ジュネーブ・モーターショーで日産がお披露目した「IMQ」。さほど大きくないボディサイズにキレッキレのスタイルは——個性派SUVというジャンルを打ち立てたあの名車の後継車に見えてこないか!?
今でこそC-HRやUX、キャプチャーや2008といった「スタイリッシュっていうだけではない」という個性派BセグメントSUVは多くそろうが、これらのパイオニアとも言えるのが日産ジュークである。最初に見たときは「どこが目だ」「ランプはどこだ」「なんでこんなにウネウネしているんだ」「冒険しすぎ」なんて物議を醸したものだったがふたを開けてみれば大ヒット、とくに日本の路上では年配のお洒落な方が乗り回していることも少なくなく、小さくて個性にあふれているクルマというニーズは強かったんだとみんなが大いに納得したものだ。
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そのジュークが発表されたのは2010年のこと。フランスから発信、というのがこのクルマの性格を如実に物語っている。SUVの下半身にクーペのキャビン、なんて言い方をしていたような記憶があり、だれの記憶にも強く残る印象を備えていた。
もう9年も経ったのか!と驚くのは筆者だけではあるまい。何せ、今なお日産の人気車種の一台、さまざまな仕様やカラーリングでわれわれの目を楽しませ続けているからだ。しかしそろそろフルモデルチェンジがなされてもいいのでは……と思っていたところに、日産はジュネーブ・モーターショーでますます個性的なクロスオーバーコンセプト「IMQ」を持ち込んできた。
【IMQ】
全長 × 全幅 × 全高:4558 × 1940 × 1560mm
ホイールサイズ:22インチ
パワートレイン:1.5ℓガソリンターボ + e-POWER
パフォーマンス:250kW/700Nmm
駆動方式:AWD
発表されているデータはまだ少ない。コンセプトモデルということも手伝っているだろう。参考に、ジュークのサイズと比べてみよう。
全長 × 全幅 × 全高:4558 × 1940 × 1560mm(IMQ)
全長 × 全幅 × 全高:4135 × 1765 × 1565mm(JUKE)
……少々、いやちょっと大きいか。しかしCセグSUVとなるともっと大きくなるはずで、コンセプトモデルということで差し引いてもらおう。
IMQのトピックは、何をさておいてもe-POWERの採用である。現在、日本市場でノートとセレナに搭載され、登録車販売台数1-2フィニッシュを飾ったのは記憶に新しい。その虎の子をいよいよ、欧州市場にも展開していこうという目論見だ。
日本のストロングハイブリッドを警戒し、効果は薄いけどコストメリットで総量としてのCO2削減を図ろうと48Vシステムに食指を伸ばす欧州勢。しかしご存じ、e-POWERはシリーズハイブリッドという機械構成で、走行レンジ/速度域をちゃんと考慮すれば彼の地でも大活躍できそうなシステム。現況のe-POWERギヤボックスには備わっていないが、ひょっとするとエンジン直結モードを搭載できれば高速域でも両立できるハイブリッドパワートレインの出来上がりである。
250kW/700Nmという数字も相当なパフォーマンスだ。とくに700Nmという最大トルクは、e-POWERということでモーターによる数値、瞬時にこの数字が駆動輪に印加されるということ。それを受け止めるためもあり、AWDシステムを想定しているのだろう。リーフで培った左右軸制御も間違いなく盛り込まれるはずで、リリースにも「各輪への独立制御」の文言が認められる。滑りやすい路面からハイグリップを生かした高負荷走行まで、電動モータの特性を大いに生かしてくるはずだ。
CES2019で発表した「見えないものを可視化する」技術も搭載想定。V2X技術を用いることで、視野外の移動体を事前に把握、ドライバーにその存在をあらかじめ報せ予防安全につなげる技術だ。
22インチホイールに履かせるタイヤもユニーク。ブリヂストンによるスマートタイヤという名称で、負荷、内圧、温度、グリップレベル、磨耗などの情報が逐次、ドライバーに報知されるというコンセプト。このうち、もしグリップレベルのリアルタイム把握が可能になるとすれば、ビークルダイナミクス界には劇的な変化が生じる可能性がある。
次期ジュークと考えると豪華すぎる気がしないでもないが、でも実現したらすばらしい。果たして真相やいかに。実際の「次期ジューク」の登場を楽しみに待つとしようではないか。
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