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誰が呼んだか「走るラブホ」! ホンダ自ら「恋愛仕様」を標榜した「S -MX」はいまじゃ考えられない仕様だった

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誰が呼んだか「走るラブホ」! ホンダ自ら「恋愛仕様」を標榜した「S -MX」はいまじゃ考えられない仕様だった

 この記事をまとめると

■ホンダにはクリエイティブムーバーシリーズ第4弾としてS-MXというモデルが存在した

いまや日本じゃイマイチも初代はクールで超絶人気! RAV4すら凌ぐ勢いの初代CR-Vは世界の「愛されSUV」だった

■「恋愛仕様」のキーワードを掲げた遊び心満載なデートカーだった

■同時期に販売されていたステップワゴンと価格差があまりなくヒットには至らなかった

 S-MXにはホンダの遊び心が詰まっていた

 ホンダが1996年11月に発売した“ニュートレンド・パッセンジャーカ―”のS-MXを覚えているだろうか。クリエイティブムーバーシリーズ(生活創造車)の第4弾であり、開発コードネームをそのまま車名にした、ホンダの名車、ステップバンをオマージュした「ステップバーン」とも呼ばれた若者向けにフォーカスした1台だ。

 当時、講談社の伝説の男性誌、「ホットドッグプレス」でクルマ記事担当だった筆者(日本カー・オブ・ザ・イヤーの推薦媒体もホットドッグプレスだった)も、S-MXの「恋愛仕様」というキーワードから、「これぞデートカーの真打ち!!」として記事で盛り上げたものだった。

 なんとなく、初代ステップワゴンを思わせるボディは全長3950×全幅1695×全高1735~1765mm、ホイールベース2500mm。そう、S-MXは初代ステップワゴンを短くして2列シート化した、今でいうスズキ・ソリオやトヨタ・ルーミーのような、いわゆるプチバンだったのだ。エンジンなども初代ステップワゴン譲りであり、運転席側リヤドア(スライドドア)がない点もまた、初代ステップワゴンに通じている。

 パワーユニットもステップワゴンと同じB20型2リッターDOHCエンジンを搭載し、ホンダ独自のファジー制御知的4速AT、プロスマテックとの組み合わせ。サスペンションはF:ストラット、R:ダブルウイッシュボーンである。駆動方式は2WDのほか、デュアルポンプシステムの4WDを用意していた。

 デビュー時のラインアップは2WD(東京地区価格164万8000円)、4WD(東京地区価格186万8000円)のほか、メーカー純正の「ワル仕様」となるローダウン2WDモデル(東京地区価格194万8000円)を揃えていたのもS-MXらしさであり、徹底的に若者をターゲットにしていることがわかる。

 ステップワゴンの存在が偉大すぎてヒットに至らず

 しかし当時、S-MXに何度も試乗し、楽しんだ経験からいえば、S-MX最大の魅力は4人乗りの前席ベンチシート&コラムシフトによる、車内のマイルーム化にあった(のちに5人乗りの前席セパレートシートも用意)。

 前席のベンチシートでカップルが肩を寄せ合うラブラブな乗車が可能になるだけでなく、後席300mmのロングスライドによって、後席が足もと広々のフカフカなラブソファになり、さらに前後席のフルフラットアレンジによって、後席のシートバックをやや立てれば後席がリラックスカウチソファとして使えほか、車内のセミダブルベッド化が可能だったのだ。当時のホットドッグプレスでは「“どこでもラブホ”になる夢のクルマ!!」ともいい放った記憶がある。

 しかも、ちょうどいいところにティッシュボックス置き場があり、ホンダのアクセサリー部門のホンダアクセスが用意したオプションのカーテン=プライバシーシェードには、アレを忍ばせておく小さなポケットまで付いていて、気が利いていた。開発陣の遊び心、裏機能満載だったというわけだ(!?)。

 そんな「恋愛仕様」のS-MXのワル版といえるローダウンバージョンは、ローダウンサスペンションによって全高が15mm低く、カスタマイズのベース車としても最高だったのである。

 で、その走りについてだが、初代ステップワゴンをベースにしたこともあり、乗り味はほぼステップワゴン。誰もが乗りやすいクセのないドライブフィールが特徴だ。ただし、ローダウン仕様になるとガチッとした硬さのある乗り心地を示し、ワルなクルマを求めるユーザーの期待どおりだったともいえた。

 もっとも、ローダウン仕様でもパワーステアリングはごく軽く扱いやすく、標準車、ローダウン仕様ともにコンパクトなボディサイズもあって、扱いやすさは文句なし。恋愛の達人にしてクルマの運転は初心者……というホットドッグプレス世代の男子にもうってつけだったのである。

 もし今、ステップワゴンの2列シート仕様の令和のS-MXが登場したとすれば、アウトドア、車中泊ブームもあって、けっこう注目されるんじゃないかとも思えるのだが、当時は、ターゲットユーザーが絞られていたこともあり、爆発的なヒット作とはならなかったのも事実。2002年までの約6年間に約16万台を販売し、生産終了。後継車はなかった。

 その理由は、ベース車となった兄貴分のステップワゴンの存在だ。同じようなパッケージなら、より室内が広く、3列シートがあり、大人数が乗れて、しかも価格も大きく変わらないのであれば、ステップワゴンでいいじゃない……という空気が、ファミリー層はもちろん、空前のステップワゴン人気に乗じてカップルズカーで十分なはずの若者にも浸透してしまったからだと考えられる。

 とくに、2001年に2代目ステップワゴンが登場し、一層の話題をさらったことが、S-MXの存在価値を急速に薄めてしまったようだ。

 現在、中古車市場では数が少なく価格は高騰気味。数年前に多くあった40~50万円の相場から、今では70万円台~120万円台の高値が付けられている。

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みんなのコメント

19件
  • y_t********
    んなこと知らずに買いましたけど、とても使いやすく楽しい車でした。
  • sur*********
    「アレを忍ばせておく小さなポケット」・・・
    アレってなんだよ!アレじゃ分かんねぇよ!
    教えてくれよ!オカモトさん!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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