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売れるにはワケがある! 会心の一撃を放ったクルマ5選

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売れるにはワケがある! 会心の一撃を放ったクルマ5選

 どんなクルマにも山もあれば谷もある。とはいえ、谷から這い上がることは容易なことではない。真っ逆さまに転落し、そのまま姿を消したクルマも数多い。いっぽう、いきなりのロケットスタートを切り、下積み生活を経験することなく順調にモデルチェンジを繰り返しているクルマもある。

 いずれにせよ、ユーザーの心を強烈に惹きつける何か特別なものがないと、長寿モデルにはなり得ない。今回は、会心の一撃を放ったことで谷底から這い上がったクルマ、企業の経営危機を救った名車を紹介しよう。

これぞトヨタの真骨頂!? 後出しジャンケンでライバルを叩きのめしたトヨタ車たち

文/藤原鉄二、写真/トヨタ、日産、マツダ、FavCars.com

[gallink]

e-POWER搭載でバカ売れが止まらない! 2代目ノート(2016年~)

100%モーター駆動で走行するe-POWER。外部電力からの充電は不要で、ガソリンエンジン車やハイブリッド車と同様、ガソリンの給油のみで走行できる

 2012年7月のフルモデルチェンジで登場した2代目ノート。日産の世界戦略車に位置付けられ、期待を一身に受けてのデビューとなった。

 ノートは、販売開始から約2週間を経過した時点で2万1880台を受注。これは月間販売目標の2倍以上にあたる数字だった。さらに、ハイブリッド車を除くガソリン登録車でナンバーワンの売り上げを記録するなど、フルモデルチェンジは大成功となった。

 そして、さらなる起爆剤として投入されたのが2016年11月のマイナーチェンジに追加されたノート e-POWERだ。

 e-POWERとは、エンジンで発電した電力をバッテリーに蓄え、その電力でモーターを駆動して走行するシステム。エンジンで発電ができるため、給油は必要だが、PHEVのように外部充電は必要ないという、EVに近いハイブリッドカーだ。

 ユーザーの心を鷲掴みにした原因は、300万円以下というリーズナブルな価格設定。この価格でe-POWERと同様のシステムを搭載した量産車は当時、世界的にも類を見ないものだったのだ。

 このノート e-POWERが予想を大幅に上回る大ヒットを記録。日産の2017年度第1四半期(2017年4~6月)の連結決算によると、国内新車販売台数は前年同期比45.6%増。この大幅な伸びの牽引役がノート e-POWERと言われている。

 e-POWERはその後、セレナ、キックスなどにも搭載され、いずれも好調なセールスを見せている。

Xスポーツを楽しむ若者の心を鷲掴み! 初代エクストレイル(2000年~2007年)

オンでもオフでもOKのスタイリッシュな外観も若者から支持を受けた理由のひとつ。2001年から2010年までの10年間、SUV型乗用車の国内販売台数1位の座をキープした

 今や日産を代表する超人気モデルとして君臨し続けているエクストレイル。デビューは2000年。「4人が快適で楽しい、200万円の使える四駆」というキャッチフレーズとともに登場したとエクストレイルは、あっという間に若者のハートを掴んだ。 

 当時、全長4510×全幅1765×全高1675mmというコンパクトなサイズのSUVというのも新鮮だったが、会心の一撃は何と言っても、185~239万円という格安な価格設定。このリーズナブルさは衝撃だった。

 そして、会心の一撃第2弾は、「ウォッシャブルダブルラゲッジ」。これは、2段構造となっているラゲッジスペースのラゲッジボードを取り外すことができ、さらに丸洗いができてしまう装備だ。これで汚れ物も気にせず積むことが可能に。

 シートにも撥水加工が施されており、サーフィンやスノーボードを楽しんだ後、濡れたままで乗車しても問題なしと、とにかく、ありそうでなかった、かゆいところに手が届くような便利な装備が満載されていた。

 コンセプトはタフギアだったものの、エクステリアデザインは、既存の無骨なクロカンのイメージとは一線を画する、アーバンスタイル。アウトドアフィールドで使いたいけれど、クロカンは少々ヘビーすぎるという若者のたちの心を惹きつけた。

 さらに、スノーボードなどのXスポーツの人気が盛り上がりつつあったタイミングでの登場ということで、「X-TRAIL JAM(エクス-トレイル・ジャム)」を特別協賛。このPR効果は抜群で、クルマに興味がない若者でもエクストレイルだけは知っているというほどの人気車に上り詰めた。

"コンパクトカーは狭い"という概念を覆す! 初代フィット(2001年~2007年)

クリーン性能の高さ、低燃費はもちろんのこと、クルマ全体で90%以上のリサイクル可能率を達成するなど、エコカーの最先端を行くクルマだった

 2001年6月にロゴの後継車としてデビューしたフィット。2002年には、1カ月平均の新車登録台数が2万台超というビッグセールスを記録し、カローラが33年間に渡り守り続けた新車販売台数1位の座を奪うという快挙を成し遂げた。また、「2001-2002日本カー・オブ・ザ・イヤー」と「2002RJCカー・オブ・ザ・イヤー」をダブル受賞を果たした。

