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日産「プリメーラ」は壮大な使命を担っていた? バブル期に誕生した珠玉のセダンを振り返る

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日産「プリメーラ」は壮大な使命を担っていた? バブル期に誕生した珠玉のセダンを振り返る

■セダンとしての基本性能を高めた初代プリメーラとは

 現在、国内メーカー各社とも人気の低迷からセダンラインナップの減少が続いています。しかし、1990年代までセダンはパーソナルカーやファミリーカーとして高い人気を誇り、数多くのセダンが販売されてきました。

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 なかでも1980年代の終わりから1990年代初頭にかけて、日産は「シーマ」から「サニー」までセダンのフルラインナップ化を完成。

 高級なモデルや高性能なモデル、実用性を重視したエントリーモデルなど、さまざまなニーズに応える車種を展開していましたが、1990年に誕生した初代「プリメーラ」は、従来の日産製セダンには無い使命が託されていました。

 そこで、P10型 プリメーラについて誕生の経緯から特徴まで、振り返ります。

※ ※ ※

 日産は1980年代の終わりに『1990年までに世界No.1の動性能を実現』という開発目標を掲げ、これを「901活動」という名のプロジェクトとして進めました。

 この901活動の成果として開発された代表的なモデルが、日本市場に特化した「R32型 スカイラインGT-R」、北米市場に向けた「Z32型 フェアレディZ(300ZX)」、そして今回紹介する「P10型 プリメーラ」です。

 プリメーラは欧州市場を主戦場としたグローバルカーで、欧州車に匹敵する走りの性能と、快適性、使い勝手の良さを高い次元でバランスした新世代のFFセダンとして開発され1990年に発売。

 外観は比較的オーソドックスなデザインで、やや丸みをおびた欧州車のテイストが取り入れられつつも、奇をてらうことなく飽きがこないスタイルです。

 ボディサイズは全長4400mm×全幅1695mm×全高1385mm、ホイールベースは2550mmと、ちょうど当時の「サニー」と「ブルーバード」の中間といったところで、日本の道路環境にもマッチしていました。

 内装ではドライバーとパッセンジャーを分離した形のインパネが特徴で、やわらかくカーブしたメーターまわりは当時の日産車のトレンドでもありました。

 ドライバーの正面にスピードメーターを配置し、右にタコメーター、左に水温計と燃料計のコンビネーションの3連メーターがスポーティな印象です。

 室内は前後長が比較的余裕を持って設計され、FFということもあって後席足元もゆったりとした広さを実現し、後席下に燃料タンクを配置したことで、トランクもゴルフバッグ(9インチ)が4つ収まる広さが確保されました。

 搭載されたエンジンは最高出力150馬力を誇る2リッター直列4気筒DOHCの「SR20DE型」と、110馬力の1.8リッター直列4気筒DOHCの「SR18Di型」が設定され、トランスミッションは全車5速MTか4速ATが選択できました。なお、2リッターエンジンはプレミアムガソリン仕様、1.8リッターエンジンはレギュラーガソリン仕様です。

 グレード構成は2リッター車が装備の違いで「2.0Te」「2.0Ts」「2.0Tm」、1.8リッター車が「1.8Ci」と「1.8Cu」の5タイプを展開。2.0Teと2.0Tsにはホールド製の良いスポーツシートが装着され、トップグレードの2.0Teは前後スポイラーが標準装備されるなど、見た目にもスポーティなグレードとなっていました。

 そして、初代プリメーラで最大の特徴だったのがサスペンションで、フロントには新開発のマルチリンク式、リアはパラレルリンクストラット式とされた4輪独立懸架を採用。さらに高いボディ剛性と新構造のショックアブソーバーを搭載するなど軽快なハンドリングと優れた乗り心地を両立し、なかでもコーナリング性能は高く評価されました。

 ブレーキも2リッター車ではABSが設定された4輪ディスクが奢られ、各パフォーマンスは欧州車基準となっています。

※ ※ ※

 初代プリメーラはミドルクラスセダンとしての基本性能が高められた結果、一躍ヒット車となり、日本だけでなく欧州でも高く評価され、1991年の欧州カーオブザイヤー第2位を獲得し、欧州では1990年から1991年にかけて8つの賞を受賞。

 これを記念して、期間限定特別仕様車で赤い専用ボディカラーの「2.0Te-r」が発売されました。

 そして、次の一手としてプリメーラはバリエーションの拡充をおこなうことになります。

■より欧州テイストのモデルとコンプリートカーの登場

 まず1990年に2リッター車において4WDモデルが追加され、ユーザー層の拡大が図られました。

 そして、日欧とも同時期に発売された初代プリメーラは当初国内で生産されましが、すぐにイギリス工場でも生産され、欧州ではイギリス製の5ドアハッチバックもラインナップされました。

 この5ドアが1991年に日本でも輸入・販売が開始されグレードは「2.0eGT」と命名。

 2.0eGTの外観は4ドアと共通のイメージを残しつつもリアハッチを寝かしたファストバックスタイルを採用したスタイリッシュなフォルムです。

 エンジンは2リッターのみでトランスミッションも4速ATのみとされ、ロングツーリングを意識した設定となっています。

 5ドアハッチバックの2.0eGTは、セダンと同様の優れた走りとステーションワゴンに近い使い勝手の良さもあるハイパフォーマンスなモデルでしたが、日本では4ドアセダンの人気が圧倒的に高く、販売は低迷してしまいました。

 また、日産の特装車やカスタマイズカーを手掛けていたオーテックジャパンから、1994年にコンプリートカーの「プリメーラ オーテックバージョン」が発売されました。

 プリメーラ オーテックバージョンは全日本ツーリングカー選手権参戦を記念して開発されたモデルで、外観は専用デザインのフロントスポイラー、R32型 スカイラインGT-Rを彷彿させる大型リアスポイラーなどが装着され、アグレッシブなスタイルを実現。

 エンジンはスタンダードのSR20DE型をベースに圧縮比アップやECUのプログラミング変更、専用のエキゾーストマニホールドが装着されるなどにより最高出力は30馬力アップの180馬力を発揮し、トランスミッションはクロスレシオ化された5速MTのみです。

 駆動系ではビスカスLSDを標準装備し、サスペンションもオーテックジャパンによるチューニングで、ノーマルのしなやかさを生かしながら運動性能を向上させています。

 内装も専用シート地や本革巻きのスポーツステアリングが奢られ、スポーティに演出されました。

 さらに、話は前後しますが1990年には北米市場でもインフィニティ「G20」として発売され、高級車ブランドとあって内装では本革シートが設定されるなど、プリメーラのスポーティなイメージからラグジュアリー路線に変貌しています。

※ ※ ※

 初代プリメーラはいくつかの改良がおこなわれ、1995年に初代からキープコンセプトとされた2代目にバトンタッチ。

 2001年にはデザインが大きく変更された3代目がデビューしましたが、2005年には国内での販売を終了し、プリメーラの歴史に幕を閉じました。

 初代プリメーラは901活動によってFF車ハンドリング世界一を目指して開発され、多くの新技術を投入して日産のクルマづくりにも大きな影響を与えたモデルです。

 まさに初代プリメーラは日産のエンジニアのこだわりが詰まった一台で、その思いがユーザーにも伝わったことからヒットにつながったのではないでしょうか。

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みんなのコメント

9件
  • 3代目で太ったアナグマみたいになって自爆し、プリメーラは死んだ。
  • 自分だけかもしれないが、画面下部にバナー広告が現れ記事が読みずらい。YAHOOなのか、carviewなのかわからないが、少々考えて欲しい」。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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