順調に進んでいるボルボのEVシフト
今回取り上げていきたいのが、北欧の自動車メーカーであるボルボの存在です。このボルボについて重要な前提知識がふたつ存在します。
「ボルボ EX30」2024年1-4月の輸入EV車名別登録台数1位を獲得
まずひとつ目が、EVシフトの目標として、2030年までにグローバルで発売するすべての車両をバッテリーEVに置き換えるという、完全バッテリーEVシフトを宣言しているという点です。そして、完全EVシフトの過程において、2025年までにバッテリーEVの販売比率を50%にまで引き上げるという目標値も設定。つまり、来シーズン、ボルボはグローバル販売の2台に1台はバッテリーEVを販売しているということになるわけで、既存メーカーとしては極めてアグレッシブなEVシフト目標を掲げている状況です。
そして、現在ボルボについてはPHEVを7車種ラインアップしながら、バッテリーEVを5車種もラインアップしています。
ちなみに、日本市場においても長らく発売されているXC40 RechargeおよびC40 Rechargeに関しては、2024年2月中にも命名規則の変更を受けて、それぞれ、EX40およびEC40と名称が変更されています。
いずれにしても、現在はそのEX40、EC40、さらには、新型EVであるEX30、および中国市場で納車がスタートしている大型ミニバンEVのEM90、そして2024年前半に生産がスタートするフラグシップSUVのEX90の5車種をラインアップ中です。また、来シーズンにおいて、追加で新型バッテリーEVが投入されるとアナウンスされているものの、具体的にどのセグメントに投入されるのかは不明な状況です。
そして、もう一方のボルボに対する前提知識というのが、中国ジーリーが親会社として存在しているという点です。このジーリーについては、中国EV市場における主要プレイヤーであり、なかでもプレミアムEV専門ブランドであるZeekrに関しては、2024年シーズンにおける年間販売台数目標を23万台に設定するなど、急速にプレゼンスを拡大中です。
さらには、ロータスやスマートなども同じジーリーグループの傘下に属しており、そして重要なポイントというのが、このジーリーグループ全体でEV専用プラットフォームであるSEAを横断して採用することで、グループ全体のスケールメリットを図ってきているという点です。
実際に、ボルボの新型コンパクトSUVであるEX30についてはSEAを採用しており、同じくコンパクトSUVとして、スマートからもスマート#1、そしてZeekrからもZeekr Xが発売されていることから、兄弟車としてラインアップすることでコスト削減へ繋げようとしてきているわけです。
そして、そのような背景において、今回新たに明らかになってきたことというのが、ボルボが2024年第一四半期における最新のEVシフト動向、および収益性を発表してきたという点です。
まず、そのEVシフトの進捗動向に関しては、バッテリーEV販売台数が3.8万台オーバーと歴史上最高の四半期を更新しながら、前年同四半期比でも27%もの増加を記録しています。新車販売全体に占めるバッテリーEVシェア率が20.89%と、ついにボルボ史上初めて、四半期ベースでのバッテリーEVシェア率で20%の大台を突破するという快挙を達成しました。
また、この販売台数増加に大きく貢献したのがEX30の存在です。第一四半期だけで1.45万台もの販売台数を実現。まだ2023年末から納車をスタートしたばかりであるということ、しかも3月単体で行くと8681台もの販売台数を記録したことを踏まえると、このバッテリーEV比率2割越えという数値が、年末にかけて30%へ大きく近づいていくことは、まず間違いないでしょう。
いまやテスラ・モデルYに次ぐ人気を誇るボルボEX30
そして、それ以上に驚くべきは、その収益性という観点です。まずボルボについてはEVシフトを宣言していることから、全体の収益性だけではなく、バッテリーEVに絞った収益性も公開しています。
この四半期別の粗利益率の変遷を見てみると、このとおり2022年後半以降、急速に収益性が悪化しています。これはバッテリーの原材料であるリチウムなどが急騰したことが背景として存在するものの、他方で、2023年Q2を底として、バッテリーの原材料価格の高騰が落ち着きを見せ始めたことも相まって、収益性が急速に改善しています。
2023年Q4については13%にまで回復させることができているものの、バッテリーEV以外の収益性を見てみると26%と、まだまだ内燃機関車との収益性に差があるように見えます。
しかしながら、24年Q1に関しては、その収益性をさらに改善し、バッテリーEVでは16%もの粗利益率を実現。内燃機関車は25%の収益性であるものの、そのなかでもEX30のみの粗利益率については、Q1で15-20%を実現していると説明されています。したがって、生産体制が最適化されていくQ2以降については、EX30の収益性がさらに改善して、バッテリーEV全体の収益性がさらに改善する余地が残されています。
さらにその上、内燃機関車についてはXC90であったりV90など、高級車セグメントがすべて含まれているものの、バッテリーEVのラインアップについては、現在EX40、EC40、そしてEX30という、ボルボのなかでのエントリーモデルしかラインアップしていないことから、この2024年Q2以降に順次納車が進んでいく、中国市場におけるEM90、およびグローバル全体でラインアップされるEX90の存在によって、バッテリーEV事業全体の収益性は、さらに改善することは間違いありません。
ちなみに、バッテリーEVのみを発売しているテスラについても、2024年Q1の粗利益率は15-20%の間で推移していることから、すでにボルボについてはテスラレベルの粗利を確保できているという意味で、じつはバッテリーEVシフトと収益性のバランスの確保をうまくコントロールしているといえるわけです。
そして、それを可能としている存在というのが、とくにジーリーグループ全体でEV専用プラットフォームを共通化しながら、さらに、中国の生産工場で兄弟車であるスマート#1であったりZeekr Xを同時生産しているという、EX30の存在であるわけです。
また、ボルボの投資におけるタイムラインについて、現在まさに、完全EVシフトに向けた研究開発の真っ最中の期間であると指摘されています。具体的にはメガキャスティングであったり、新世代モーター、およびCell to Bodyといった最新テクノロジーであり、とくにその次世代テクノロジーがすべて盛り込まれる、2026年中に発売予定のXC60のEVバージョン、おそらくEX60と名付けられるミッドサイズSUVの発売を境に投資額は落ち着きを見せ始めて、営業利益という観点でも最大化を図ってくると説明されています。
いずれにしても、2030年までの完全EVシフトに向けて、ボルボの収益性はかなりいい結果が出てきているように見えるわけです。
ボルボについては、日本国内でも発売をスタートしているEX30の人気がグローバル全体で好調であり、とくにお膝元である欧州市場においては、月間ベースでベストセラーEVであるモデルYに次いで人気のEVに君臨する勢いであることからも、Q2以降の販売台数には注目です。
もちろん、私自身もおすすめしている通り、我々日本市場における販売動向については、そのコンパクトなサイズ感も含めて期待していきたいと思います。
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