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「BRZ」もいいクルマなのになぜ?……「GR86」に乗り替えちゃう人がかなりいるワケとは?

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「BRZ」もいいクルマなのになぜ?……「GR86」に乗り替えちゃう人がかなりいるワケとは?

 現行型BRZを担当するスバルのとあるエンジニアが、「先代BRZにお乗りだったユーザーが現行型でGR86に乗り替えているケースがけっこうあるんですよ。正直悔しい思いがあります……」とポツリ。そこで、スバル(STI)とトヨタ(GR)との具体的なブランド力の差はどこにあるのかを分析した。

文/国沢光宏、写真/ベストカー編集部、ベストカーWeb編集部、スバル

「BRZ」もいいクルマなのになぜ?……「GR86」に乗り替えちゃう人がかなりいるワケとは?

■納期は圧倒的にBRZのほうが短いが……

現行型の2代目BRZ。GR86よりも納期は早いのだが……

 スバルは「ブランドイメージの低下」が由々しき問題になってきたように思う。ご存じのとおり、現行型のトヨタGR86とスバルBRZは若干の乗り味の違いこそあるものの、基本的に同じクルマである。

 なのに、GR86を買おうとしてもバックオーダーを抱えてしまっており、現在受注を休止中。一方、BRZといえば納期2~3カ月。半導体不足を考えると、最近の納期としちゃむしろ短い。

 ちなみに生産台数は圧倒的にGR86のほうが多い。先代モデルの販売比率から現行モデルの販売目標を決めており、それによって部品の調達数などを決めている。

 GR86の販売台数が圧倒的に多くても対応できないし、そもそもスバルにとってBRZは貴重な商品。トヨタの生産比率を増やすと、スバルの収益が落ちてしまう。ということから、GR86は売り切れ状態なのにBRZなら買えるワケ。

■GR86だと受注再開してもマイチェンモデルで値上げ?

こちらは現行型GR86。より振り回す走りを好むユーザーはこちらを選ぶ感じか?

 ここまで読んで「同じクルマなら納期が短いほうを買えばいいのでは?」と思うことだろう。しかもGR86の場合、受注を再開したら相当の確率でマイナーチェンジモデルになり、値上がり確実。

 BRZであれば現在の価格で買える。もっと言えば、BRZは販売店によって値引きまでしてくれるそうな。普通に考えたらBRZを買う。なのに、GR86のほうが人気なのだった。

 しかもスバル関係者によれば最近は先代BRZに乗っていた人がGR86に乗り替えるケースまで出てくるという深刻な事態になっているらしい。そんなにGR86のほうがいいのだろうか?

■なぜGR86に人気が集中しているのか?

筆者とGR86(左)、BRZ(右)。前後デザインと走り味の少しの違いしかないが、筆者は乗り味の上質感ではBRZが優勢とジャッジする

 前述のとおり、基本的なハードは共通。価格だって同じ。違いといえば前後デザインと、GR86のほうが少しテールの流れ出しが早い程度。むしろ乗り味の上質感という点でBRZに軍配を上げたい。

 加えてGR86を買うユーザーの多くがサスペンションやタイヤなどを変えるモディファイを楽しんでいる。オリジナルのハンドリングや乗り味はあまり重視されない。となればなおさらGR86でもBRZでも同じということになると思うのだけれど、やはりGR86が人気なのだった。

 スバルは「販売店の数が違う」と言うけれどGR86も皆さん数少ないGR店で買っているようだ。

 以上、遠回しに書いてきたが、決定的なのはBRZというクルマ、スバルからすれば国産自動車メーカーのなかでは唯一ワークスでスーパーGT300クラスに参戦している大切な車種だということ。

■本来ワークスが活躍する舞台じゃないレース参戦がブランドイメージを希薄に?

BRZのスーパーGT300参戦車両(写真は東京オートサロン2023で出展されたマシン)

 スバルが持てる技術のすべてを投入して参戦している車両が、トヨタのサテライトチームの参戦車両になっているGR86よりブランドイメージ薄いのだから困ったもの。

 初代レガシィやWRCで大暴れしたWRX STIを見て来た私からすれば「どうしちゃったの、スバル?」である。

現行型WRX S4も国産高性能スポーツのなかでは比較的納期が短いモデル。ニュル24時間レース参戦マシンもこのS4がベース車となる

 考えてみたらWRX S4も高性能車のなかで唯一納期が短い。これまたスバルが総力を挙げて取り組んでいるニュル24時間耐久レースで走らせているボディだったりして。考えてみたらスーパーGT300も、スバルがニュル24時間に参戦してるクラス(SP3Tクラス)も、基本的にワークスの舞台じゃない。

 そこで勝っても当たり前だし、逆に勝てなかったら超カッコ悪いだけ。高校サッカー大会の中にプロであるJリーグのチームが入っていくようなもの。サッカーで言えばワールドカップを争っていたWRCとは根本的に違う。ということを認識できない状況こそ、現在スバルが抱えている最大の課題なのかもしれない。なぜ、ブランドイメージが薄れてきたかということがわからないんだと思う。

■2023年6月からスバルのクルマ作りを舵取りする藤貫CTOに期待!

ADASのアイサイトなどで他メーカーをリードしてきたところも最近ではアドバンテージが薄くなってきていることを筆者は指摘する

 有効なブランドイメージ回復策を取らないかぎり、このままだとスバルは埋もれていってしまうだろう。今やアイサイトに代表されるADASもすべてのメーカーで選べるし、アイサイトより高機能なタイプまで出てきており、決定打にならない。

 4WD性能だって実用領域ではトヨタとマツダが、楽しさ領域もトヨタが急伸しており、スバルのストロングポイントと言えなくなってきた。

 このあたりで方向変換していかないと日本市場は厳しくなっていくことだろう。直近は納期の短さで販売台数を稼げているものの、トヨタがフル生産に入ったらスバルにかぎらず販売シェアをドンドン奪われていくこと間違いなし。

スバル車の走りのすべてを統括しているのが同社常務執行役員CTO技術本部長の藤貫哲郎氏。藤貫氏の走りへの情熱は非常に熱い

 今のトヨタ車は私のようなクルマ好きですら納得できるレベルになってきた。6月1日からスバルのクルマ作りを一任される藤貫哲郎CTOの手腕に期待したい。

※藤貫CTOインタビューはこちら

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