1950年代の喫茶店にルーツを持つカフェレーサー
1950年代のイギリスで、24時間営業のカフェにバイカーたちが集まり、そのついでに自慢の愛車で公道レースに興じる……。
【画像】600ccクラスのミドルサイズ「カフェレーサー」3種を写真で見る(35枚)
これがカフェレーサーの起源と捉えられています。
バイクはもちろん高性能のレーサーですが、1950年代のレーサーといえば、現代のネイキッドに前傾姿勢を作るセパレートハンドルをつけたりバックステップをつけたり、風よけにロケットカウルをつけたりといった姿。
現代から見ればカスタムを施したネイキッドに映りますが、当時はそれが最先端のスーパースポーツスタイルだったのです。
レトロブームが続いている2020年代は、多くのメーカーがカフェレーサーを制作・発売しています。
セパレートハンドル・バックステップ・ビキニカウルといった装備を、ネオクラシックモデルなどに施したもので、レトロブームの中のひとつのジャンルとして市場ができるに至りました。
カフェレーサーといっても、様々な排気量のモデルが存在しますが、今回は寒い時期に“ちょっとそこまで”を軽くスポーティにこなせる600cc帯のモデルを3台紹介します。
まずはスズキの「SV650X」。「SV650」をベースにカフェレーサー化したバリエーションモデルです。
車体のスリムさとエンジンの扱いやすさ、そしてほどよいスポーティさがバランス良く同居しているのがSV650Xの特徴と言えるでしょう。
車体サイズは全長2140×全幅730×全高1090mmで、ホイールベースは1450mm、シート高は790mm、車両重量は199kgとなっています。
エンジンは645ccの水冷V型2気筒DOHCで、最高出力53kW(72PS)/8500rpm・最大トルク63Nm(6.3kgm)/6800rpmを発揮します。
大型で200kgを切る車重は軽量といえ、取り回しにも苦労しません。
また、Vツインエンジンのおかげで車体がスリムで、その上に790mmというシート高は足つきも悪くありません。
72PSというスペックは十分にパワフルと言えるでしょう。低回転ではVツインならではのトルクで加速が良く上まで素直に回るエンジンは近距離でも回す楽しさを覚えるでしょう。
空冷エンジンは冬こそ最高の季節
イギリスにルーツを持つカフェレーサーは、同じくイギリス出身のブランドであるロイヤルエンフィールドにもラインアップがあります。
「コンチネンタルGT650」は、ロイヤルエンフィールドの中で唯一のカフェレーサーです。
車体サイズは全長2119×全幅780×全高1067mm、シート高は820mmで、車重は212kgとなっています。
エンジンは648ccの空冷直列2気筒SOHCで、最高出力34.9kW(47PS)・最大トルク52.3Nm(5.33kgm)/5150rpmとなっています。
レトロモデルをブーム以前から作り続けているロイヤルエンフィールドならではのクラシカルなスタイルがコンチネンタルGT650の大きな特徴と言えるでしょう。
SVと比べれはパワーもトルクも劣りますが、本格的な雰囲気ではコンチネンタルGT650の右に出るバイクは少ないのではないでしょうか。
3代目は少し変わり種としてドゥカティ「スクランブラー・ナイトシフト」を紹介します。
これまでの2台とは違い、バーハンドルにスポークホイールをまとったスタイルですが、カフェレーサーに加えて良い1台です。
ホイールベースは1449mmで、シート高は795mmですがオプションのローシートで780mm、ハイシートで810mmに調整が可能、車重(感想)は182kgとなっています。
エンジンは803ccの空冷V型2気筒SOHCで、最高出力53.6kW(73PS)/8250rpm・最大トルク65.2Nm(6.7kgm)を発生します。
ナイトシフトは高級感のある車体に仕上がっていますが、大きな魅力はエンジンにあります。2024年現在ではブランドで唯一の空冷エンジンを採用しています。
ドゥカティはもともと空冷エンジンを多くラインアップしていましたが、次第に水冷に置き換わっています。
パンチのある空冷エンジンという古き良きドゥカティを味わえる唯一のモデルが、スクランブラーシリーズとなっています。
ナイトシフトはそのうえカフェの軒先にも映えるでしょう。
※ ※ ※
今回の3台中2台は空冷エンジンを搭載しています。夏はその熱によりエンジンの調子が心配になりますが、冬はその心配がありません。空冷ならではの乾いた音と鼓動を存分に味わえます。
寒いからといってこもらず、近くのカフェにコーヒーを飲みに出かけ、軒先に愛車を止めて眺めながら至福の一杯を味わう。大型ツアラーやハイパワーSSではなかなかする気になれないカフェレーサーならではの冬の楽しみではないでしょうか。
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みんなのコメント
値段の割に必要十分な動力性能があり、ちょっと手を加えるだけでぐっと乗りやすくなる。
しかも国産というのも素晴らしい。
勿論気になる部分もあるけれど、それは他のバイクでも同じなんじゃないかな。