69万5000円のプライスで1965年に登場
ダイハツ工業株式会社は2017年3月に創立110周年を迎えた。その記念イベントの一環として、ダイハツが日本橋にある東京支社に名車「コンパーノ スパイダー」を展示。早速取材を行った。
そもそもこの名車の誉れ高いダイハツ・コンパーノというクルマを皆さんはご存じだろうか。1963年から1969年までダイハツが生産していたイタリアンスタイルのコンパクトカーである。
コンパーノの生い立ちを簡単に振り返ると、1963年4月にまずはバンを市場に投入した。商業車用バンとは思えないイタリアンチックな垢抜けたスタイルが評判になり、その年の11月にはベルリーナ(イタリア語でセダンを意味する)を発表。OHV4気筒の800ccのエンジンは41馬力を発揮し、当時としては十分な性能を持っていた。
スポーティーなファミリーカーとして人気を博したベルリーナは、翌年1964年の第11回東京モーターショーでオープンモデル「スパイダー」をお披露目した。エンジンは200ccスープアップされ1000ccとなり、パワーは19馬力アップの60馬力。最高速度も140km/hに達すると発表されたのだ。そして「コンパーノ スパイダー」は1965年4月にまずは6大都市から先行して販売を開始。店頭渡し69万5000円のプライスとなっていた。当時としては2+2という非常に希有なパッケージングを採用。オプション部品としてハードトップ、トノカバー、フォグランプなどが用意されていた。
イタリア人デザイナーによる日本車離れしたスタイリング
スタイリングもご覧のように国産車に見えない。コンパーノのデザインを手掛けたのはフェラーリ、マセラティなどで数々の名車を手掛けてきたデザイナー「ヴィニャーレ」によるものだ。確かにコンパーノが放つソツがなく凛としたスタイリングは、イタリア車の佇まいと香りがする。
室内も木目パネルに丸形のメーターをスポーティーに配置し仕上げている。ステアリングはウッド調の3本スポークに、フロアシフトの4速Hパターンを採用した。フロントシートは、当時としてはバケットタイプに仕立てられておりスポーティ感を演出。リヤシートはプラス2的な考え方だが子供なら充分に座ることが出来る仕立てとなっている。幌は手動ながら30秒で開閉することができ、当時の国産車としてはもっとも早いワンタッチシステムを取り入れ点は特筆に値する。
セダンのベルリーナのエンジンをSUツインキャブ化し、よりスポーティ指向にされたエンジンからは65馬力/7.8kg-mを発揮し、最高速度は145km/hまで引き上げられている。SUツインキャブレターの採用により最大出力と最大トルクを向上させている一方で、カタログ燃費は21km/Lと高燃費を謳っている。
同年11月に1000GTが追加されコンパーノは1969年まで製産された。その後はトヨタパプリカの兄弟モデル「コンソルテ・ベルリーナ」に切り替わり、ダイハツ・ベルリーナは残念ながら一代限りで幕を閉じることになる。
今回展示されているコンパーノスパイダーはダイハツが保管している1台で、2017年9月末まで東京支社に展示しているという。ダイハツの意欲作だったコンパーノ・スパイダーは現存車種が非常に少ない稀少車だから、この機会にぜひ見ておきたい一台だ。
【住所】 〒103-0023 東京都中央区日本橋本町2-2-10
【時間】 7時から19まで ※イベントがない限りどなたでも見られます
【画像ギャラリー】
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