自信やクルマに対する理解を崩さないでほしいと思って励ましました」
そのハジャーのトウをもらった角田はSQ2を10番手で通過。11番手のフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)との差はわずか1000分の73秒。チームプレーで手にしたスプリント予選8番手だった。
土曜日のスプリントに向けて、角田はこう語った。
「スプリントは簡単じゃないと思いますが、なんとか1ポイントは獲りたいです」
自分とチーム、そしてハジャーのために、スタートポジションの8番手を死守できるか。今年最初のポイント獲得を期待している。
[オートスポーツweb 2025年03月22日]
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