毎月200店以上の新車ディーラーを回り、「生」の新車情報を届けてくれる流通ジャーナリストの遠藤徹氏。
2020年11月の登録車販売台数は前年同月比6%増で、車名別の販売台数ランキングではトップから7位までをトヨタが独占。
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そんな中で、姉妹車であるトヨタ アルファードとヴェルファイアの販売台数が8倍差に開き、一方でホンダが登録車販売で日産を抜き初の2位に…など、新年から話題が相次いでいる。
ほか、ランクルプラド2022年夏登場!?! ハスラーVSタフトの熾烈な主導権争い…などなど、今回も最新情報盛り沢山でお送りする。
【画像ギャラリー】ランクルプラド登場で盤石の布陣完成…?? トヨタのSUVラインナップをギャラリーでチェック!!!
※本稿は2020年12月のものです
文/遠藤 徹、写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年1月10日号
■アルファードがヴェルファイアの8倍売れている理由
11月はアルファードとヴェルファイアの販売台数に大きな差が出ました。
アルファードは1万627台で前年同月比75.9%の大幅増となり、車名別ランキングはこれまでで最高の3位を確保。これに対してヴェルファイアは1241台、49.9%減と激減していて順位は41位に大幅後退しているのです。
姉妹車のアルファードとヴェルファイアだが、売れゆきに大きな差ができている。11月はアルファードのほうがヴェルファイアの8倍も売れているのだ
姉妹車である両車の売れゆきに、明確な違いが生じた要因にはふたつあります。
ひとつは2019年12月のマイナーチェンジです。フロントマスクのデザインが両モデルとも変更され、それまでヴェルファイアのほうが売れゆきは上だったのが、アルファードに軍配が上がる逆転現象が発生しました。ただしその時点では、両モデルの差はそれほど大きくありませんでした。
差が開きだしたのは今年5月にトヨタ全系列店で全トヨタ車を併売し始めてからです。全系列店で両モデルを扱うと、人気の高いアルファードにさらに売れゆきが集中する傾向が強まったのです。
5年後のリセールバリューもアルファードのほうが10万~20万円高くなることが予想され、アルファードへの人気が余計に加速しているのです。
したがって2022年の世代交代時にはアルファードに一本化し、ヴェルファイアが廃止になるのはほぼ確実な見通しとなっています。
■ランクルプラドは2022年夏の世代交代で調整か
トヨタは2022年夏にもランドクルーザープラドをフルモデルチェンジする方向で開発を進めている模様です。
ランドクルーザー300の次期型発売が2021年中であり、その翌年の世代交代となります。
次期型のプラドはキープコンセプトの一新ですが、新たにTNGAによる開発技術が採用されます。
さらに、最新の安全装備であるトヨタセーフティセンスや12インチナビが装着可能なディスプレイオーディオを標準装備します。
パワーユニットは2.5Lガソリンターボと2.8Lクリーンディーゼルを搭載する見込みです。
これによってトヨタのSUVラインナップはベーシックコンパクトからラグジュアリークラスまで、すべて新世代モデルが整うことになります。
トヨタ ランドクルーザープラド(写真は現行型)
■2020年の登録車販売、ホンダが日産を抜き初の2位に浮上!
