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速度を問わない充足感 ケータハム・スーパーセブン 600へ試乗 スズキの3気筒660cc

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速度を問わない充足感 ケータハム・スーパーセブン 600へ試乗 スズキの3気筒660cc

オリジナルのロータス・スーパーセブンに近い

ケータハムも、電動化技術へ新たな一歩を踏み出した。それと同時に、古き良きモノを残したいという気概もあることは間違いないだろう。

【画像】スズキの3気筒660cc スーパーセブン 600 創成期のMk6に最新エミーラ 競合モデルも 全125枚

ロンドンの東、ダートフォードにある本社工場では、バッテリーEV(BEV)の軽量なスポーツクーペの開発が進められる傍らで、内燃エンジンを搭載したスーパーセブンが作り続けられている。2022年でも、その改良の手は止まっていない。

2021年に発表されたレトロなスーパーセブン 1600は好評を博したものの、1.6Lフォード・シグマユニットの廃盤と同時に消滅した。だがケータハムはそれに代わるモデルとして、最新版となる2000と600を投入した。

スーパーセブン 2000には数か月前に試乗し、心の底から気に入っている。では、小さなエンジンの600の仕上がりはいかがだろう。こちらはオリジナルのロータス・スーパーセブンを、忠実に再現したモデルといってもいい。

1961年、コーリン・チャップマン氏はコスワース・チューンの1.3L 4気筒エンジンを載せたセブンを完成させた。最高出力は86psに過ぎなかったが、素晴らしい走りを叶えていた。

2022年にケータハムが投入した600には、660ccのスズキ製3気筒ターボエンジンが搭載されている。エントリーグレードのセブン 160と同じユニットではあるが、最高出力は85psある。オリジナルと比べて、1ps低いだけだ。

リア・サスペンションは、同じリジッドアクスル式。洗練されたド・ディオンアクスル式は、2000でしか選べない。タイヤ幅は155とコンパクトカー並みに細い。

丁寧に仕立てられ雰囲気の良いインテリア

ケータハムはナローとワイド、2種類のボディをスーパーセブンに提供しているが、600ではナローのみ。とても小柄だが、丁寧に作り込まれている。

車重は470kg。オリジナルと比べて30kg重いものの、現在のモデルラインナップでは最軽量の1つに数えられる。

クラシカルなフレアフェンダーと、クロームメッキされたヘッドライト・カバーが運転席に座ると見える。ノスタルジックさは満点だ。好ましいボルドー・レッドのノーズコーンが、味わいを増している。

インテリアは丁寧に仕立ててある。バーチ・ホワイトのレザーが張られたダッシュボードには、スミス社製のアナログメーターが並ぶ。クロームメッキのリングが見た目を引き締める。

ステアリングホイールはゴージャスなモトリタで、シフトノブは磨き込まれた球形。細部へのこだわりも忘れていない。これまでのケータハムのなかでも、ベストの仕上がりだと思う。

ナローボディの小さなスーパーセブン 600へ乗るのは、少し難しい。サイドシルとトランスミッション・トンネルの間に、お尻がピッタリと収まる。クルマ好きなら、居心地の良さに笑みが溢れるだろう。

赤いスタートボタンを押すと、3気筒エンジンが静かに目を覚ます。これ見よがしのひと吠えや、騒々しい燃焼音は聞こえてこない。

走行速度に関係なく充足感で満ちる

発進すると、アクセルオフでターボのウェストゲート・バルブが鳴る。見た目の雰囲気には少し合致しないかもしれない。回転数を高めても、聞き惚れる歌声へ変化するわけでもない。

アクセルペダルに対する反応は若干マイルドで、パワーデリバリーはターボの過給圧で変化する。自然吸気のスーパーセブンには、レスポンスでは及ばない。

だとしても、限られた最高出力ながら、夢中になれるペースで走れるパワーはある。パワーバンドは狭く、小気味よく変速できる5速マニュアルを巧みに操る必要があるが、むしろそれが楽しい。

0-100km/h加速は6.9秒でこなす。実際に試してみると、数字以上に速く感じられる。他のスーパーセブンと同様に。

4気筒エンジン版よりフロントが軽いだけに、ステアリングホイールを回すのに大きな筋力は必要ない。エイボンの小ぶりな接地面積はグリップ力が限定的だが、85psとバランスは取れている。公道の速度域で、存分に振り回せる。

ステアリングホイールの指先の操作へ、フロントはもれなく反応。カーブへ勢いよく侵入すれば、耐えきれなくなったタイヤが自然に外へ流れ出す。ドライバーの自信を奪うことはない。走行速度に関係なく、充足感で満ちる。

折角だから、筆者なら1250ポンド(約21万円)のリミテッドスリップ・デフは付けるだろう。アクセルペダルでのライン調整が一層しやすくなり、コーナー内側のタイヤがスピンして逃げるパワーを受け止められる。

高いエネルギー効率と豊かな興奮度の両立

リジッドアクスルのリアは、スーパーセブン 2000ほどしなやかな足の動きを得ていない。路面の起伏次第では跳ねるような挙動も出る。とはいえ、ドライビング体験を台無しにするほどではない。基本的に乗り心地は柔らかく、姿勢制御は素晴らしい。

長距離ドライブへ旅立ちたいと思える洗練性すらある。燃費は良好で20.7km/L。1度の満タンで480kmくらいは走りきってしまう。褒められるエネルギー効率と豊かな興奮度の両立は、今という時代へ見事に合致している。

スーパーセブン 600の英国価格は、完成車で3万2585ポンド(約541万円)から。半完成品のキットなら2万9990ポンド(約497万円)へ落ちるが、安いとはいいにくい。

しかし、ケータハムのデザインはノスタルジックでも、時間経過で価値が大きく減じることはない。1km毎に得られる笑顔の大きさで考えれば、訴求力は相当なものだと思う。

ケータハム・スーパーセブン 600(英国仕様)のスペック

英国価格:3万2585ポンド(約541万円・完成車)/2万9990ポンド(約497万円・キット)
全長:3100mm
全幅:1470mm
全高:1090mm
最高速度:168km/h
0-100km/h加速:6.9秒
燃費:20.7km/L
CO2排出量:109g/km
乾燥重量:470kg(予想)
パワートレイン:直列3気筒660ccターボチャージャー
使用燃料:ガソリン
最高出力:85ps/6500rpm
最大トルク:11.8kg-m/4000-4500rpm
ギアボックス:5速マニュアル

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みんなのコメント

18件
  • ケータハムの最初の160が確かスッピンの状態で400万(必要なOP付けると乗り出し500万弱)と記憶しているけれど
    コレは本国価格で540万(装備品が判らないから直接比較出来ないけれど)だから、国内だと600万スタートなのかな?
    いずれにせよ、おいそれと手を出せる値段じゃ無いなぁ…
  • 日本じゃ何故かはるかに高い
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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