従来までのXVから車名を新たにクロストレックに改めたが、2023年4月に初めて公道試乗会が開催された。自動車ライター、伊藤梓氏の目にはその出来栄えはどう映ったのか、さっそくレポートをお届けしよう!
文/伊藤 梓、写真/スバル、池之平昌信
クロストレックはスバルらしさ全開!! AWD推しの新鋭クロスオーバーは公道試乗で輝いたのか?
■今回からクロストレックの車名に!
XVから新たに車名をグローバルで使われてきた「クロストレック」に変更。果たしてその公道での乗り味はどうなのか?
XVはスバルのSUVラインナップのなかでも、最もコンパクトでリーズナブル、そしてフレッシュなデザインで若い世代を中心に幅広い層に愛されてきたSUVだ。そんなXVが、新たに「クロストレック」という名前を冠して生まれ変わった。
このネーミングは、もともとXVの海外仕様で使われていたもので、「クロスオーバー」と「トレッキング」を組み合わせた造語だという。「カジュアルなトレッキングシューズのように、街からオフロードまでシーンを選ばずに楽しめるクルマ」という意味が込められているそうだ。
先代モデルのXVとプラットフォームは大きく変わらないものの、要所要所に新技術を組み込むことで、XVとは一線を画する質感に仕上がっているという。
クロストレックはこれまでクローズドのコースのみの試乗だったが、今回初めて公道を走れるとのことで、一般道や高速道路でたっぷりと試乗することにした。
■スタイリッシュさに加え、大人っぽさを一段と増したクロストレック
筆者曰く、「これまでの瑞々しい印象から少し大人っぽくなって、さらに幅広い世代に受け入れられるようなデザイン」になった
これまでのXVは、無骨なイメージのあるスバル車のデザインから頭ひとつ抜けて、スタイリッシュでカッコよく、特に若い世代の支持を集めたモデルだったと思う。現に、私の地元である山形の同世代の友人がこぞって購入していたし、乗っている人には憧れの眼差しさえ向けられていた。
個人的には、XVはそういった若い世代に人気のあるモデルだという印象が強かったので、クロストレックを目の前にすると、「これまでの瑞々しい印象から少し大人っぽくなって、さらに幅広い世代に受け入れられるようなデザインになったなぁ」と感じた。
また、クロストレックになってパワートレーンも変更されている。これまで採用されていた1.6Lガソリンエンジンは廃止され、国内では2Lのハイブリッドモデルのみとなった。安価なエンジン設定がなくなったこともあってか、XVにはなかったFFモデルが追加されている。
■運転するのがとにかく楽しいモデルになった!
XVからさらに運転をすることが楽しいクルマになっている点が、筆者がクロストレックを試乗して感じたポイントだ
クロストレックは外観デザインの変更もさることながら、なんと言っても大きく変わったのがその乗り味だ。一般道を乗ってみた印象は、とにかく運転がしやすい!
XVは「デザインがカッコいい!」という印象はあったものの、正直なところ、操縦性に関する分野においては「ハンドリングがどうのこうの……」などと、何かを語ろうと思わないくらい印象は弱かった。それが、とにかく運転が楽しい! 心地いい! と思えるモデルになっている。
まずはステアリングを切り込んだ時、最初の動き出しの手応えが緻密に伝わってくる。XVではこのステアリングの真ん中付近のフィードバックが少なく、乗り味がざっくりとした印象になりがちだった。この指数本分の動きが自分の意図したどおりになるだけでとても素直で心地いいクルマになっている。
このダイレクトな感覚は車体の剛性が高まっただけではなく、2ピニオンの電動パワーステアリングを採用したことも大きいのだろう。これまではアシスト用のモーターが、ステアリングのシャフトと一体化されていたが、それを別軸に設定することで、このようなダイレクト感を生んでいるという。
■人間工学に基づいたシートがコーナリング時に威力を発揮
仙骨を押さえて骨盤を支えるシート構造が採用されているクロストレックのシート。骨盤を安定させることで車体の揺れが頭部へ伝わるのを防いでくれるという
また、新設計されたシートがここまで運転のフィーリングに効くとは思っていなかった。クロストレックは人間工学に基づき、自然に体のバランスが取れるシートとなっている。このシートの恩恵を一番感じやすいのは、ちょっとしたワインディングロード。
普通であれば、コーナリングする際に横Gで体が振られるはずだが、このシートだと体のバランスがうまく取れるので、よほどの急カーブでなければサイドサポートにも体が触れることなくコーナーをクリアできる。体が不用意に振られたり、動いたりしないから長時間の運転も楽にできるし、クルマ全体の乗り心地や印象までアップしているように感じた。
■AWDモデルを積極的に選びたい!
クロストレックのパワートレーンは2L水平対向DOHC+モーターのマイルドハイブリッドであるe-BOXERのみとなっている
XVからの性能進化以外にも、FFとAWDモデルでその運転性能の違いを感じることができた。基本的には、やはりFWDは重量が軽いこともあって、軽快感が強い。これまでXVは、AWDでも軽快で元気のいいイメージがあったが、クロストレックでこの雰囲気を味わえるのは、どちらかといえばFWDだ。
AWDになると全体的にしっとりとした印象になり、これまでのやんちゃなイメージは鳴りを潜めて、ひとクラス上の上質なモデルのように感じる。常時、前後のトルク配分をコントロールしているので、細かいところで言えば交差点を曲がった後の脱出や登り坂でのトラクションなどは、やはりAWDのほうが力強く爽快に駆け抜けることができた。
自動車業界の長い先輩たちは、その軽快さと価格帯からFWDで充分だろうという人も多いが、私自身が雪国出身ということもあり、「自分で選ぶなら、トータルバランスの優れたAWDがいいな」と素直に感じた。
クロストレックに試乗し、プラットフォームを大きく変えずとも、ここまで大幅な進化を遂げられることには驚いた。今回進化したその要所、要所の技術を見てみると、どれも「違いがわかりやすいように変えました!」というような付け焼き刃はない。
クロストレックの要所、要所で全体でのレベルアップが感じられたことにスバルのものづくりの思想がにじみ出ており、思わずほころんでしまったという筆者
各々の進化がしっかりクルマ全体のレベルアップにつながっていて、エントリーモデルのSUVであるクロストレックを通して見ても、スバルの実直な「ものづくり」が感じられて、いちクルマ好きとしても嬉しくなった試乗だった。
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