現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > バイデン政権で加速するアメリカの自動車電動化がスバルに不安をもたらす理由とは?

ここから本文です

バイデン政権で加速するアメリカの自動車電動化がスバルに不安をもたらす理由とは?

掲載 更新 7
バイデン政権で加速するアメリカの自動車電動化がスバルに不安をもたらす理由とは?

バイデン政権によってアメリカ市場でも電動化が加速する

アメリカ合衆国 46代目大統領にジョー・バイデン氏が就任。初日から地球温暖化対策として2015年に採択された「パリ協定」に復帰するための大統領令に署名したと報道されています。世界の流れに足並みをそろえるだけでなく、CO2排出量削減といった環境対策においてもアメリカがリーダーになるという意気も見せています。

トランプ前大統領はパリ協定から離脱して、アメリカファーストの経済政策をとっていました。そのため、アメリカでは自動車の燃費基準もそれほど厳しくならず、電気自動車専業メーカーのテスラが存在感を示していながら、市場全体としては電動化に積極的ではないという状況が続いていました。シェールガスを含め、産油国であるという一面も影響したのでしょう。アメリカで売られている日本車もハイブリッドが減り、純ガソリンエンジン車が中心となっていったというのが、ここ数年のトレンドだったのです。

しかし、バイデン新大統領はまったく真逆の政策をとることを宣言しました。パリ協定に復帰するということは、これからアメリカの自動車市場においても電動化が一気に進むと予想するのが妥当と思われます。

アメリカ市場の比重が大きいメーカーには追い風

もちろん、アメリカで販売する自動車メーカーもこうした時代が来ることは想定内で、そもそもグローバル展開をしているわけだから次世代バッテリーなど電動化のキーデバイスは抜かりなく開発しています。ゼネラルモーターズがローコストな「アルティウム」バッテリーを開発していることは知られているし、フォードは同社のスポーツブランドとして伝統ある「マスタング」に「マッハE」という電気自動車バージョンを用意。その意味では、バイデン政権になったからといって、他国のメーカーが付け入るスキはないのかもしれません。

とはいえ、先進国の純エンジン派として最後の砦的な存在だったアメリカ市場も電動化に進むことは、アメリカでビジネスをしているメーカーにとって朗報といえます。アメリカ市場のニーズに合わせて純エンジン車を開発するリソースを、グローバルスタンダードな電動車の開発に振り向けることができるからです。

とくにトヨタやホンダといったアメリカを一大マーケットとして捉えている国産メーカーにとっては、リソースを集中しやすい状況というのは追い風です。もちろん、4年後にどのような政権になっても対応できるように様々なオプションを用意しておく必要があるので、そう単純な話ではないでしょうが。

アメリカ市場で電動化が進むと困るのはスバル

その意味では、スバルの動向には不安がつきまといます。現時点では、最低限の基準をクリアするようトヨタの技術を利用したプラグインハイブリッドを用意するものの、ラインアップ全体としては純ガソリンエンジン車の比率が高く、電動化を拡大するのも難しい状況。アメリカ市場のトレンドに乗ってきた「北米一本足打法」とまで言われるスバルが、バイデン政権下で変化するであろうアメリカ市場で引き続き存在感を示していくには、シンボルとなる電動車の投入が急がれるのではないでしょうか。

いずれにしても、アメリカがパリ協定に復帰することで、欧州・中国・北米という世界的な自動車の大市場が、少なくとも数年は「電動化」という方向に進むことは既定路線となりました。エンジンに関するサプライヤーの再編、電動化に関するサプライチェーンの整備といった動きはますます激化すること必至です。このところの日系メーカーは、バッテリーの調達能力をウィークポイントとしている印象もありますが、今後の生き残りのためには、そうは言っていられない状況になっていきそうです。

文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
ラッセル、予想外のポールポジションに歓喜。コースイン遅らせる判断が奏功「フロントロウの自信はあったけどね!」
motorsport.com 日本版
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
中型トラックの枠を超えた「超過酷仕様」!フォード レンジャー スーパーデューティ、2026年発売へ
レスポンス
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
なんじゃこの「付け髭」感! デザイナーの意思をガン無視した「5マイルバンパー」はアリかナシか?
WEB CARTOP
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
超イケてる新型ムラーノをデザインのプロが分析! 個性を主張する「デジタルVモーション」の使いすぎには要注意
WEB CARTOP
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
女性チームのアイアン・デイムスがポルシェにスイッチ。LMGT3初年度はランボルギーニを使用
AUTOSPORT web
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
角田裕毅、ラスベガスで躍動し予選7番手「ミスター・ガスリーには離されたけど……アタックには満足。良いフィードバックもできている」
motorsport.com 日本版
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
まるで「“ミニ”フェアレディZ」!? 全長4.1mの日産「コンパクトクーペ」が斬新すぎる! 短命に終わった「NXクーペ」とは?
くるまのニュース
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
【ラリージャパン 2024】開幕!! 全行程1000km、SSは300kmの長く熱い戦い
レスポンス
「日産 GT-R  プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
「日産 GT-R プレミアム エディション Tスペック」は、諦めない!不屈の国産スポーツカー、未だ一級品の証し【新型車試乗】
Webモーターマガジン
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
AM放送が聴けない「電気自動車」が数多く存在! FMラジオは搭載されているのになぜ?
THE EV TIMES
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
ヤマハがNetflixアニメ用に未来のレースマシン「Y/AI」をデザイン、実物大モデルも
レスポンス
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
”第2の波”を生んだ挑戦者、それはレズニー傘下で喘ぐamtだった…!【アメリカンカープラモ・クロニクル】第39回
LE VOLANT CARSMEET WEB
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
今週、話題になったクルマのニュース4選(2024.11.23)
@DIME
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
レッドブルのペレス、今季6度目の予選Q1敗退。3戦続けてRBの角田&ローソンに敗れる「マシンに根本的な問題がある」
motorsport.com 日本版
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
トヨタ「コンパクトSUV」なぜ消滅? “全長3.9m”級の元祖「ヤリスクロス」的存在な「ヴィッツSUV」に注目! 14年で幕を閉じた「ist」とは?
くるまのニュース
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
シャープでクールなNEWグラフィック! SHOEIが「NEOTEC 3」の新たなグラフィックモデル「ANTHEM」を発売
バイクのニュース
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
ラリージャパン唯一の女性ドライバー、平川真子が意気込み。兄・亮に「クラス優勝をするところを見てほしい」
AUTOSPORT web
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
トヨタ陣営の23XIとフォードのRFKが、来季2025年NASCARカップシリーズにて3台体制に拡充
AUTOSPORT web

みんなのコメント

7件
  • 電動になれば水平対抗の独自性が消える。
  • 北米のトヨタではタコマやタンドラみたいな大排気量エンジン積んだトラックも人気車種なんだから、電動化の流れは全く追い風じゃないと思うよ
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村