現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 旧来的な「らしさ」を嗜む ポルシェ911(993型)  英国版中古車ガイド 最後の空冷911

ここから本文です

旧来的な「らしさ」を嗜む ポルシェ911(993型)  英国版中古車ガイド 最後の空冷911

掲載 14
旧来的な「らしさ」を嗜む ポルシェ911(993型)  英国版中古車ガイド 最後の空冷911

旧来的なポルシェらしさを嗜む

25年前、993型のポルシェ911がクラシックとして価値を高めるだろうと、予想したクルマ好きは少なくなかった。結果的に、最後の空冷911として歴史に刻まれていることは、ご存知の通りだ。

【画像】旧来的な「らしさ」を嗜む ポルシェ911(993型)  最新992型と993のレストモッド 全133枚

純粋さを重んじるカーマニアにとって、空冷911の終焉は、傑作スポーツカーの系譜が絶たれることを意味していた。1998年に後を継いだ996型は水冷エンジンを獲得し、ぐっとモダンさを強めていた。

実際、旧来的なポルシェらしさという点で、993型は非常に魅力的な存在だと思う。水平対向6気筒エンジンはクラシカルなサウンドを放ち、ドライバーの心を刺激してくれる。カブリオレなら一層直接的に楽しめる。

そんなベーシックな後輪駆動の993型カレラには、3.6Lのフラット6が載っていた。英国仕様の最高出力は、1993年に発売された前期型が271psで、1996年から285psへ強化されている。

パワフルなカレラSが登場したのは1997年。車高が落ちるサスペンションと、ターボと同じワイドなボディが与えられていた。

安定した四輪駆動を求めるドライバーのために、カレラ4も当初から選べた。1996年にはカレラ4Sが追加され、後輪駆動の「S」と同様に、スポーティなサスペンションとワイドボディで差別化されている。

1995年に登場したのがカレラRS。90kg近い軽量化が施され、最高出力は300psに届いていた。同時期には、ツインターボで400psを得たターボと、450psのターボSも加わっている。

現代の911と比較しても個性が強く濃密

993型の頂点を飾ったのが、ツーリングカー・レースのGT2クラス参戦要件を満たすべく作られた、公道用のGT2。0-97km/h加速を3.9秒でこなし、四輪駆動のモンスター、ポルシェ959へ0.3秒まで接近している。製造数は57台で、13台が右ハンドルだった。

GT2が特別なクラシック・ポルシェであることは間違いないが、それ以外の993型でも人気は堅調。リアアクスルが受け止めるフラット6の重さを常に意識する、従来的な911のドライビング体験を堪能できる。

コーナリング中にアクセルペダルを不用意に緩めると、慣性でリアタイヤが前へ流れる場合もある。しかしロードホールディング性は非常に高く、四輪駆動が必須とまではいえない。ブレーキも強力だ。

996型が獲得したステアリングの感触の豊かさや、フロントノーズの正確性までは備わらないものの、現代的な911と比較しても個性は強く味わいが濃密。身のこなしもシャープとはいえないかもしれないが、その必要性を筆者は感じない。

特徴的なサウンドを放つ自然吸気のフラット6と、感触の好ましい6速マニュアルが組み合わされ、多くのドライバーが993型へ魅了されてきた。コンパクトなボディサイズと優れた視認性で、扱いやすいことも美点の1つ。インテリアもシンプルで居心地が良い。

全般的に、993型はまだ比較的入手しやすい価格帯にある。今後はさらなる価値上昇も予想され、関心をお持ちなら早めの一手が効果的といえるだろう。

新車時代のAUTOCARの評価は

ポルシェの技術者は、911が抱えていた弱点を克服。過去最もシャープな911が誕生したといえる。そして、最も親しみやすくもある。(1993年10月6日)

専門家の意見を聞いてみる

ロビン・シンプソン氏:ピアース&デイル社

「ピアース&デイル社を立ち上げる前は、ポルシェの英国ディーラーで10年ほど営業を担当し、店長も務めました。993型は常に数台、在庫として取り扱ってきています。この911は、硬い花崗岩で作られているかのようにソリッドです」

「細かい部分まで高品質に作られており、現在のモデルと同等に信頼性は高いといえます。もう、こんなスポーツカーが作られることはないでしょうね」

「弱点といえるのが、フロントガラス・フレーム部分の腐食。通常のメンテナンスを怠らなければ、大きな問題は生じにくいといえるでしょう」

購入時に気をつけたいポイント

トランスミッション

MTのクラッチは11万km程度は耐える。それ以上の走行距離ならクラッチ交換されていると考えて良く、正規ディーラーかポルシェを得意とするガレージで作業されたのか確認したい。

エンジン

エンジンオイルを多く消費する例がある。これまでのオーナーが、定期的にオイル交換を済ませてきたか確かめたい。オイル漏れにも注意。

バルブガイドの不調により、2次空気供給システムが正常に動かなくなる場合がある。ディストリビューターの内部ベルトも、状態を確かめたい。

ブレーキとサスペンション

ブッシュ類とショックアブソーバーは、6万km前後での交換が妥当。費用はサスペンションの仕様で異なる。

ブレーキは、ディスクやパッドの厚みを確認する。交換部品は安くない。

電気系統

パワーウインドウとパワーシートは故障しがち。予めすべての機能を動かして、状態を確かめたい。

ボディ

ドアを開閉した時に金属が当たる音がする場合は、ヒンジ部分の劣化が疑われる。修理すると高く付くものの、丁寧にドアを扱っている限り、そのまま乗っていても問題はないといえる。

