GT3プロ・アマクラスでは、アマチュアドライバーがスタート、後半の勝負どころをプロドライバーが担当したGTワールドチャレンジ・アジア第7戦モビリティリゾートもてぎ。各マニュファクチャラーのワークス級のドライバーがハイレベルな好走を見せるなか、総合2位でフィニッシュしたポルシェセンター岡崎18号車ポルシェ911 GT3 Rの上村優太の走りが光った。
FIA-F4などを経てポルシェカレラカップ・ジャパンからハコ車のキャリアをスタート、スーパー耐久などにステップアップした上村。昨年は急遽代役参戦したスーパーGT第5戦鈴鹿でGT300クラスの表彰台にも登っている。今季は、長年ともにレース活動を行ってきたジェントルマンドライバー・永井宏明とのコンビでGTWCアジアのジャパンカップに参戦。富士・鈴鹿の4レースすべてでポイントを獲得し、もてぎ入りする時点ではジャパンカップのランキング2位につけていた。
アブソリュートのアウディが完勝。ジャパンカップ首位のスタディに悲運/GTWCアジア第7戦もてぎ
7月22日に行われたもてぎのレース1予選では永井が9番手、レース2予選で上村は4番手タイムを記録。とくに世界の強豪プロドライバーがひしめき僅差となったレース2予選での4番手獲得は、好結果と言っていいだろう。
レース1決勝では前半に永井が好走、全車がピットストップを終えた段階で、3番手と表彰台圏内に浮上してきていた。そこから上村は、背後から迫るメルセデスのファビアン・シラーと好バトルを繰り広げた。間合いを詰めるシラーを従えながらも、冷静に前方を走るアウディに仕掛けてミスを誘い、2番手の座を奪い取る。その後はシラーに対してややギャップを広げ、フィニッシュまで2位を守ることに成功した。
表彰台から降りた直後の上村に話を聞くと、まず口にしたのはこのGTWCアジアに感じる“レベルの高さ”だった。
「今週は順調にクルマ作りが進んでいる……というのもあるのですが、何より日本のレースとは全然レベルが違うんですよ、運転手のレベルが。DTMとか、海外のトップカテゴリーで走っているドライバーと一緒に戦うことになるので、より一層気合は入りますよね」と上村。
「そのなかで負けないようにやっていきたいですし、ここで上に行ければヨーロッパでも通用すると思うので、一生懸命アタックして。予選は4番手でちょっと及ばなくて悔しいですが、海外のドライバーをリスペクトしつつ、そこに『追いつけ・追い越せ』で頑張っていきたいです」
決勝終盤、背後のシラーとの攻防については、次のように振り返った。
「お互いタイヤがきつかったですが、ポルシェはメルセデスに比べるとまだリヤのグリップダウンはマシなので、そこで終盤は離せたのかなと思います。今回はそれが大きかったです」
予選ではマッテオ・カイローリ、アレッシオ・ピカリエッロ、デニス・オルセンという3人のポルシェ使いの後塵を拝した。だが決勝では、アクシデント等もあったとはいえ、永井/上村組がポルシェ勢の最上位だ。
「そこは嬉しいです。ポルシェのなかで一番、日本人のなかで一番、というのは常に自分のなかで意識しているので」
そうコメントしつつも、上村はヨーロッパのワークスドライバーの“すごさ”について、冷静な分析を怠らない。
「実際、予選上位のヨーロッパのドライバーの何がすごいって、昨日の走行データをみたら、3周とか5周しかしていない人がいるんですよ。初めてのサーキットなのに。彼らは5周だけ乗ったら『もう大丈夫だよ』と言って、ジェントルマンドライバーさんにマシンを渡す『職人』なわけです。そのなかで、僕はこれまでたくさんもてぎを走っている。それでも予選で彼らに負けてしまうのですから、もう全然レベルが違うと思います」
上村自身、いずれはヨーロッパでのレース出場が頭にはあるようだが、「まだまだですよね。僕がいまポッと向こうに行ったとしても、25番手とかになってしまうと思います」と現状を捉えている。
ポルシェセンター岡崎としては、昨年もGTWCに参戦、さらにチームとしてはスーパー耐久などでも実力を磨いてきた。ジャパンカップのタイトルも視野に入る今季は、それが実りつつあるとも言える。上村は「何と言っても、永井選手がプロ・アマという枠のなかでも速いですし、そこに僕が助けられている部分は大きいです」とパートナーを讃える。
「レースでもミスなく、淡々と走ってくれますし、正直そこにはかなり助けられています」
夢として描くヨーロッパのレースも「いつか挑戦したいですね。できれば永井さんと一緒に」と上村は言う。今季のGTWCアジアは残り3レース。まずはそこできちんと結果を残し、“その先”へとつなげたいところだろう。
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日本のレースとは全然運転手のレベルが違うって