奇才が手がけたスパイダーシリーズの集大成
自動車界の奇才、エバーハルト・シュルツの夢が息づく希少なモデルがオークションに出品されました。ヨーロッパを代表するヒストリックカーイベント「レトロモビル」と併催された「アールキュリアル」に、超希少なスーパーオープン「イズデラ スパイダー036i」が出品されたのです。
【画像】「えっ…!」自動車文化そのものを体現する存在! これがイズデラ「スパイダー036i」です(20枚)
シュルツは自作のモデル「エラト-GTE」を武器に、大手自動車メーカーの面接に乗り込むほどの大胆不敵な男。ポルシェ在籍中も常にメルセデス・ベンツ「300SL」の後継車を開発することを夢見ていました。
そんな彼の野心は、想像を超える形で現実のものになります。
1970年代初頭、シュルツはライナー・ブッフマンが創業したbb社に移籍。そこでシュルツは、誰も予想しなかった驚きの一手を打ちます。なんと、メルセデス・ベンツの許可を得ることなく、コンセプトカーの「CW311」を製作。
さらに驚くべきことに、1978年のフランクフルトモーターショーでメルセデス・ベンツのシンボルである“スリーポインテッドスター”を堂々とフロントグリルに装着して披露したのです。
本来であれば訴訟問題に発展しそうな“事件”ですが、「CW311」は大好評を博したため、メルセデス・ベンツもエンブレムの装着を事後承認したそうです。bb社の大胆さもメルセデス・ベンツ社の寛容さも、今となってはロマンを感じさせる逸話ですね。
とはいえ、この「CW311」もbb社で市販化されることはなく、シュルツは1982年に、自らの夢を追い求めてイズデラを創業します。
イズデラは「“I”ngenieurbüro für “S”tyling, “De”sign und “R”acing」というドイツ語の頭文字を取った社名で、日本語に訳すと“スタイリング、デザイン、レーシングのエンジニアリング会社”を意味するそうです。まさに彼の情熱を体現したネーミングといえるでしょう。
そんなイズデラが手がけた初の量産モデル「スパイダー033i」は、顧客の要望に応じてハンドメイドされる特別な1台でした。
ミッドシップレイアウトを採用するこのモデルは、メルセデス・ベンツから供給された1.8リッターの直列4気筒エンジンを搭載。1985年には、その進化型ともいえる2.3リッターの直列4気筒エンジン搭載モデル「スパイダー033-16」もデビューしています。
今回、オークションに出品された「スパイダー036i」は、1987年のジュネーブショーで披露された「スパイダー」シリーズの集大成です。
驚くべきは、“3世代”にわたる「スパイダー」の生産台数がわずか14台であること。1台の完成に12か月もの歳月を要したことが、その希少性を物語っています。
●自動車文化そのものを体現する1台だが……
2011年、当該車両は驚くべき進化を遂げます。
ホイールはより大径の16インチとなり、フェンダーはワイド化され、車体はメタリックシルバーに塗装。キャビンはバイオレットからブルーのレザーへと変更され、シート自体もレカロ製に変更されました。
そして、最大の変更点はエンジン。AMGが開発した3.6リッター直6を搭載し、最高出力は217馬力から276馬力へと大幅に向上しています。
これらのアップデートは、外部チューナーによる作業ではなく、イズデラ本社にて施されたものです。
この当該車両、実は2022年にモナコで開催されたRMサザビーズのオークションに出品されています。その際、予想落札価格は32万5000ユーロ~37万5000ユーロと掲げられていましたが、落札には至りませんでした。
そして今回、アールキュリアルのオークションでは、予想落札価格は23万~28万ユーロ(約2484万~3024万円)と見積もられていました。
シュルツの飽くなき挑戦が形となった、イズデラの超希少な「スパイダー036i」は、単に自動車という枠を超え、自動車文化そのものを体現する存在です。
にもかかわらず……残念ながら今回のオークションでも落札には至りませんでした。このクルマの価値を理解してくれる買い手は現れるのでしょうか?
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