993型には良質な亜鉛メッキ鋼板が用いられているため、基本的にボディは錆びにくい。それでも、ガラス周辺のラバーシールへ砂や水が入り込み、腐食を促すことがある。

ヘッドライト周辺にも汚れが溜まりやすく、腐食しがち。板金修理を受けているなら、その状態もチェックポイント。

カブリオレは、電動ソフトトップが正常に稼働するか確かめる。スイッチが故障しがち。手動での開閉も可能。ソフトトップ自体の状態も確かめたい。

知っておくべきこと

993型にはGT3が存在しなかったが、カレラRSがコンセプトとしては近い。カーペットやパワーウインドウ、エアコン、ラジオなどを省いて軽量化し、大きなリアウイングとフロントスカートで武装したクラブスポーツも存在した。通称RSRと呼ばれている。

英国ではいくら払うべき?

1万5000ポンド(約241万円)~3万9999ポンド(約643万円)

初期型の、走行距離が12万km前後のカレラが英国では売られている。価格帯の後半にはカレラ・カブリオレも含まれてくるが、状態はあまり良くないと考えたい。

4万ポンド(約644万円)~3万9999ポンド(約695万円)

カレラ4や後期型のカレラなどを英国では探せる価格帯。走行距離は全般的に長め。16万km以上の例もあるようだ。

6万ポンド(約966万円)~3万9999ポンド(約1609万円)

状態の良いカレラを探すなら、この価格帯から。走行距離が伸びるものの、カレラSと4Sも含まれる。

10万ポンド(約1610万円)~3万9999ポンド(約2414万円)

状態の良い993型のカレラSやターボをお探しなら、この価格帯から。

15万ポンド(約2415万円)以上

極上のターボや珍しいカレラRSを英国では探せる。時間をかければ、RSRも出てくる。

英国で掘り出し物を発見

ポルシェ911 カレラ(993型) 登録:1994年 走行距離:12万5600km 価格:5万9990ポンド(約965万円)

走行距離は993型としては妥当。比較的手頃な予算でカレラをお探しなら、悪くない選択肢といえそうだ。トランスミッションはマニュアルで、左ハンドル車となる。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
ズボラ派にもバス&タクシーにもうってつけ! 洗車後の拭き取りをサボれる純水洗車にメリットしかなかった
WEB CARTOP
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
スズキが新型「ソリオ」1月発表!? “迫力顔&先進機能”採用!? 既に予約した人も!? 何が変わった? 販売店に寄せられた声とは
くるまのニュース
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
カワサキ「Z2」エンジン お気楽過ぎる「丸塗り」では後々後悔 可能な限り緻密なマスキングを目指す!! ~日本の至宝「空冷4発」を未来へ継承~Vol.23
バイクのニュース
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
[DSP大全]「位相」を合わせられれば、“一体感のあるサウンド”を獲得可能!
レスポンス
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
ノリス、ラスベガス初日は上位タイムも低グリップに手を焼く「市販車の方が速い気がする……」燃料多載での走行にはまだ課題も?
motorsport.com 日本版
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
アドベンチャーツアラー「V-STROM 250SX」が色変更!新設定「ソノマレッドメタリック」の鮮やかな赤が眩しい!   
モーサイ
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
初代日産リーフは「普通に乗れる」電気自動車だった【10年ひと昔の新車】
Webモーターマガジン
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
【最新モデル試乗】すべてがグレードUP! 理想の選択肢、三菱アウトランダーPHEVの驚く完成度
カー・アンド・ドライバー
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
全長3m切り! ホンダの「本格オフロード車」がめちゃ楽しそう! 1リッターエンジン搭載で悪路性能スゴい! 米国で人気の「パイオニア」どんなモデル?
くるまのニュース
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
全長3.4m切り! ダイハツ「斬新軽トラ」がスゴい! “カクカク”デザイン×「超画期的なユニット」搭載! ファンキーだけど「まじめな発想」で披露された「新時代モデル」とは
くるまのニュース
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
態度を改めないと「免許返納です」傍若無人な“若者運転”が危険すぎる「5つの理由」って!? 事故を起こすのも当然! 未成熟な「ヤバすぎる運転」とは
くるまのニュース
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
27年ぶりにあの懐かしいスターレットが戻ってくる!? ヤリスより小さいリッターカーは2026年登場か!?
ベストカーWeb
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
BMW「S 1000 XR」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
快適さと使いやすさの最適解! 日産NV200バネットがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
[大型ミニバン]頂上対決!? レクサス[LM]vsトヨタ[ヴェルファイア]約800万円の価格差はどこ?
ベストカーWeb
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
破格の約90万円!! ダイハツ・[コペン]は今こそ買い時でしょ!
ベストカーWeb
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
[BEV]計画着々と進行中!? トヨタが福岡県に[BEV]電池工場を新設
ベストカーWeb
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
アストンマーティン・ヴァルキリーのデビュー戦とふたりのドライバーが決定。IMSAはデイトナを欠場へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

14件
  • 空冷911乗ってる人、お金持ちなんだろうけど服装もシンプル

    アルファード乗ってる人、貧乏なんだろうけど服装はこれ見よがしにギラついてる
  • 高いが値落ちしない。乗らずに後悔するより乗って後悔しろ!後悔しないと思うけど。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索
911の車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1694.03642.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

180.08000.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村