ホンダは国内登録車販売で、2020年初めて日産を抜き2位に浮上しました。1から12月までの累計は、日産が26万6289台(9.2%)であるのに対して、ホンダは29万3800台で3万8690台(10.2%)と、台数で約3万台、シェアにして1%近く引き離した形です。
2020年国内メーカーの販売台数&シェア
2019年の販売台数は日産36万7514台、ホンダ35万7242台で、日産が1万272台の差で2位でした。これまでも日産が2位を維持していて、ホンダが2位になることはありませんでした。
ホンダはこれまでフィットを筆頭にフリード、ヴェゼル、ステップワゴン、オデッセイ、シャトル、シビック、CR-Vと乗用車を中心に多彩なモデル展開をしてきたのが功を奏しています。
ホンダ オデッセイ。2020年11月にマイナーチェンジを実施している
これに対して日産はノート、セレナ、エクストレイルと、主軸モデルの数が少なく、ホンダに対する強みは商用車がカバーしていたのです。それが、主力の乗用3車種はデビューから年数が経ち、商用車もコロナ禍の不景気でマイナス幅が拡大したのが足かせとなっています。
ただ今後の日産は新規に投入したキックス、新型ノートを皮切りに多数のニューモデル展開で巻き返しに出るのは確実であり、両社の戦いは新局面でさらにヒートアップすることが予想されます。
■スズキ、新型ソリオの売れゆきは好調な立ち上がり
11月25日に発表、12月4日に発売したスズキの新型ソリオの売れゆきが好調な立ち上がりを見せています。12月上旬現在の納期は約3カ月待ちであり、年初から月販4000台以上で売れそうな状況となっているのです。グレード別では標準タイプの上級仕様であるMZの2WDを中心に受注が進んでいます。
新型ソリオは、12月末までに成約すると11万円分の用品をサービスするなどの増販攻勢をかけています。
上々のスタートを切ったスズキ ソリオ
■ハスラーとタフト、デッドヒートを展開中!
スズキハスラーとダイハツタフトが抜きつ抜かれつの販売競争を展開しています。
6月に発売したタフトが3カ月後の10月にハスラー超えを達成し、このまま引き離すと思われましたが、11月はタフト6503台の販売実績に対してハスラーは6579台とわずか76台差で抜き返しました。
これだけ僅差で同じような台数になっているということは、お互いが意識して競い合っている証拠といえます。
スズキ ハスラー
ダイハツ タフト
■2021年2~3月にプリウスα、プレミオが生産中止
トヨタは2021年も生産中止車種を複数予定しています。2020年は11月末までにアリオン、ポルテ/スペイドを廃止しました。2021年2月はプリウスα、3月はプレミオを予定しています。
いずれも後継モデルや次期型の開発予定はない見込みです。2025年までの車種削減予定は、2年程度早まる可能性があります。
プリウスα
プレミオ
■ダイハツはトヨタのおかげで左うちわ状態に?
ダイハツがトヨタにOEM供給している小型車のライズとルーミーが絶好調の売れゆきで、生産しているメーカーのダイハツはフル生産をしている状況です。
11月の登録台数はライズが1万627台で登録車の車名別ランキングの2位、ルーミーは9112台で6位といずれもベスト10の圏内に入っています。
さらに、コンパクトハッチ車のパッソもモデルが古いものの、11月は2542台で21位、前年同月比2.3%増とプラスに転じています。
ダイハツのOEM車であるトヨタのライズ(写真)とルーミーの売れゆきがともに絶好調。これによって、ダイハツの生産工場はフル生産状態となっている
■トヨタ、ハリアーの納期が来年7月上旬にさらに先送り
2020年6月にフルモデルチェンジしたハリアーの納期がさらに先送りとなり、2021年の7月上旬になっていることが判明しました。1カ月ほど前の納期は5月の大型連休明けでしたが、そこから2カ月先に延長したのです。
ハリアーは月産1万台規模に増産しており、11月には登録車の販売ランキングで歴代最高の4位に浮上しています。売れ筋は最上級グレードの「Z」と中間グレードの「G」、その両レザーパッケージが中心になっています。
販売が好調な理由は、商品力の高さもありますが、現行モデルは従来のトヨペット店専売からトヨタ全系列店併売へと変わり、販売力が4倍に増強されたことも要因としてあげられます。
2020年6月にフルモデルチェンジした新型が大ヒットしているハリアー。増産をしているものの、納期が2021年夏頃になる見込みで、長い納車待ちになる
■RAV4 PHVが受注受付を再開
トヨタディーラー各社はストップしていたRAV4 PHVの受注を再開しました。すでに2021年3月までの生産枠の受注は終了しているため、今回の受注は4月以降に生産される分の受付となります。なお、納期は6月以降になる見込みです。
RAV4 PHV
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