 そして、会心の一撃と言えるのが、フィットでの採用が初となった「センタータンクレイアウト」だろう。薄型の燃料タンクを中央に設置することで、荷室の床低化が容易となり、コンパクトカーとは思えぬ広い室内スペースを確保することに成功した。

 この技術の他にも、エンジン出力のロスを軽減することでリッターあたり23kmという超低燃費を実現した新世代1.3リッター4気筒「i-DSI」エンジンも大ヒットの要因。当時ハイブリッドがまだ一般的ではないなか、この燃費は驚異的だった。

 さらに、軽自動車と同等の106万5000円~132万5000円(税抜き)という車両本体価格の安さも話題となった。

 新型投入以来、低調気味のフィットだが、初代は会心の一撃尽くしの名車だった。

エコとパワーを両立させ、谷から這い上がった! 2代目プリウス(2003年~2011年)

2代目は外観も大変身。初代がセミノッチバック4ドアセダンだったのに対し、2代目は5ドアハッチバックへと変更された

 「ハイブリッドカーと言えば?」と問われれば、多くの人がプリウスと答えるであろう。誕生は1997年12月。低燃費と排出ガス低減を実現するトヨタハイブリッドシステム(THS)を搭載する、世界初の量産ハイブリッドカーとして、世界中から注目を集めた。また、売れれば売れるほど赤字になると噂されたほどの215万円という低価格設定も話題となった。

 しかし、セールス的には伸び悩み、年間の販売台数はモデル末期には1万台を割り込んでしまっていた……。

 そして2003年9月、フルモデルチェンジが発表され2代目が誕生。これが空前の大ヒットを記録! ハイブリッド=プリウスというイメージを定着させた。 

 では、何が会心の一撃となったのだろうか? 間違いなく、THSの進化版である、新世代トヨタハイブリッドシステム「THSII」だろう。これにより10・15モード燃費が初代の28km/Lから世界トップレベルの35.5km/に向上し、さらにシステム最高出力は101psから111psに、最大トルクは42.9kgmから48.7kgmにアップした。エコとパワーを両立させることで、より幅広いユーザーからの支持を得ることに成功したのだ。

 他にも駐車時のハンドル操作を自動化できるインテリジェントパーキングアシストや、横滑り防止機構と電動パワーステアリングを統合制御する「S-VSC」など、世界初の先進技術を搭載するなど、目覚ましい進化を見せた。

 にもかかわらず、価格は215万円と据え置き!! この割安感も販売台数を大幅に押し上げた原動力となったことは間違いないだろう。

 初代プリウスの販売台数が約6年で約12万台だったのに対し、2代目は約119万台と、約10倍もの販売台数を記録。好調ぶりは2009年5月から発売開始となった3代目も同様で、2015年11月までに約227万台を売り上げる大ヒットモデルとなった。

マツダの危機を救った! 初代CX-5(2012年~2017年)

エンジンだけではなく、SKYACTIVシャシー、SKYACTIVボティなど、新機軸尽くしのクルマで205万円~319万円(税込み)! お買い得感もハンパないクルマだった

 大トリを飾るのは、CX-5。経営不振にあえぐマツダが、復活を期して開発したクルマだ。目玉となったのは、ディーゼル車が搭載する新世代スーパークリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV-D 2.2」。

 SKYACTIV-D 2.2は、簡単に言うと、燃料をきれいに燃焼し尽くすことにより、有害物質を発生しにくくするというしくみを持つエンジンだ。また、既存のディーゼルエンジンには必須だった窒素酸化物(NOx)の後処理装置も必要としないというもの大きな特徴。このエンジンのおかげで「ディーゼルエンジン=環境に厳しい」という既成概念が払拭されたと言っても過言ではないのだ。

 さらに、当時のSUVの中でトップとなる18.6km/L(JC08モード)の優れた燃費性能と、最大トルク420Nm(42.8kgm)と、4リッターV8ガソリンエンジン車並みの力強い走りを両立させることに成功したこともユーザーの心を惹き付けた。

 マツダの社運をかけて開発されたCX-5は、発売1カ月で累計受注台数が月間販売計画1000台の8カ月分となる約8000台を達成。好調な売れ行きを見せた。

 ちなみに、この時のエンジン別の構成比率は、ガソリンエンジン搭載車27%、クリーンディーゼルエンジン搭載車73%。これはクリーンディーゼルエンジンへの期待度の高さがうかがえる数字と言えよう。

 その後も堅調に売れ続け、2012年にはSUV国内販売台数第1位を獲得。翌年の2013年も首位の座を守った。

 このCX-5の好調を受け、2012年3月期のマツダの連結決算は、1077億円の赤字だったのに対し、2013年は最終利益が343億円と、5期ぶりの黒字に転換。こうして初代CX-5は、マツダのグローバル販売の1/4を占める、基幹車種のひとつにまで上り詰めた!

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みんなのコメント

17件
  • このタイトルならレガシィツーリングワゴンは外せないと思うのだが。
  • フィットはロゴと同じところまで墜ちてしまった
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