現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 【ル・マン決勝直前プレイバック】5年ぶりにル・マンに復活したR33 GT-R LMに起きた悲劇

ここから本文です

【ル・マン決勝直前プレイバック】5年ぶりにル・マンに復活したR33 GT-R LMに起きた悲劇

掲載 更新
【ル・マン決勝直前プレイバック】5年ぶりにル・マンに復活したR33 GT-R  LMに起きた悲劇

 レーサーの本能がチームの指示を忘れさせた

 佐藤琢磨選手の優勝で盛り上がった第101回インディ500マイルレースに続き、今度は第85回ル・マン24時間レースが開催される。

【ニッポンの名車】ボディ拡大で走りは劇的進化! 日産スカイラインR33GT-R

 日本からも、1973年のシグマ・オートモーティブの参戦を皮切りに、1991年に総合優勝を果たしたマツダをはじめ、日産、トヨタ、ホンダ、童夢、トムスなどが参戦を果たしてきた世界的なレースだ。

 2017年は、去年23時間57分の時点で総合トップだったのに、ゴール直前のトラブルで涙の2位となった、トヨタチームの初の総合優勝に期待がかかる。そんな歴史ある国産車のルマンチャレンジのなかから、レーシングレジェンド=長谷見昌弘さんから聞いた、ル・マンの思い出話を紹介しよう。

 1995年、日産はスカイラインGT-R(R33)をベースにしたニスモGT-R- LMで、5年ぶりにル・マンにカムバック。長谷見さんは、ル・マンの直前、フランスのマニクールで事前テストを行っていたが、この時点でトランスミッションの耐久性に難があることが発覚した。

 全開で走ると24時間以内に確実に壊れるということで、本番ではレブリミットは1000回転低くして走るようにドライバーに伝えた。ミッションを労わるために確実にクラッチを切って、ゆっくりシフトというのがチームの方針となりスタートが切られた。

 レース前半、長谷見昌弘さん、星野一義さん、鈴木利男さんの3名のドライバーは、その指示をかたくなに守っていたが、レーシングドライバーというのは、やはり全開で走るのが本能……。やがて、星野一義さんがたまりかねて、当初のオーダーを無視して、突然全回バリバリモードに突入。

 それでも長谷見さん、鈴木さんの両者は、ミッションを労わるドライブを継続。しかし、星野さんはガンガン走り、チームもとくに何も言おうとしない。長谷見さん、鈴木さんはエンジニアに、「星野のこのペースはまずい。絶対にミッションが壊れるから、ペースを落とさせろ」と申し入れるが、チームから星野さんにペースダウンの指示は飛ばない。

 その状況を見て、長谷見さんは「利男君、俺たちも目一杯走っちゃおうよ」と相談するが、「長谷見さん、僕らも全開で走り出したら、絶対ミッションがもちませんよ」と……。だが、長谷見さんは「そうだよね。でも悪いけど、オレも全開で行かしてもらうよ」と鈴木さんに一言断り、コースイン。

 快調にニスモGT-R- LM(R33GT-R)を走らせ、好タイムを連発する。そのとき、ピットから長谷見さんに無線が! 「長谷見さん、そのペースで走り続けてください」と。

 長谷見さんは「えっ」と驚くとともに、「今までのセーブした走りは何だったんだ」と、憤りを感じつつ、結局全開走行を続け、鈴木さんにバトンタッチ。鈴木さんは、大先輩の星野さん・長谷見さんの全開をしり目に、ひとり当初のミッションを守る走りを徹するが、皮肉にもその鈴木さんのドライブ中に、ニスモGT-R- LMのミッションは音を上げる。

 このトラブルで長谷見・星野・鈴木組の23号車(グループA仕様のRB26DETTを搭載)は、結局総合15位でフィニッシュ。グループNエンジンを搭載したニスモGT-R- LM の22号車が総合10位に入り、この年のル・マン24時間レースは閉幕した。

 一番実直だった鈴木利男さんが、一番のハズレくじを引いてしまったカタチだが、複数のドライバーが組む耐久レースでは、誰かがババを引くのはよくあること。のちに、鈴木利男さんが日産GT-R(R35)の開発ドライバーに抜擢され、ニュルでの当時の市販車最速タイムをマークしたりするが、彼がこうした重要な役割を任されたのは、このときの実直な走りが少なからず影響していたと思われる。

こんな記事も読まれています

新車価格は衝撃の63万円!!! 気分は[日本一速い男] 日産チェリーの正体とは?
新車価格は衝撃の63万円!!! 気分は[日本一速い男] 日産チェリーの正体とは?
ベストカーWeb
イタリアのSAはコーヒーが美味しい! ただしガソリンは日本以上に高いのでセルフサービスを活用しましょう【みどり独乙通信】
イタリアのSAはコーヒーが美味しい! ただしガソリンは日本以上に高いのでセルフサービスを活用しましょう【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
新型トラックや多彩な架装など約150台が集結!ジャパントラックショー2024
新型トラックや多彩な架装など約150台が集結!ジャパントラックショー2024
グーネット
MotoGP:2027年に1000ccから850ccへマシン規則変更。空力パーツは50mm削減、車高調整デバイスは禁止
MotoGP:2027年に1000ccから850ccへマシン規則変更。空力パーツは50mm削減、車高調整デバイスは禁止
AUTOSPORT web
世界に1台!フェラーリ「812GTS」ベースのフルカーボン仕様車を披露 ノビテック
世界に1台!フェラーリ「812GTS」ベースのフルカーボン仕様車を披露 ノビテック
グーネット
時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
時速6キロのお台場めぐり!トヨタの3輪BEV使った観光サービス「おさんぽ」スタート
グーネット
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
アウディの美点を「ギュッと凝縮」 更新版S3へ試乗 333馬力にトルクスプリッター 少し真面目すぎ?
AUTOCAR JAPAN
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
日産「マーチ」ベースの「フェアレディ」!? 大人が驚く学生ならではの感性で仕上げたカスタムポイントとは
Auto Messe Web
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
ルノーの名物イベント、今年は10月27日に決定! 「ルノー カングー ジャンボリー2024」開催概要を発表
月刊自家用車WEB
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
宮田莉朋、無念のトラブルで勝利逃すも「全然ネガティブには思っていません」。原因はギヤボックス/ELMS第2戦
AUTOSPORT web
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
ルクレール3位「マクラーレンの強さは予想以上。僕たちにはアップグレードが必要」フェラーリ/F1第6戦
AUTOSPORT web
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
800馬力のランボルギーニ「ウルスSE」は10種のドライビングモードで楽しめる! EVだけでも60km以上走れるクラス最速SUVです
Auto Messe Web
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
レッドブル&HRC密着:敗因はフロアのダメージとハードタイヤでの苦戦。勝つことの難しさを痛感したフェルスタッペン
AUTOSPORT web
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
高速道路を走りながら「EV充電」現実に! 本線で「走行中給電」実証やります NEXCO東日本
乗りものニュース
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
合法カスタムでも「デコトラ」では仕事ができない現代! デコトラ野郎たちは「マイトラック」で楽しんでいる
WEB CARTOP
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
盗難車犯罪の温床「違法ヤード」 解体された自動車が海外輸出される残酷現実、規制強化で本当に防げるのか
Merkmal
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
知的なアスリート──新型マセラティ グラントゥーリズモ試乗記
GQ JAPAN
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
2年目は女子クラスも新設! 大学自動車部が大手メーカーのサポートで闘う「フォーミュラジムカーナ2024」が開幕!!
WEB CARTOP

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

196.2393.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索
シグマの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

196.2393.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

-万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村