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レッドブル&HRC密着:前戦投入の新PUにダメージ判明、初期不良か。スペインで4基目使用も初日はトラブルなし

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レッドブル&HRC密着:前戦投入の新PUにダメージ判明、初期不良か。スペインで4基目使用も初日はトラブルなし

 心配していたことが現実となった。前戦カナダGPのフリー走行で問題が発生したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)のパワーユニットがダメージを負っていることが判明した。

 問題が発生したのは、カナダGP金曜日のフリー走行2回目だった。フェルスタッペンの走行データに異常を確認したエンジニアからの指摘を受け、レースエンジニアのジャンピエロ・ランビアーゼがピットインを指示した。

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 このとき、フェルスタッペンのパワーユニットには高電圧系のトラブルが発生しており、メカニックがすぐに作業に取りかかれない状況に陥っていた。定められた作業手順に則って、段階を踏んで、少しずつ作業を進めていかなければならなかったため、本格的な作業に取り掛かることができたのはフリー走行2回目のセッションが終了してからだった。

 これはF1のパワーユニットの電圧が極めて高いことが関係している。私たちが家庭で使用している電圧は100ボルト。日本で走っている主なハイブリット車の電圧は140~360ボルトであるのに対して、レギュレーションで1000ボルト以下に定められているF1のパワーユニットは、700~800ボルトという高い電圧を使用しているからだ。

 原因は現時点で明かされていないが、初期不良の可能性が高い。というのも、問題が起きたフェルスタッペンのパワーユニットはカナダGPで投入したばかりで、同じタイミングでカナダGPで投入したほかの3台のパワーユニットには、問題は発生していないからだ。ホンダ・レーシング(HRC)の折原伸太郎(トラックサイドゼネラルマネージャー)は次のように語る。

「マックスのクルマで起きた事象を、ほかのパワーユニットでもデータで確認してみたのですが、同じような初期不良は確認していません。ただ、なぜ初期不良が起きたのかという原因については引き続き、調査中です」

 では、どのコンポーネントに初期不良が発生したのか。考えられるコンポーネントは高電圧系ということで、電気を発生させるMGU-HかMGU-Kだ。もしMGU-Hだと同軸で連結されているターボにもダメージが加わっている可能性が高い。一方、もしMGU-Kにトラブルが起きていた場合、連結しているICEにもダメージが及んでいる可能性が高い。

 つまり、フェルスタッペンの3基目の主要4コンポーネントのうち少なくともふたつは、カナダGPでもう使用できなくなった可能性が高い。現在、ランキングでトップに立っているものの、ここ数戦のライバル勢の追い上げを考えると、今年のチャンピオンシップ争いは混戦になると予想され、そうなればシーズン後半でのグリッド降格ペナルティは痛い。

 ただ、HRCのチーフメカニックとしてレッドブルで仕事をしている吉野誠は、まだフェルスタッペンにはツキがあると語る。

「トラブルが起きたことはHRCのスタッフのひとりとして、ドライバーに申し訳ない気持ちでいっぱいです。ただ、トラブルが出たのが初日だったのは、まだツキがあります。もし、土曜日だったら、予選のパフォーマンスに大きく影響が出たでしょうし、レースだったらリタイアしていたわけですから」

 4基目のパワーユニットで走り始めたスペインGP初日。フェルスタッペンは5番手とやや出遅れた。しかし、トラブルにはまったく見舞われなかった。

「だから、いろんなセットアップを試せた。予想していたより、いい1日だった。すべてがノーマルだったよ」

 アップデートされたマシンの走行データを収集したフェルスタッペンとレッドブル。2日目以降の挽回に期待したい。

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みんなのコメント

1件
  • wat********
    サイドポッドの下のファスナーが 膠着して、サンダーで切っていたらしいが
    それにしては 時間がかかり、人壁つくっていたから
    800ボルトを避け 出来るだけマシンに触らず、バッテリーユニットへ 直節アクセスするために、穴を開けていたのが 真実だろう
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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